今こそ宝塚。的な

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コロナと安倍政権&次期スガ政権が酷くて、宝塚歌劇も休演相次ぐ。これを人災と言わずして何と言おうか。
俺は阪急沿線の某駅付近に居住。阪急の駅にはヅカ休演の貼り紙が、ずっと。
市民は存外、歌劇は当たり前すぎて ー つまり散歩(や、うさんぽ)をしていたら自動的にジェンヌさんと邂逅 ー ありがたみが失せてるフシもあるが、近畿圏はもとより遠方から来らるる向きには「ムラ」の御威光が、こんな時こそひとしおなのではないだろうか。
かくなる自分も一旦九州に戻り、その後東京へ再臨した頃にはそうであった。

宝塚歌劇との距離感はしかし大事であって、「だいもん、キャー♪」だけじゃその楽しみは半減するかも知れない。

俺が阪神競馬場からリプレイス・ほとんど毎日大劇場に通っていた頃は、まだ男性客は少なかった。いるにはいたが、概ねご夫婦の片割れ。あるいは歌劇なぞに何の興味もないツアーの団体客。
が、コロナ前には若い男の子の二人連れや俺みたく単独で来る奴。あれから20余年、野郎が増えたなあ。そう痛感し、ある種感慨を催したもの。

従前ここに書いたかも知らんが、梅芸かどこかで上品なおばあさまと隣合わせたことがあった。刀自おっしゃるには、
「戦前の宝塚は関学や関大、近隣の男子学生が大挙押し寄せ、贔屓を巡って大喧嘩していたものですよ」

かの川端康成は浅草オペラのフリークで、かくなる連中を浅草では「ペラゴロ」(オペラのゴロ)と呼んでいたが、これは上記の如く「だいもん、キャー!」とベクトルは同じであり、喧嘩こそしないだろうが距離感を失しているの例え。落ち着きたまい、君たち。

宝塚歌劇は兎にも角にも、先づ演劇である。舞台が良かった悪かったもさりながら、「なぜ良かったか」「どこが良くなかったか」を言語化することが肝要。とまれ演劇は知的表現であり、演者と客のインタラクティブ(双方向性)によって成り立つものだから。
機関紙『歌劇』の投稿欄、「高声低声(こうせい・ていせい)」には、批判的なのはまず掲載されない。そこが今の阪急グループの課題じゃあるけど、いずれにせよ言語化するのは大切である。

ここで音楽。
◆蘭乃はな氏による、あれ。
https://youtu.be/R0C4t1FSvOo


例えば俺は、轟さん主演『猛き黄金の国』について書きました。https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787271426/
※詳細は(今や古書だが)買って読んでください。今の「イズム」は「アカデミア」の後継誌な。

文章でなくとも、言葉自体で語るのは大切。「いったいそれは、何ゆえに」。これが ー 学歴云々関係なく ー 知性の基であり、宝塚を対象化することで百倍楽しめる。ただ「わー、キャー」じゃなく。
提案にも有効。きりやんのあれ、エッフェル塔のエッフェル氏をモデルにしたかの作品でも、「みなさん、人間関係を一度図にし、互いの関係性を確認した上で、役づくりをしたらどうでしょう」とか、鳳凰伝については
「なんでタカコ氏が、いきなり花ちゃんを好きになるのさ。あそこはタニといったんブレイクし、つらつら考える場面を挿入した方が良くね? つーかキムシン、やっぱ芝居のリズムを重視したのかな」
https://youtu.be/4zO96_2ncfk

なんて書けたり、書けなかったり。

言語化・対象化するにはやはり、ものの本を読むのが最適で、俺は

・川崎賢子『宝塚 ー 消費社会のスペクタル』(講談社選書メチエ)
・阪急沿線都市研究会編『ライフスタイルと都市文化 ー 阪神間モダニズムの光と影』(東方出版)
・津金澤聡廣『宝塚戦略・小林一三の生活文化論』(吉川弘文館)

等を読みまくり。勢い余って、

・能登路雅子『ディズニーランドという聖地』(岩波新書)

まで。
やや、元理事長の故小林公平さんが言いよったとよ。「宝塚のライバルは劇団四季じゃない。ディズニーランドだ」ち。
※83年頃の「歌劇」・『花の道より』に掲載。その意は本駅(阪急宝塚駅)から花のみち、大劇場に至るあの辺。いわゆる「ムラ」こそ、日常・世俗と断絶し異界へ至る道程であり、それはミュージカル以前にかくなる異界を創出し得る、ディズニーランドと同義であるの謂。

公平氏はかくも慧眼であったが、ムラはもとより毎たび全ツを追っかけるくらいの気合いがあるなら、たまには俯瞰し「宝塚とはいったい何か」「なぜ私を魅了してやまないのか」を分析してみたらどない?

深掘りすればキリないが、今はコロナで観劇できない。もっけの幸い、こんな時にこそ。

◆アステア&ジンジャー・ロジャース ー Dance with Me Tonight 
https://youtu.be/k480pzWyc3Q

ジンジャーねえさん、クソ可愛えー❤️

言語化・対象化は、政治についても同じです。

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