【一首一句 その十六】歌が橋き調べ

【本日の一首】
疑はしほかに渡せる文見ればここやとだえにならむとすらむ(蜻蛉日記、上巻、12)

(鑑賞)
様々な縁語や言葉遊びを使っている、けれどもまっすぐ思いを伝わる歌。
この和歌のあとで男は「しばしこころみるほどに」と答えたそうな。
やはり古文の物語は、文脈から切り取ってしまうとわけがわからなくなる。
それだけを取り出してきて、普遍的な価値を証明するのがいかに難しいことか。

【本日の一句】
春の夜のつれなき調べあさましく

春の夜に男の読んだ歌を女が聞いているという文脈でその調べが素知らぬもので呆れ果てるほどであった。
くらいの感じで、本日の一首に合わせました。おそまつ。

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