避妊具へのアクセスの現状とは?
PLASでは、活動地域であるケニアのホマベイ郡で「望まない妊娠」を防ぐ活動をすすめるにあたり、リプロダクティブ・ヘルス・ライツに関する調査として、例えば避妊へのアクセス状況や学校での性教育の状況、地域の医療施設の状況などの実態を調査しました。
「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)とは、性や妊娠・出産に関わる全てにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも本人の意思が尊重され、自分の身体に関することを自分自身で選択し、決められる権利です。
これには、性教育や避妊手段、妊娠中の適切な医療サービスへのアクセスなどが含まれます。
リプロダクティブ・ヘルス・ライツは、女性の権利や性的マイノリティの権利も含まれており、これらの権利が守られることで、個人や社会全体の健康と幸福が向上すると考えられています。
今回のレポートでは、リプロダクティブ・ヘルス・ライツに関する調査として、若者がどこでどのように避妊方法にアクセスできるのかの現地調査の結果の一部をお届けしたいと思います!
『望まない妊娠』を防ぐための取り組み
まずは、「望まない妊娠」を防ぐ事業について紹介します。このプロジェクトを通して、私たちは2つのことを実現していきます。
①「子ども・若者が自分らしく、前向きに生きられること」と、②「地域コミュニティの意識を改革すること」です。
早すぎる妊娠をする女の子を減らすことだけではなく、現地の子どもたちが自分を大切にすること、必要な時に必要な選択をし、行動に移せることを目指しています。
そして、将来的に、このプロジェクトをモデル事業として確立し、他の地域や周辺の国に支援を広げていくことを目標にしています。早すぎる妊娠がきっかけで夢を奪われる女の子はケニアのホマベイ郡だけではないのです。
今回の調査は、この事業がしっかりと成果につながるように、現状を捉え、事業を作っていく過程でとても大切な調査となります。
避妊具にアクセスできる施設の調査をして、見えてきたこと
避妊具のアクセス調査は現地スタッフのダンと現地イターンの戸谷が現地で実施をしました。
活動地域にある薬局、現地パートナー団体の運営するビアジェンコヘルスセンター、キオスク(地域の小さな商店をキオスクと呼びます)、地域のキタレヘルスセンターを訪れ、調査にご協力いただきました。
ヘルスセンターではコンドームを無料で提供している場所もありますが、政府の供給に依存しているため、在庫の状況には差があります。
大きなキオスクにはコンドームが置かれていることがありますが、小さなキオスクにはほとんど置かれていないのが現状でした。
こちらは、男性用コンドームのストック状況です。
調査した施設の半分以上は男性コンドームのストックがあり、中でもヘルスセンターと薬局で半分以上を占めています。
しかしその一方で、キオスクは3件中1件しか取り扱いがないのが現状です。
ヘルスセンターでのコンドーム提供の窓口は看護師や医者である一方、キオスクでは知識が豊富とは言えないスタッフがコンドームを販売していることもわかりました。
地理的なアクセス状況も大切なポイントです。
地域の子どもたちが通う学校の近くにキオスクや薬局はほとんどなく、一番近いキオスクは5キロほど離れた地域に集中しています。
また、ヘルスセンターも学校からは3-4キロと少し離れており、簡単に避妊具が手に入るわけではない現状が見えてきました。
生徒たちの中にはインプラントやインジェクションなどの長期的な避妊方法を希望する人が多く、コンドームは1回しか使えないという理由から、積極的にコンドームの使用を希望する生徒は少ないことがわかりました。
こうした現状を踏まえて現地での啓発の内容や方法を検討していきます。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
継続的に活動を応援、支援してくださる方がいらっしゃいましたら、PLASのマンスリーサポーターをお申し込みいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
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