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「技術と社会の両方に精通する」ベトナムで出会った、同世代の観光系IT社会起業家インド人

もともと、インドの巨大財閥タタ・グループに勤務していて、その後、スタートアップ企業を経験し、観光系のテック企業を5年程前に起業した、同世代のインド人エンジニア。たまたま、私も観光系であり、ベトナムのホーチミン市のITEという旅行博に行く予定をしていて意気投合し、合計8時間ほどの時間、場所を3か所移動しながら、いろいろ語り合った。

ビジネス環境で見た場合、とにかく、このインド市場というのは巨大であり、観光業としてもベトナムに来るインド人は昨今急増している。先日、SaigonTimesのニュース記事で、Vietjetがフーコック島とインドのムンバイを結ぶ直行便を始めて就航させたことを知った。インド人の観光客が増える、というのは、つまりインド人のビジネス展開も、ベトナム全土に広がっていっていることを痛感する。

日本人の私にとって、インド人とベトナム人の共通点は、当然ながら国の発展度合にもよると思うけれど、躊躇なく「移動する」というものだと思う。家族を第一に考えるけれど、その家族を養う為、そして自分自身のキャリアアップの為、チャンスがあれば、とても柔軟に、軽く、国境を飛び越える。そして、それが、一般市民にできるだけの治安の安定が国家間にある。

「移民」「難民」というのは、どちらかというと国家の安全保障に危機があり、逃げないといけない状況かと思うけれど、母国に身の危険を感じるわけではなく、ただ、チャンスや経験を掴もうという貪欲さ。

「僕たちは、SNSが生まれる時代に同時に生まれて、この爆発的にネットで繋がるときを経て、未来を創り出している。これほど興奮する時代は無いんじゃないかと思う。」

ベトナム料理を食べながら

彼は、インドの中でもトップスクールを卒業し、MBAも取得したうえで、インドの企業でもとても上手に上司と関係性を構築しながら(上司との関係性は、日本と同様未来を左右する)、結果を出したうえで、各国を渡り歩いてきた。シンガポールにも数年滞在し、今は東南アジアを中心に事業を展開している。オフィスはインドに構えるが、共同設立者と相談し、ベトナム、インドネシアを中心に移動しながら、仕事を熟す。

「自分の経験を、共有できる」

この一言に尽きる。

インド人の多くと出会い、話してきたけれど、彼らは、「技術と社会の両方に精通する」人々だ。少し前、インド人のエンジニアというと、(というか、国籍問わず、エンジニアという職種の人々全般)コミュニケーションが苦手で、社内外でもとにかく画面に向かって黙々と仕事をする人々というイメージだったけれど、これだけ移動が楽に安くなった今、そしてオンラインで繋がっている今の時代、彼らは、とにかく外に出ている。技術力があっても社交性が無い、社交性は飛びぬけているけれど、技術力は無い、そんな人々が日本でも、世界でも多い中で、人々の感情や行動心理、哲学や旅行体験、なんでも話せて、「共感力」「傾聴力」があるエンジニアは最強だなと思った。(そして、どんな料理でも進んで食べられる人、大事)

ベトナムにいるインド人を見ていて思ったのは、彼らは、とてもビジネス志向が強くて、貪欲なんだけれど、ほとんどのインド人にとって、宗教的に食事の制限があったり、ただ単にベトナム料理があまり好きじゃない為、滞在先でインド料理を作っていたり、インド料理屋に行っていること。

彼らが、どれだけ素晴らしい事業展開をしていようが、いくら稼いでいようが、私にとって、一緒の時間を過ごす人々の人間性というものがとても大事であり、例えば、自分が紹介したベトナムのお店で「うーん、ちょっと外から何か買ってくる」とか「後で、インド料理つくるから今は大丈夫」とか言われると(実際、以前言われた)、残念だと思うし、宗教上の理由ならともかく、食べ物の好き嫌いが多いと、どうしても一緒に過ごす時間が少なくなってしまう。

その点、今回出会った方は、「マミが行きたいところ、食べたいもので大丈夫」と言ってくれて、本当に「このお店は美味しい!」「どうやって見つけたの?」「また時間があったら戻って来るよ」と感謝を伝えてくれる方だった。

これが、社交性がある人々の特徴だと思い、有難く感じる。

「自分は、両親にも上司に恵まれた。巨大企業に勤めると、直近の上司が自分の未来を決める。」

「インドでは、旅行会社を設立する場合、特に資格は必要ないが、登録する必要はある。ただ、登録するのは簡単だから、旅行会社は至る場所にある。」

「自分たちは、旅行会社にはなりたくなかった。テック企業を目指している。プラットフォームと最初の10,000人を集めることができれば、あとは口コミで広がっていく。」

「インドでも、そもそも旅行会社に勤めている人々が、パスポートすらもってない場合や、旅行していないことは往々にしてある。だから、お客さんに聞かれてもわからない。旅行会社に勤める人々自身が旅行しないと。そういう環境をつくる必要もある。」

彼のスタートアップ企業は、今年シンガポールで開催されるWeb In Travelの最終選考グループまで選ばれていた。残念ながら、3社の中では、別の企業が選ばれていたけれど、そんなことはお構いなしに、彼は、ベトナムにいるときはベトナムの事業に集中し、私のベトナムでの観光業の経験やメコンデルタの状況等、とにかく興味深く聞いてくれた。

ベトナムを通して、インドとも繋がる。そうして、毎日濃い時間を過ごしながら、とにかくまとめないと!と言葉を綴った。別に、これは日本と比べようとか、ましてや自分と比べようとか、そんな話ではなく、たくさんの学びを教えてくれる、一緒にいて居心地が良い人々が見る世界を記録に残したいという想いだけ。


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