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井の中の蛙大海を知らず

相方Kちゃんが昨日、実家に帰ってお母さんと近い将来建てる家のことだとか、その手前のもっと近い将来買うボロボロのマンションについての話をしていたそうだ。

Kちゃんのお父様はもう何年も前に認知症の診断を受けておられるのだが、その母と娘の会話を聴いているうちに突然頭がクリアになり「何をグズグズしている!早く手付けを打て!」と、いきなり会話に入って来たそうだ。

そこまではクスクス笑いながら聞いていた。お父さんには何度かお会いしたことがあるが、ほんとに面白い方だから。ええ、そこまでは笑っていた。

「”金がないのか?!貸してやろうか?”とか言われたんで、お金は自分とOhzaちゃんで何とでもなるわって言っておいたわ。」

ふうん・・・と言う私に「あと、あなた方とは将来同居するけれど、Ohzaちゃんとは一生一緒に暮らしたいと思ってる!あの人とはずっと一緒に暮らすから!ということもちゃんと言っておいたよ。」と得意そうになっているが、それを聴いて私はビールを思いきり吹き出した。←もったいない。

そーんなこと言ったらXジェンダーってことがバレるじゃん。何言っちゃってんの?!

いや、そんな最近の言葉は分からないだろうから単純にゲイとかレズとかオカマとかいうレッテルになるのかな。

私は特に自分のそういう部分を恥とは思わない。Kちゃんという人物に至ってはむしろ誇りに思っている。

でも、やはりそれを聴いて身近な人が不快な思いをすることもあるだろうし、まだまだ現代社会では仕事もやりにくい。

そして、何故だかそういうジェンダー関係を毛嫌いする人たちには、「誰にでも手を出すんじゃないか、同性を皆そういう目で見ているんじゃないか。私のこともそういう目で見てたんじゃないか。」という完全なる誤解を持つ人が多い。(←絶対無いわー。でも、絶対無い人に限ってそういうことを言う。)

かと言って、それをいちいち説明する気力はないし、相手も聴く義務がないと思う。公私共に色んな人たちに出会って来たが、中には人の休日をつぶしてまで説明し理解を求める人もいたから。

人はみんな違って良い。でも、それは自分の結論でしかない。仕事上の障壁にしたくないし、好きな人の家族を傷つけたくないなと思っていた。

そういうのを気持ち悪いと思う人に特に罪はなく、それは感覚の自由。元々の生まれつき持っている常識かも知れないし、どちらにしても、いちおう社会的にも”こういうのが普通”という教育が成されて来ている。

余談だけど、セクシャリティがノーマルなだけで大多数の人を”普通の人”と一色単に呼ぶのも非常に失礼な話だよね。だから私はセクシャリティーが同類であっても、そういう人とは友達にならない。恥じてはいないけれど、”普通じゃないのよ。へへん!”って威張ってどうすんだよと思うのだ。

それはさておき、長年険悪だったKちゃんの親御さんたち、特に厳格なお母さんの方が「分かってるわよ。Y子(孫)に聴いてるわよ。その人を大事にしなさいよ。」と答えたそうだ。もう、度々吹き出してビールが空になりそう。Kちゃんの娘さんが知っているってどういうこと!?

その現在4年生の娘ちゃんが、”お母さんはいつもOhzaちゃんにメントスを買っているの。ラブラブよ。Ohzaちゃんは、あたしの一番最初のお友達なんだけど、お母さんにはかなわないの。だって夫婦なんだから。”と、数年間に渡りお婆ちゃんに色んな話を聴かせ続けていたそうだ。もう、ダメ、教育上、害になっていてごめん。

そんなわけでKちゃんのお母さんは最初は眉間に皺を寄せたり、数年前は何やらうちに押しかけて来て玄関先でKちゃんと口論していることもあったが、もしかしたらそれが原因だったのかも知れない。

それが昨日「おまえはあの人に出会ってから変わった。小さな頃から変わった子だったし、離婚はするしプラプラしていて、痩せこけてどういうつもりなのか?と思っていたけど、あの人に出会ってから資格も取ったし役職もついた。年収も増えた。身体も健康になった。あの人を大切にしなさいよ。よろしく言っておいて。」と仰ったそうだ。

そんな馬鹿な。そんなことがあるのだろうか。

さらにもっと驚くことがあった。「あのね。全員じゃないけど職場の人たちも知ってるよ。」

もはや、缶を握りつぶしてシンクに叩きつけた。どうしてだよ!

勤務が終わるのを待っていたり休日には迎えに来たり、人が見て分かるほど私の仕事をフォローしている様子を見ていて不審に思った仲間がKちゃんを問い詰めたことがあったそうだ。

喋ったのね。

「いや、喋らなくてもばれてたよ。あたしってすぐ態度に出ちゃんだよね。」

それがきっかけで、Kちゃんは、私が勤め始める前から仲が良かったグループに総すかんを食らったのだということも今初めて知った。

当時はどうして急にハブられてんだろ?と思っていたのだけど、Kちゃんはいつも毅然とした態度の人だから、何が原因でいじめられても大丈夫だろうと思って事情に口を突っ込まなかった。それがまさか自分のせいだったなんて。

あと、前のボスに訊かれたと言う。

”あのさ、KさんとOhzaさんは、仕事上だと、どっちも男みたいな頭の使い方するでしょ?外見はともかく中身が男っぽいよね。で、どっちが女役なの?”

前ボスにまで・・・・。

知っていたということにも驚きだけれど、そして、突っ込みどころ満載の勘違い質問ではあるものの、それはさておき。違う種類のショック。あの人が?!あの常識人の強面&堅物な人が淡々とそんなことを。

「そうだよ。もう何年も前になるけど。」

何年も前?!あの人、よく私を課長にしたな。

先日、職場の人が私の駄文を読んでいると知って衝撃でそれなりに世界が真っ暗闇になっていた。↓

それなのに、それ以上の衝撃が待ち構えていたなんて。もう、何が何やら分からない。

知らないのは私ばかり。

そして”世の中は偏見に満ちていて面倒くさい”という偏見を持っているのが私自身なのだと知った。

受け容れられているという事実を受け容れられない今がある。

尋常じゃない感謝を感じつつも、どこにも反抗する理由がないという居心地の悪さと格闘している。

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