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日本のZINEについて 知ってることすべて

"それは管理と検閲、商業主義が猛威を振るう21世紀の現在において、一筋の希望となるに違いない。あまりにささやかではあるけれど、すべてはひとりの人間が何かを伝えてみることからはじまるのだから。"2017年発刊の本書は、日本の自費出版活動、ZINE文化を年代とテーマ、資料で紹介している貴重な一冊。

個人的には、大阪は梅田近くで『はっち』という、全国でも珍しいと思われるフリーペーパー専門店もしている事で、様々な取材の度に必然的に【フリーペーパーやzineの定義や歴史について】説明を求められる事。また各地でWSを担当する際の実用的資料として必要であった事から本書を手にとりました。

さて、本書は日本のZINE文化に詳しい古雑誌蒐集家、オンライン書店店主を主な執筆者に迎えて【1960年代から現在に至る】同人誌、ミニコミ誌、リトルプレスなど。【日本の自主的な出版活動の歴史】を豊富な資料と証言によって振り返ってきたデザイン誌『アイデア』連載の記事を書籍としてタイトル通りに整理した内容になっているのですが。

私的には、フリーペーパーやzineに関する本については【デザイン面の解説や作り方を紹介する】所謂ノウハウ本が多いと普段から感じていた事から。文化史と言える扱いをしている本書の存在自体がとても嬉しく思いました。

また雑誌連載と違い、こうして一冊にまとめてくれている事で。あらためて自費出版が【一部の趣味的、ニッチな文化】といった孤立した活動では決してなく、学生運動やベトナム反戦活動、インターネット普及、911や311といった各時代の事件や【マスメディア、メインカルチャーとの相互補完関係で】派生して存在してきた事が一望して確認できて、こちらも普段から周囲に対して。

"フリーペーパーは『無料』だけでなく『自由』な文化なんだ!デジタルで何でも『記録される時代』に『消えゆく価値』『小さな声』をカウンターカルチャーとして伝えてくれているんだ!"

と、熱苦しく日々発言している立場として、読み終えて。勇気づけられるような読後感でした。

zineやリトルプレス、フリーペーパーやフリーマガジンと名称に限らず自費出版活動に当事者として関わっている誰かや、興味のある誰かにオススメ。

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