海外駐在員、1週間の「日本旅行」へ:散歩と本箱と温泉と
「健康管理休暇」というものを利用し、1週間の日本旅行へ出かけることに。
周りには「短いね~」「もっと長く満喫したらいいのに」と言われながら、正直、日本では美術館と本屋と温泉巡り、そして食事ができたら、充分満足だった。それよりも、東京のホテル代の高騰に驚いた。コロナ禍では3800円、旅行券があったときは7000円くらいだった同じホテルの1泊料金が、今回13000円ほどに値上がりしていた・・・!
いやぁ、インバウンドも戻り、ホテル業界にはできる限り儲けてほしいとは思いますが、スリランカとかインドのように、国民には「日本人割」とか無いのかね・・・と、ふと思う。
Day 1 空港(往路)
インドのチェンナイから日本に飛ぶとき、今はまだ直行便が再就航していないので、デリーやバンコク、シンガポールなどでの乗り継ぎとなる。
「バンコクでの乗り継ぎ時に、タイ料理でも食べてゆっくりしよう~」とか優雅に考えていたけれど、深夜便はなかなか疲れて、機内食も多かったので、ひたすら座って本を読む。
成田空港は、2020年、まだ一般旅行客が観光利用できなかったときから利用していたけれど、コロナ禍の閑散とした空間が嘘みたい。店が全部開いている!ユニクロも新店舗オープンしている!外国人観光客が多い!税関の登録は事前にオンラインで済ませておいたほうが楽!
ご飯は、餃子と焼き飯セットを(・・・「中華やんっ」と自分で突っ込みながら、いや、これは日本の中華だ、と言い聞かせる)。
日本メモ
・日本人の女性は、声が高い。そして、通常何か愚痴っているか、何食べるか話し合っている。
・顔認証のパス使えるのは、日本人特権で早い。
・税関申告のQRコード、前のパスポートで登録していたから、現場で編集した。紙で書かなくてよいのは便利だし、待たなくて良いから楽。
・バスルームの水道水は飲料水として利用できることがすごい。
・飛行機は、どちらも隣人おらんくてゆったりできたけれど、とりあえずひさしぶりの長距離&夜中で疲れた。温泉の元を購入して、ゆっくり長風呂。
Day 2 深川の街
9時起床。なかなか、腰を据えてメール作業ができないものだ。成田空港第1ターミナル→TCAT バス(2800円)は1時間ほどで深川の街に到着。渋谷や池袋、新宿など東京西側の人込みは避けたいので、いつも深川に戻る。
平日に下町を歩く感覚。9月は残暑日が続き、日傘が必要だけれど、人が少なく静かな町を歩けるのは、どれだけ貴重なことか。この感覚は、日本を含めた数少ない国や場所でしか味わえないのではないか、と思う。
東京都現代美術館
この界隈に住んでいたとき、数年ほど改修工事が行われていて訪れることがなかった東京都現代美術館。ここでは、企画展、常設展が開催されており、図書館やカフェも併設されているので、常設展のMotコレクション(500円)へ。(企画展は、入場料1800円ほどして、しかもアーティストが誰かよくわからなかったので(笑)美術館自体を見るのには常設展で充分かと)
常設展では、ほとんどの場所で写真撮影ができたので、全体の空間を。美術展や博物展は、ひとりで訪れるほうが良くて、時間を気にしないでゆっくり、気に入った作品があれば没頭して見入る。
海外からもお客さんが結構訪問しているようで、ここでも、ひとりで美術館に足を運ぶ姿が。1か月くらい、東京の美術館、博物館、図書館巡りをしたら面白いだろうな。
図書館の前には、全国各地で開催されている企画展や美術展のパンフレット。ここまで紙文化なのは珍しくて、コストかかるだろうなと思いつつも、やっぱり新聞や本同様、思いがけない「出会い」があるのに共通しているのは「紙」なんだろうなと思う。
図書館メモ
新建築
海の家・山の家
「人に生きる力を与える」建築は可能か
水戸市民会館:木々に囲まれた勉強スペースも
SOWAKA京都
庭の床
多摩市立中央図書館
STUDIO VOICE
次代のアジアへ 明滅する芸術
We all have Art.
