利用者さんもスタッフも ”人間 ” 。 受け入れ合うことで、社会へ価値を提供する
株式会社PLASTの久遠チョコレート神戸(就労継続支援B型)で支援員として働く上田芽依さん。就労移行支援での勤務のご経験があり、その後、総務として塾の管理本部で勤務されていましたが、やはり対人支援の仕事をしたいという経緯で株式会社PLAST 久遠チョコレート神戸へ入職されました。今回、転職の経緯や就労継続支援での支援員としての働き方、これから担いたい役割、どのような施設にしていきたいかをお聞きしました。
利用者さんとスタッフが認め合う環境、自分らしさを求めて
ーはじめにプラストをどのように知ったか聞かせていただけますか?
きっかけは、大阪の阪急百貨店で行われていた、バレンタインチョコレート博覧会です。チョコレートが大好きなのでチョコレートを買おうと見て回っていたら、久遠チョコレートが出店されていました。そこで、久遠チョコレートでは、障害のある方やママさんなど、多様な方々が働かれていることを知りました。興味本意で会社のホームページを調べてみたんですけど、「誰も置き去りにしない、凹凸カラフルな社会を創る」という、素敵な理念に強く惹かれました。これがプラストとの、久遠チョコレートとの出会いです。
全国の働きたい!と願う多様な方々が力を合わせてチョコレートを作って、さらに一般市場で通用するものを作ることで、多様な「個」を持つ一人ひとりが社会のなかで輝けることがとてもいいなと思いました。求人募集してるかな?と思って求人を見たら、ちょうど募集があったので、気づいたら問い合わせをしていました。
ー今までも、同じような業務のお仕事をされていたのですか?
前々職では児童発達支援と就労移行支援のお仕事をしていましたが、前職では塾を運営する会社で総務のお仕事をしていました。でも、やっぱり対人支援のお仕事がしたいなと思いながら過ごしていたときに、先ほどの経緯でプラストに出会って、すぐに見学の依頼をして、見学後3か月以内で入職していました。
ー素敵な経緯でのご入職ですね。施設を見学して、どのような印象を持ちましたか?
和気あいあいとした雰囲気で明るい印象でした。利用者さんとスタッフが、「お互いを認め合いながら一緒に働いてる」という感じも素敵だなと思って。見学した際に、利用者さんもスタッフも「何でも聞いてください」と言ってくれたり、色んなことを質問してくれたりして。素直に「自分でも受け入れてもらえるんだ」と嬉しく思いました。自分も、自分らしく働くことができそうだと思ったのが働きたいと思ったきっかけです。また、久遠チョコレートだけじゃなくて、プラストの他の施設も見学させていただきましたが、どこも勢いがあり、活気が感じられました。
利用者さんの未来を想像して、お互いにひとりの”人間 ”として向き合う
ースタッフも利用者さんも仲の良いプラスト感を感じていただけていましたね。ここで、現在の仕事内容について、就労継続支援をご存知ない方にも教えていただけますか。
就労継続支援とは、一般企業に就職することが難しい、精神障害・発達障害・肢体不自由など、様々な障害のある方に対して、軽作業などの就労訓練を通して、働く機会を提供する福祉サービスです。
利用者さん一人ひとりに合わせた支援を記した個別支援計画を作成しています。一人ひとりに叶えたい目標・なりたい自分・大切にしたいことがあって、そのために本人が何を頑張らないといけないのか、スタッフはどのように支援していくのかを、本人とも話し合って計画を立てます。
私、大好きなんですよ。支援計画作るの。支援計画は、その人がより良い人生を過ごすために、「これができるようになったらいいな」「こうなったらもっと素敵だな」って未来を想像しながら作るので、すごくワクワクします。
他にも業務として繁忙期以外は、週に1回ワークを行っています。私は主にソーシャル スキルトレーニングを行っています。
例えば、こういう時にどんな気持ちになるかな?どうしてこの気持ちになったのかな?とか、イラストを見て利用者さんと一緒に考えます。相手の気持ちや自分の気持ちに気づくことで、自分の今の気持ちを相手に分かりやすく伝えることができたり、モヤモヤした感情になった際、その人に合った適切な対処法が取れたりできるようになればいいなと思っています。
「疲れたからお水を飲んでリフレッシュしたい」「ちょっとイライラするから、紙に今の気持ちを書いてストレス発散したい」とか。今の気持ちを自分で自覚して、どうしたらいいのかを考えて、実際に対処方法を試してみる、ということができるようになればいいなと思っています。こんな感情表現があるんだよ、こんな対処方法があるんだよ、と、一人ひとりの表現の幅を増やしていくイメージでワークを行っています。
