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どんな分野でもダメじゃろ、それ

芸能プロダクションに所属していると仰る週2回のナースさん。彼女があまりに仕事をしないので今月いっぱいで切るのだと、課長や先輩ナースさんが話して来たのが、つい先日。

うまく指示だせば動いてくれるんじゃないですか?と言おうと思ったのだけど、一瞬、過去のあらゆる場面を回想してはトホホ・・・となり口を噤んだ。仕方ないな、こりゃ。

忙しい時に作業している人の後ろに来てまでお喋りしたがる人。内容としては、場違いな自分のプライベート、特に芸能のこと。

『音楽でデビューしたくてレッスン通って、点数を取らないと良い仕事をくれないんですよ。レッスン料がかかって仕方ないですよ。』

背後からそう言っているので何か返事しなきゃなと思って『そのためにここに稼ぎに来ているんですね。』と答える。
『そうなんです。で、私はオペラのような曲を作曲したり歌ったりしているのに、先生がポップスの歌い方を薦めるから変な癖がついちゃって。』

あとは何故だか神奈川のめっぽう遠いところから通っているという話。だいたい内容は決まっているのだが、お喋りは止まらない。『田舎だから家賃が安くて、私は大きな家具が好きだから、東京には引っ越すと家賃が高くて、大きな家具も入りません。あのエレガントな家具たち。だから○○から通っているんです。』

それは大変ですね。

という感じで、口は動くが仕事しない。しないものだから余計に何をやって良いのか分からないらしい。もはや指示を出す人も居なくなって来た。何せ信頼できないから。

なので任せるとしたら、せいぜい、パンチで開けた穴にシール貼って補強すること。延々とそれをやらされている事にも何の疑問も感じず、お喋りを続けている。

この日は、週一で来ている理学療法士さんも芸能活動しているという話を聴きつけて「何か聞いていませんか?どんな人ですか?」と訊いて来るので、『イケメンですよ。努力家です。先日は映画に出れたというニュースを渡曽に持って来てくれました。』と言うと、

語気が若干荒くなって、『私はそういう分野じゃありませんから!』と。

もう少しで言うところだったよね。どうでも良いわ!2か月目なんだから、もうちょっと仕事覚えろよ!と。

毎週の週初め、彼女の人生の言い訳を聞く度に思う。

よく知らんけど、多分、売れる人というのは、週に1度か2度しか来ない他分野の仕事でも一生懸命やる人だろうなあ。
そして仕事があることに、もっと感謝が出来る人だろうなあ。

ましてや、その世界は、特に人に好かれなければならない仕事、心を動かして貰わなければならない仕事。

皆が汗かいて働いているときにお喋りして邪魔したりする人は、小さな職場の中ですら人気ないし、
売れる人、チャンスを掴む人というのは、今、何をやったら周りが助かるか?そんなことを想像できる人に他ならないだろうなと思う。

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