見出し画像

視覚派と聴覚派と体感覚派(それは生まれつきかも)

カウンセリングでは、人間関係のエピソードがダントツで多い。それだけ多くの人が人間関係で悩んでいるし、日々のほとんどの時間を他人のことを考えて過ごしているという証でもある。

ある意味、複雑でもあるけれど、実は、原因がシンプルであることが多いのが、人間関係の悩みでもある。あまりにシンプル過ぎて、それを認められなくて、自らが、もっともらしい理由をつけて複雑にしている事があるというのも事実。(でも、仕事上で付き合って行かなければならない人は、しょうがないよね。)

すぐフロイト方式に持って行こうとするカウンセラーさんも多いけれど、あれは非常によろしくない。

現在の人間関係で悩んでいるのに、過去の親御さんのこととか、死別のトラウマを持ち出して、その時を盛り上げるのは良い。しかし、そんなことで立ち直った人たちは、現在の壁にぶち当たる度に、過去の悲しみを使うだろう。何でもかんでも過去の時代、過去の愛したり憎んだりした者たちのせいにして、現実に立ち向かって行こうとしなくなる。

そうすると、いつまで経っても、幾つになっても親か親代わりを探す人か、理想像を誰かに投影して、激しく崇拝したり極端に軽蔑したりを繰り返す甘えた人間になってしまうだけ。

それの何がいけないか?と言うと、怒り過ぎる人生になってしまうということ。話もやたらと長くなる。人との距離感も掴めない。そりゃあ、そうだ。投影ばかりしていて、他人と自分の境界線が曖昧なんだから。

謝罪も出来ないし、礼儀なんてものも分からない。他人も自分もどっちがどっちか分からない。

色んな切り口のエピソードに触れて来たのだけど、そう言う時、人がよく使っている感覚のアンテナの話をすることがあった。

人のコミュニケーションのアンテナには、①ビジュアル派(視覚派)と②聴覚派と③体感覚派、主にこの3つの特徴がある。もちろん3つ共、誰もが持っている感覚ではある。でも、人によって使う感覚が偏っていて、誰もが1番多い頻度で使っている感覚というものがある。

①視覚派の人は文字通り、人物や状況、物事を、映像で捉える。人との間に1枚スクリーンが挟んであるような感覚。状況を捉えるのが一番早い。何せ、すぐ見えるものだから、まんま。そして、文字通り、見た目重視。

このタイプの人に『昨日、何食べた?』とか、何かを思い出して貰う質問をすると、『えーと・・・』と言って、黒目が上に行く。もしくは左上か右上か、とにかく上を向いて記憶の映像を確認している。

対人距離は、3タイプの中で、一番遠い。スクリーンを挟んで映像として見ているのが、この人にとっての落ち着く距離。あまり近づかれると見えないので落ち着かない。

このタイプは、人に名前を呼ばれると『はい。』と真正面からやって来る。

②聴覚派の人は言葉や音を大切にしてコミュニケーションをしている。視覚派より情報収集・状況判断は遅いと言われているが、案外そうでもない。めちゃくちゃ耳が良い人だと視覚派に劣らないほど正確に判断するかも知れない。

文字通り鼓膜に響く音を頼りにして生きているので、リズム感がある。目を閉じて喋る人もいる。

このタイプの人にモノを尋ねると、『えーと・・・』と言って、その眼球は左横か右横に動く。まさに耳の方へ行くんだね。

対人距離は、近い人も遠い人も両方居るけれど、あまり大きな声や汚い言葉ばかり言う人だと、うんと遠くなる。ええ、嫌われます。(綺麗な音がお好きなんですよね。)

名前を呼んだとき、頭を横に傾けるようにして、耳から近づいて来るので面白い。傾聴しているときも、右か左の耳をこちらに傾け、斜めになっている。

③三番目は体感覚派の人。この方々は文字通り身体や肌の感覚を大切にする方々で、服もデザイン重視というより肌触りが良い生地を着ている方々が多い。何でも触って確認しようとする傾向にあるので、相手のことも触るし、ショッピングの時も、目で見て決めるというよりは、小物でも食品でも何でも、とにかく触って確かめる。極端な人になると、人の家にお邪魔しても、喋りながらも何でも触りまくる。棚を開けてまで触る人もいる。

このタイプの方は、何かを思い出して貰うとき、下を見る。つまり自分の身体の方を見ている。傾聴する時も、同じように下を見ているか、目をつぶっている。体感覚で捉えようとしているので、伝わり方が遅い。人懐っこく愛嬌があって可愛らしい。太りやすい。(無意識に人との距離を縮めているからだろうか。)寂しがり屋さんでもある。

もちろん、この3つのうち、二つを使っている人もいるし、ごく稀に三つをまんべなく使っている人もいるが、大抵はどこかが突出しているので、そこに繰り広げられる人間模様が面白い。

で、トラブルの原因。

・体感覚派の人が、親しみを込めて『大好き!』と突進して来ると、ビジュアル派の人には、もはやスクリーンという壁を潜り抜け(あるいは突き破って)顔面に来られている気がするので引く。引かれると余計にしつこくなってしまうのが体感覚派。何せ体感覚が頼りなので。ビジュアル派は非常にストレス。これ、互いに疲れ果てるし、体感覚派は、勝手に傷ついたとか裏切られたとか言ってと騒ぐ。

・ビジュアル派の人が買い物していて『この店には欲しいものがない。』とわずか一瞥で立ち去るのに対して、体感覚派の人は全部触ってみないと気がすまない。(一方、ビジュアル派の人はとことん触って見てわかる良さがわからない。)

・飲み会なんかだと、視覚派の人は最初は楽しくて、わーっ!と騒いで、さっと帰りたがる。体感覚派の人は、楽しさも伝わるのが遅いので、皆が疲れ果てた頃に楽しくなり『もう一軒行こう!』と騒ぎだす。何せ、人と繋がるということを意味するのが、この方々にとっては、近くにいるとか、触れ合うことそのものなので、ずっと一緒に居たがるし何時間でもお茶や飲み会をしたがる。

『10年前、好きって言ったよね?』とか言われても相手は『覚えてない。』とか。とかくチャンスを逃すのが体感覚派でもある。遅いよ。

・聴覚派の友人が『夫に愛されていない。』と、やたら嘆くのだけど、はたから見ると、旦那さんは色々と尽くしてくれて、彼女を大事にしているので、周りは、皆不思議に思っていた。

あんなこともこんなこともしてくれている。家事まで手伝ってくれていると、思った友人たちは、全員ビジュアル派だった。見て分かるだろ!というタイプ。

しかし、彼女は聴覚派だったので、こう言った。『愛しているって言ってくれない。』と。

あげればキリがないけれど、単なるセンサーの種類の違いで色んなトラブルが起こるらしい。でも、言い換えると、ただそれだけのことだ。

だから、思いやりで回避できることがある。もしくは、嫌なことは止めてくれと表現する必要があることもあるだろう。

あなたは、どのセンサーを一番使っていますか?そして、あなたの大事な人は?

ほんの一部に過ぎないけれど、理解し合えたら、ますます面白いかもですよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?