「これは違うよ」っていう事実はちゃんと伝えなきゃいけないし、でも、その人の意見もあるし、その人が今まで生きてきた人生とかプライドとかももちろんあるから、「どうやって伝えたらいいかな」「どんな工夫ができるかな」「今の伝え方は良くなかったかな…」って毎日考えていて、本当に、毎日勉強だなと思います。
生きていくうえで、受け入れることができる幅を広げるのってとても大事だと思っていて、考え方は一つじゃなくて、他の考え方もあるよねって思えるようになってほしいんです。自分もなかなかできないですけど。思い通りにいかなくても、「じゃあこうしたらいいじゃん」「まあいっか」とかって思えることができたらいいなって。選択肢の幅を、スタッフとか利用者さんとか関係なく、みんなで広げていくことが大事だと私は思っています。
ー単に利用者さんとしてでなく、あくまで”人”として関わられていることが素敵ですね。その関わりの中でなにか印象に残っていることを少し教えていただけますか。
周りを見て行動することができていたり、他者を気遣ったり、協力したり、いつもはあまり関わりがない人同士の会話が弾んでいたり、知らなかった一面が見えたり…利用者さんと過ごす毎日は本当にキラキラしていて、人間って素敵だなあ、面白いなあ、と、本当に毎日感動してます。笑
利用者さんにとっては、周りが見えてきたからこそ、「自分は周りと比べて上手くできない」って自覚して落ち込んでしまうこともあります。でも、周りと比べて落ち込むって、そもそも周りを気にして見ないといけないし、自分も頑張りたい!っていう気持ちがあるからこそ思うことだと思うので、悩みがあることも必ずしも悪いことだけじゃなくって、成長の過程なんだなって思ってます。
ー周りを見て、基準が出来て、悩みができて...も大事な過程なんですね。その過程をも見つつ、上田さんは色々な視点から関わりを持てているのはすごいことですね。
全然できないときもあります。笑
ーどういった時にですか。
商品を売るということは、お客様が買いたいと思う、満足するものを作らないといけないので、私自身が作業に必死になってしまって、「ちょっと待って」と後回しにしてしまったり、「これをこうして」のような曖昧な表現で指示を出してしまったり…できていないことはたくさんあります。
でも、それでもいいのかなとも思っていて。 支援するスタッフも人間だから、間違うこともあるし。上田さんにも分からないことなんていっぱいあるし、バタバタしたら余裕もなくなるんだなって。こんな風に生きてみてもいいかなって、ロールモデルにしてくれたら嬉しいなと思います。
人と社会を繋ぎ、お互いに受け入れ合い、社会に価値を提供する場所にしたい
ー人間らしさを大事にされている印象がとても良いです。今後、上田さんはどのような人になっていきたいですか?
やっぱり、現場での直接支援が楽しいなと思っていて。体力のある限りは続けていきたいなと今は思ってます。でも、やっぱり自分一人でできることってすごく限られているから、例えば病院だったり、他の就労継続支援事業所だったり、連携できる横の繋がりを持てたらもっといいのかなと思います。
一人ひとりの選択肢の幅を広げるためにも、「こういうときはこの事業所と連携しよう」とか、「困ったときはこの機関に繋げよう」とか、人と社会とを繋ぐ役割を担える人になれればいいなと思います。
ーとても良いですね。加えて最後の質問になりますが、久遠チョコレート神戸がこうなってほしい。このようにしていきたい。みたいなイメージはあるのでしょうか。
利用者さんも、スタッフも、みんなの「個」をお互いに受け入れながら、協力して働くことで、もっともっと社会に価値を提供することができるようになりたいです。利用者さんも、スタッフも、それぞれが自分の人生を生きていて、自分が主役だと思うから、自分がもっと良いな、楽しいなって思える人生を、みんなで歩んでいけたら嬉しいです。
▼久遠チョコレート神戸(詳しくは会社H Pへ)
就労支援B型事業所・チョコレートショップ
チョコレート作りを通して、食べていただいた人を笑顔にするお仕事をしており、お仕事の内容はチョコレート作りから包装まで様々で、その人のできる範囲に合わせたお仕事をすることができる。お店の外観やスタッフの服装まで、おしゃれな空間づくりにこだわっている事業所。
「笑顔のための多様性・できないことはできるようにすればいい・あなたの街のチョコレート店に・夢をかなえる場所をともにつくる」の4つのコンセプトを掲げて事業を行っている。