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『見慣れた光景の中にまた一つ』

遠くの小高い山々と雲たち

橋があって河が流れていて

あの信号機の音と僅かな点滅

小風に街路樹が微かに応えて

緩やかな坂道を登っていく


少し寂しげに閉ざされた扉

今日もまた一つ数えながら

すぐ側を通り過ぎていく


日毎に変わりゆく街並みに

無情に溶け込み平然を取り繕う

日常の一コマであるかのように


強烈な日差しでガラス窓は熱く

朝早くから蝉たちは鳴いて

皆が自己主張をし続けている


慣れ親しんだ場所に佇んで

今日も良くも悪くもまた一つ

新しい何かを見つけている



その一つ一つが

自身のカケラなのかも知れない

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