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お婆ちゃんの指令①

その昔、私がまだ”若い看護師”だった頃は、”医療用語辞典”とか”今日の治療薬”と題された辞書を毎年のように買わなければならなかった。

それが今では、ネットというものがあるので、分からない名前の新薬がいくら出たとて、そして、例え往診中であったとて、手元のipadか携帯でササーっ!と検索出来てしまう。

お金がかかって仕方がなかった昔と比べ、ある意味エコになったと言える。

しかし、ある日、思わぬ方向から異変が起こる。

薬の名前を調べているのに、あるいは病名や治療法を検索しているというのに、その間にチョコチョコ、いや、酷いときは冒頭に、全然関係のないリンクが出る。

クリックしてみると、どれも栃木県の地図やら路線図やら・・・。とにかく栃木県に関すること。

栃木県なんて行ったことがない。それに関連することを検索した覚えもない。

それが10数回目になると考え出す。

何?誰?と。

次に別の現象が起こり出す。

以前、クリスタルヒーリング用のブレスやネックレスやアクセサリーを作成していた頃は、毎日のように、この方法で映像が頭にポンとポンと浮かんでいた。アロマの調合も具体的に降って来るというような現象が起こっていた。

実は今でも時々そういうことがあって、今すぐ作らなければならないのか?と気になるけれど、そんな時は、何となく上を向いて「今は無理。」と返事をしている。

話は逸れたけど、栃木県の地図が目に飛び込んで来たり、頭に浮かんで来るのと同時に進行していたのが、何やら紙のようなものでラッピングされた日本酒と、肉が入ったお弁当の映像。

夢の中でさえ地図が浮かぶ。次に映像も浮かぶ。多分、本当に栃木県のどこかの風景なのだろう。

夢の中で『バスも通ってないのか!』と言う私。『前はあったんだよ。』と言う誰か。

私が夢の中で言っている。『そんなこと言ったって、お孫さんは、海が見たいって言ってるよ。』と、誰かにそう言っている。

会話は、そのずっと前から長いこと続いていたけれど、目覚めたあと覚えているのは、こういう断片的なやり取りだけ。

『いいや。あの子は、温泉に行きたいとも言っていただろ?うちに寄った後、ほんの1~2時間電車に揺られて行けば良い。』

だからさ。その、”うち”って、どこ?

『花と線香だけでいいよ。くれぐれも他のものは要らないよ。気ぃ使わなくて良いよ。』

先方は、酷く訛っているものの、だいたい、こういう意味。
くどいほど『いやいや、要らんて。ほんとに花と線香だけでいいて。』

そのくせ、例のお肉のおかずのお弁当と紙のようなもので包まれた日本酒の映像をセットで見せてくる。これは、絶対、持って来い!と言っているな。

今朝、また同じような夢を見て、『またかあ・・。』と起きた後、ぼーっとしていた。リビングにフラフラ歩いて来て、タバコに火をつける。

ボーっとして、その夢のことを考えていたら、Kちゃんが続いてフラフラと起きて来た。「おはよう。。。。」

その姿を見て『あ。』と思い、訊いてみる。

お婆ちゃんはご存命か?と。

2年ほど前にお亡くなりになったとのこと。そう言えば、そんな話を聴いたことがあったような。

大往生だったそうだ。お肉が好きで、90代になっても、がっつりステーキを食べていた人だったという。

Kちゃんは、東京は渋谷で生まれ、ずっと新宿と渋谷に住んでいた。親御さんの経営する居酒屋さんもずっとその辺りだったからだ。

しかし、お婆ちゃんはが栃木だったので、夏休みや冬休みなど、実に多くの時間を栃木のお婆ちゃんと過ごしていたのだと言う。

Kちゃんは、幼い頃からお転婆で、トラクターを暴走させていたと言う。(す、凄い子供。)

だから、お婆ちゃんにはよく怒られた。お婆ちゃんは、新聞紙を丸めて、『お命、頂戴!』と叫びながらハエを叩く人だった・・・、お婆ちゃんは・・・と雄弁にお婆ちゃんのことを語りだす。

・・・・。墓参りは行きましたか?

『いや。』

行きましょう。本当は8月に行かなければならなかった。思えば8月あたりから時折見続けていた夢だったから。

『でも、遠いよー。お墓がある駅は宇都宮からずーーっと電車で揺られて、〇〇駅に着いた後も30分くらいはタクシーに乗らないと辿り着かない。』

今はバスもないんでしょ?

『そうそう。何で知ってるの?前はあったけど、誰も乗らないからバスすら無くなったんだよ。田舎だよー。』

でも、今年中に行かなければなりません。なるべく。

線香と花は宇都宮の駅で買っておかなければなりません。そして、和紙みたいなものでラッピングされた日本酒と美味しそうなお肉のお弁当は宇都宮の駅にあるそうです。

Kちゃんは、少しびっくりしたような顔で、しかし、詳細を話すと、『なるほどー。』と納得していた。

ちなみに、お婆ちゃんは、さほど日本酒は飲まなかったとのことだが、酒飲みのお爺ちゃんが同じお墓にいらっしゃるとのことだった。

『でも、どうしてOhzaちゃんも付き合ってくれるの?凄い田舎だよ。つまんないでしょ?』

そりゃあ、正直言うと、面倒臭い。( ;∀;)でも、行かねばなりません。

『どして?』

あなたが気付かないから、私のところに指令が来た。そして、場合によっては、ゲンコツかお小遣いのどちらかをくれるそうです。

なんちゅうババアだ。(恐怖の2択ロシアンルーレット)

それにしても、ネット社会。

最近は、通信経路も豊富なんですね。

そんなところで感心してしまいました。

秋ですねえ。(?)

***

今日も良い1日でありますように。

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