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歩行者にはとことん厳しいベトナムの道を40分ほど歩いた結果

私は、変なところで見栄を張る癖がある。とりわけ、旅行中や新しい場所へ行ったとき、ご飯を食べた翌日は、お金の節約と消化の為にとにかく歩く。

お金の節約、と言っても、ベトナムのバスは安い。1時間程乗っていても、30円程。もはや「なんのため」を追求しだすと、節約どころか自分の時間を無駄に使っているような気もするが、なぜだか歩きたくなる。

ホーチミン最終日、私はMAROUへ寄って、バスターミナルへ行き、カントーに戻る予定だった。一区からMAROUまで、グーグルマップで検索すると徒歩30分ほど。ただ、ちょうど歩いていたときにバス停があり、ここの区間は素直にバスに乗車。ちなみに、ホーチミン市で以前バスに乗車した際は、切符販売員に直接お金を渡して切符を購入していたのだが、今回乗車したバスは前から乗車し、乗った際に運転手横にあるボックスにお金を入れてチケットを取るという若干機械化されていた。料金は1回6000VND(約30円)。

10分ほどでついた。調子がよい。MAROUでは、商品を見る。WiFiをパスワード無しで使えたのでしばらく店内をうろつく。お土産を選んでいると、いつの間にか時間が経っていた。

MAROUはハノイでも立ち寄ったが、ベトナムでは有名なベトナム産カカオを使ったチョコレートショップだ。欧米人、数名の日本人もいた。

あと1時間でバスターミナルまで行かなければ。グーグルマップで調べると、MAROUからバスターミナルまでは徒歩40分。

「行ける」

と思った。ベトナムの道は、歩行者にとってとにかく障害物(穴、バイク駐車、木々、電柱、石、虫など)が多いが、いけると。

これは、普通に危険。

予想以上に苦戦した。障害物は、お店の前にいる人々、椅子、テーブル、うねった道など、混沌としていた。そして、ホーチミンはGrabの人々やバス待ちの際に近くにいる人々などに呼び止められることも多かった。

「これは、間に合わないかも」

と歩いて30分程して思い始めた。ベトナムでのグーグルマップは、あくまでも直線距離にかかる所要時間であり、表示されている時間+30分は見ていたほうが良い。というか、現地の人々はそもそも信じていない。

「ここからバスターミナルまで、どれくらいかかりますか?」

と、道端の人々に尋ねるも、

「歩くの?!タクシーに乗って行くべきよ」

と勧められる。そして、スマホを出しながら歩いていると取られるから注意しないと、と言われる。そうなのだ、正直、自分のスマホは、ここホーチミンにいる人々が持っているスマホよりも安く、ボロいものなのだが、気をつけなければ。

結局、最後あと徒歩20分くらいの場所で、タクシーを捕まえて乗ることに。タクシーに乗っている際、バス会社から電話が。「シャトルバスの時刻に間に合いますか?」と。「間に合いそうにないです。あと10分くらいかかります」と伝えると、「次のバスに変更しておきましょうね」という神の声。

タクシーのおじちゃんも最初「どこから来たの?」という観光客向けの会話を始めていたが、私がカントーに住んでいて、ホーチミンにはバイク免許取得のために数日間だけおり、またカントーに戻る、ということを知ると「ホーチミンはカントーより渋滞が酷いからね。まぁ、大丈夫だよ。バス出発までには間に合わせるよ」と同情。タクシーの中で焦っても仕方がないので「ホーチミンは良いですが、カントーも素敵な場所です。ぜひ、カントーへ来てください」とホーチミン生まれのベトナム人運転手へもカントーをオススメしておいた。

無事、到着。電話をかけてくれたバス会社の女性が、手際よくチケットを準備してくれた。ここはWiFiもあるしトイレもあるし、結構快適な場所だ。今回、英語が流暢な男性スタッフもいることを知った。あとは、数分待つだけだ。バス停でシャトルバスが来るのを待っていると、隣の席に座っていた旅行中らしきカップルが英語で喧嘩をし始める。私も大変だったが、彼らも大変だ。

シャトルバスが来た。なぜか、ベトナム人は、バスの後ろの席が大量に空いているのに、前に座りたがるため、一人で窓側に座っていると隣に座ってくる。少しふくよかな女性の生暖かい体が、汗だくの自分の体に近づく。暑い。

ベトナムでは、あまり歩くものではない。でもこうして、バス会社の方の優しさ、気遣い、タクシー運転手との出会い、会話に触れ、カントーに戻ってくることができて、良い経験になったといえばなった。

こうしてまたひとつ、寛容な心を持って人に接することができる気がする。

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