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一首一句(和歌【引用】と俳句【創作】)

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一首和歌を選んでその和歌を兼題として一句即興で詠む、という取り組みを続けております。 習慣的に続けるために一日5分ほどでやっております。 俳句歴の浅さと正確性の欠如は甘めに見てや…
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2022年3月の記事一覧

【一首一句 その二十四】春色への愛

【本日の一首】 色なしと人や見るらむ昔より深き心に染めてしものを(古今集、まき十七、雑歌…

コアラ
2年前

【一首一句 その二十三】空に桜

【本日の一首】 桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける(古今集、春歌下、89、紀…

コアラ
2年前

【一首一句 その二十二】うつろふ色

【本日の一首】 春霞たなびく山の桜花うつろはむとや色かはりゆく(古今、春歌下、69、よみ人…

コアラ
2年前
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【一首一句 その二十一】花ぞ昔の香ににおひける

【本日の一首】 人はいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける(古今集、春歌上、42、…

コアラ
2年前
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【一首一句 その二十】山と霞

【本日の一首】 霞立つ春の山辺は遠けれど吹きくる風は花の香ぞする(古今集、春歌下、103、躬…

コアラ
2年前

【一首一句 その十九】春惜しむ

【本日の一首】 惜しめどもとどまらなくに春霞帰る道にしたちぬと思へば(古今、春歌下、130、…

コアラ
2年前
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【一首一句 その十八】もがなと思ひけるかな

【本日の一首】 君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな(後拾遺和歌集、恋二、669) (鑑賞) 恋の成就であらためて生命の永続を思う一首。 藤原義孝の歌で仏教徒、21歳の若さで天然痘で病死。 読んだ人のことを考えると胸がいっぱいになりますね。 逢瀬は義孝に生きる希望をもたらし、この歌を詠むことでそれが引き継がれていった、素敵なことだなあと。 【本日の一句】 初桜永遠にもがなと思ひけり 君のエピソードを初桜に置き換えて、永遠に見ていたい、けれども散ってしまう

【一首一句 その十七】迷ふ枝垂柳

【本日の一首】 春くればしだり柳の迷ふ糸の妹が心になりにけるかな(和漢朗詠集、巻上春、111…

コアラ
2年前

【一首一句 その十六】歌が橋き調べ

【本日の一首】 疑はしほかに渡せる文見ればここやとだえにならむとすらむ(蜻蛉日記、上巻、1…

コアラ
2年前

【一首一句 その十五】雁の翼

【本日の一首】 霜まよふ空にしをれし雁がねの帰る翼に春雨ぞ降る(新古今、春歌上巻第一、63…

コアラ
2年前

【一首一句 その十四】月と君

【本日の一首】 今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ちにけるかな(古今集、恋四、694)…

コアラ
2年前
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【一首一句 その十三】三笠の山の月

【本日の一首】 天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも(古今集、羈旅、406) …

コアラ
2年前
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【一首一句 その十二】かはらぬ梅と月

【本日の一首】 梅の花あかぬ色香も昔にておなじ形見の春の夜の月(新古今、47、皇太后宮大夫…

コアラ
2年前
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【一首一句 その十一】ももしきの暇

【本日の一首】 ももしきの大宮人は暇あれや梅をかざしてここに集へる (万葉集、1883、作者未詳) (鑑賞) 「大宮人たちは暇があるからか、梅をかざしてここに集まっている」くらいの、技巧としては素朴な歌。 新古今の山部赤人に「ももしきの大宮人は暇あれや桜かざして今日も暮らしつ」とある。 梅から桜に変わっているということで文化の違いだったり、桜に変わってることで歌全体の印象が変わったりという違いがある。 また新古今の方が平和な詠嘆を読んだ歌になっているということだ(ビギナーズ