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011【ビジネス】そんなバカな!→ なるほど。

ビジネス戦略の名著として、『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』というベストセラーがあります。

一橋大学大学院の楠木先生の著書です。

大事なポイントはたくさんありますが、私が一番心をわしづかみにされた部分を一言にまとめますね。

良い戦略とは、

「ちょっと変な戦略」

です。

戦略には、「一見して非合理的」なポイントを盛り込むんです。

「こいつ、バカじゃね?」と他人から思われるような戦略です。

「どゆこと???」って思いますよね。

ビジネス戦略を考えているのに「変」・「非合理的」とは何事だ!、と怒られそうですが、まあ、落ち着いてください。

あなたが感じた「論理的でなさそうなこと」をこれから「論理的」に説明していきます。

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戦略を、全体と部分の2軸で考えてみます。

良い戦略は、「部分的には一見して非合理的だけど、全体としては合理的」になっている戦略です。

あなたの頭の上に「?」がたくさん見えます(笑)。

もうすぐ、「?」が「!」になりますよ ♪

以下のマトリックスをご覧ください。

なぜ「ちょっと変な戦略」が良いのか?、なぜ「一見して非合理的なポイントを盛り込む」のが良いのか?、の明確な答がこのマトリックスに表されています。

良い戦略は、ある部分だけを見ると「ちょっと変」で「一見して非合理的」なんだけど、全体を俯瞰して見ると「なるほど、合理的だ!」というものです。

つまり、「なぜそんな変で非合理的なことをしているのか?」の根拠があり、その根拠をふまえて全体を眺めると、「おぉ、そういうことね ♪」と納得がいく戦略です。

この本では「一見して非合理的」というポイントを、「バカなる」と表現しています。

「そんなバカな!」が「なるほどね ♪」に変わるからです。

多くのビジネスマンは、部分でも全体でも合理的な戦略を考えてしまいがちです。

部分でも全体でも合理的なので、上司決裁や社内決裁は下りやすいです。

だって合理的なんだから。

それがどうして良くないのか?

誰でも簡単に発想できる戦略なので、他社も考えているし、簡単にマネできるからです。

ということは、すぐに価格競争になり、資本力に勝る大企業しか勝ち残らないからです。

だから、簡単には発想できない、他はマネしようと思わないような、「ちょっと変」で「一見して非合理的」な「バカなる戦略」が良いんです。

さっきの表では、部分は「非合理的」だけど、全体では「合理的」になっているのが、「真の賢者」です。

この「真の賢者」が「バカなる戦略」を編み出すんです。

具体的に例を挙げます。

かのスターバックスコーヒーです。

スタバは日本に入ってきた際、フランチャイズではなく直営店で店舗展開することにこだわっていました。

直営店の展開はフランチャイズと違って、コストも時間も手間もかかるので、メディアや投資家から「スタバはアホだ」とボロクソに言われていました。

フランチャイズ店をバンバン出した方が店舗展開が圧倒的に速いのは常識だからです。

しかし、そんな非難はどこ吹く風、スタバは分かっていました。

「ちょっと変」で「一見して非合理的」な「バカなる戦略」を推進したんです。

スタバは、コーヒーを売っているのではなく、「安らぎの空間」を売るという首尾一貫したコンセプトです。

一度でもスタバに行けば、ドトールとの違いは一目瞭然でしょう。

もしも、スタバがフランチャイズ展開でジャンジャン出店したらどうなっていたか?

フランチャイズオーナーは、「安らぎの空間」というコンセプトよりも目先の利益の方が大事なので、椅子の数をどんどん増やしたり、回転率を上げるために長居するお客さんを追い出したりするでしょう。

経営を短期的な数字や効率だけで考えたらこのやり方は合理的です。

しかし、スタバのコンセプト「安らぎの空間」からしたら、絶対にやってはならないことです。

だからスタバは直営店にこだわり、「スタバイズム」を手厚く教育した社員をオーナーとし、立地もコンセプトに合う選択をしました。

だからコンビニやドトールよりかなり高くても、コンセプト通り「安らぎの空間」を求めてお客さんが絶えないわけです。

特に女性は、「安さ」よりも「心地よい空間」を求める傾向が強いです。

この直営店至上主義が、スタバの「ちょっと変」で「一見して非合理的」な「バカなる戦略」です。

一段高いレベルで言い直せば、これこそが真の「合理的な戦略」です。

多くのビジネスマンはここまで考えないので、「ちょっと変」で「一見して非合理的」に見えるのです。

この考え方は、私の人生テーマである

「楽しい生き方」

に通ずるものがあると思いました。

スタンフォード大学の卒業式でジョブズが言った、

「他人の人生を生きるな、自分の人生を生きろ」

です。

ダイバーシティの世の中です。

あなたと私や彼女・彼らは異なります。

あなたが本当に好きなこと、やりたいこと、得意なことは、他の誰かとは異なります。

違っているからこそ、価値があります。

その違いこそが、「ちょっと変」で「一見して非合理的」な生き方ではないでしょうか?

その「変な所」で人の役に立つことができるのではありませんか?

つまり「ちょっと変」で「一見して非合理的」が、あなたにとって「最高の生き方」ではないでしょうか?

他人とは異なるので、時にはそれをバカにする人、止めようとする人、ジャマする人が現れます。

そんな時には、ジョブズの言葉を思い出してください。

「他人の人生を生きるな、自分の人生を生きろ」

ジョブズはこうも言いました。

Stay foolish.
Stay hungry.

京極 楓でした。

ではまた!


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