SF名作を読もう!(11) 『一九八四年(新訳版)』
前回の『華氏451度』の時にも書きましたが、この『一九八四年』も、もはやSFというジャンルでくくれる小説ではないでしょう。とにかくすごい。やられるというか頭を強く殴られるようなこの感覚は、小説の凄みを、フィクションであるからこそ語ることができるという小説の凄みを余すところなく伝えてくれます。敢えてジャンル分けするとすれば、この小説は社会小説であり思想小説であり、批評小説であり、犯罪小説であり、ある意味では恋愛小説でもあります。おそらくこれをSFという枠で見ているのは日本だけで