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メリークリスマス♪

またポツリと陽性者が出てしまったので、クリスマスに意気消沈してしまう。が、もはや薬が届くのも早い。日曜日だというのに医師や保健師さんと連絡が取れるなんて頭が下がる。

色んな業種の人々がナニクソと頑張っているのだから私たちも頑張ろう。
幸いにも症状が落ち着いている。
10日間の療養となると年をまたいでしまうのでご本人も落ち込まれているのでは?と心配した。
が、完全防備はしているものの、入れ替わり立ち代わり色んな人がケアに入って寂しい思いはしていないとのこと。「むしろ やかましいわ。」とのことで、笑ってしまった。

よし。乗り越えるぞ。

***

今の施設に勤めてからもうすぐ3か月。
ただの一度も口をきいたことがないお婆ちゃんが居た。
私が新参者だからというわけではなくて古いスタッフも「滅多に喋らないよ。声聴いたのは何年前かなあ?」と言う。

夜間だけ酸素投与している方なので、もしかしたら喋ると苦しいのかも知れない。と、私は思ったのだが、多くの人が「認知症だからだと思うよ。」と言う。
いいや、それは絶対ない。
きっと全部分かっていらっしゃる。認知症は軽いか、もしくはゼロだろう。

何故かと言うと他の人の爪切りをしている時に、じー-っとこちらを見ていて、今度は両手の指をご自身の方向へ曲げて、じーっと手を見つめていらしたことがあった。言葉には出さねど「伸びてんなー・・・」という心の声が駄々洩れ。

よろしかったら、切りましょうか?と声をかけると「うん。」と一言返って来た。あの時の目の色や微かに笑った顔。その「うん。」という声。

返事をして貰えたことも嬉しかったのだが、またそれから二か月。こちらもこの人のプライベートな時間や安静度を邪魔しない程度に観察していた。

すると、日頃から私たちの一挙一動を観察しては「馬鹿だなー」とか「あいつは嫌いだ」とか色んなことを感じていらっしゃるのが分かる。

モノ言わぬ人のことを、人は何も考えていない人と思うふしがあるのは何故なのだろう。

と、そんなことを思っている今日は、血圧を測っている途中でいきなり「出身はどこ?」と訊かれた。あまりにもハッキリ&キッパリとした発声なので驚いたが「あちらこちらにいましたが、主に熊本です。」と答えたら、「おお~!」と返って来た。

え?もしかして同郷ですか?とテンション高めに訊いたのだが。

「いや。神戸。」

ぜっんぜん違うじゃないですか!と突っ込むと、爆笑なさった。

あ、凄い。凄く可愛い。

呼吸が苦しいわけじゃないらしい。なかなかの肺活量を感じさせる笑い方だった。
そして、気が付けばちょっとした人だかりができていた。何せ、滅多に聞けない声だから「え?Hさん?Hさんが会話しているの?」と覗き込む面々を見て、また笑っていらした。

「この人が面白いから。」と指さされた。この施設に来て、これ言われるのはもはや何人めか。

コロナ陽性者が出て戦々恐々としている中、この方が親しく話して下さったのが、とても素敵なクリスマスプレゼントのように感じた。と、そんなこと言っていると、今年はいっぱいプレゼントを貰ったなあ。

笑顔に嘘もほんとも無いだろう?と言われるかも知れないが、私は人の本当の笑顔を見るのが好きなのだ。お腹から笑っている瞬間を見るのが好きなのだ。
何故ならば、人は笑うために生まれて来たのだから。

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