【一首一句 その十四】月と君

【本日の一首】
今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ちにけるかな(古今集、恋四、694)

(鑑賞)
百人一首の21番に入っている一首。
自分の本での主題は「来ない男炉のために夜通し待ち続けた恨み」としてある。
どうも作者は男だが、女の立場に立って詠んだ歌(代詠)という。
長月は旧暦9月のことで、長い秋の夜ずっと待ち続けていた、ということのようだ。
うーん。恨みといいつつ、今来むといいしばかりに、とあるように、女の一途な想いが読み取れる。
昔は携帯もスマホもないから、月に思いを託して、かつ電灯もないから月の明かりだけを頼りにあなたを待っている、という切実な感情が伝わってきますね。

【本日の一句】
春の月に映せる君の面影を(ノンタン)

春の月を見ながら、君の面影を月に投影しながらもの思いに耽る様を詠んだ句です。
上五を字余りにするのが良いのかどうかは迷いました。
おそまつ。

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