インドシナ「カトリーヌ・ドヌーヴ主演の1992年に公開された長編シネマ」
インドと中国に挟まれたあの一帯がフランスの保護国だった前世紀の中頃を舞台に、出会いと別れ、死や生、愛憎が散りばめられた物語。シーンの切り替えがはやく、全編が大河ドラマのように描かれているのでウェットな印象へない。
「青いパパイヤの香り」「愛人ラマン」
舞台となった仏領インドシナはいまのラオス、カンボジア、ベトナム。25年ほど前までは経済的に鎖国状態だった。老人はいかにもという顔つき、子どもは子供らしく、すばしこい。「男は男らしく、女は女らしい」をそのままに生きた愛すべき世界の住人が多かった。
ーもっと、ゆっくり時間をかけて滞在したかった図書館。美術館の中の図書館は穴場。
美術館のあとの渋谷の街は、どこか異国の摩天楼へと繋がる空間。正直、来たくはなかったけれど(笑)、約7年ぶりの再会に、中心となるのは渋谷だった。
様々な人間の想いが交差する渋谷のスクランブル交差点は、別名「哲学の交差点」(・・・と、勝手に名づける)。ここがニューヨークのタイムズスクエアと異なるのは、秩序と哲学を感じること。落合陽一氏が言っていたようにニューヨークのタイムズスクエアは「分断と格差の塊」。「ニューヨークが好きだと言う人は、ニューヨークに行ったことが無い人」というのは本当に納得
駅を降りた瞬間から、人込みと流れに疲れてやつれたけれど(笑)この空間はまた躍動感あふれる、日本の一面なんだろうな。
Day 3 東京街歩き
なかなか早く起きられない朝。時間はあっという間に過ぎていく。今日は「東京メトロ24時間券」(600円)利用。いつか、東京街歩きのテーマを決めて、この券を朝から晩まで使い倒したい。
母校でお世話になった国際機関で長年ご活躍された先生とも再会した。インドにも5回程会合で訪印されていて、
「あなたは、なんで村田製作所や野村総研の男性と結婚する道もあったのに、インドを選んだのか」と突飛惜しみもなく聞いてくる方(笑)。
それもそれで、きっと面白い人生なのだろう。でも、なかなか、今のように、使命感や責任感を持って、自分自身の興味や関心を追及しながら、社会に貢献できる環境ほど面白い人生は無いと、自分で思う。なによりも、心身共に健康であれることが、一番大事なのだ。
メモ
・若い頃は使われて、営業などの第一線で活躍するのもよいけれど、今は勉強の時間のほうが長い。スピーチして、また発信する。その過程で学ぶ。
・いろんな大学や機関から対談依頼があるけれど、選択する時に、やっぱり、「この人のために」という気持ちが強い。やっぱり人。
・面白かった国は「スリランカ」と「ウズベキスタン」と「ジョージア」
・アイルランドのケルズの書が置かれているトリニティ・カレッジ
学生代表スピーチ
母校の修了式で、学生代表スピーチの内容を聞いて、ふと、数日前に日本人の友人たちと話していた「子どもの教育」について考えた。
スピーチを行った学生は、2児の母親でもあり、まずは母国の家族のサポート無しに、私の留学生活は無し得なかった、と断言した上で感謝を述べ、そして次のように語っていた。
「自分が海外留学し、勉学に励み、目標に向かって歩む姿を子どもたちに見せること」そのことが、子どもたちにとっても良い母親、女性の例になる、そういう想いで歩んできた、と。
翻って、日本社会の「子どもの教育」の話は、どうしても、外見はあたかも「子ども中心」に考えているようでいて、どうも自分自身の在り方がおざなりになってしまっているような気もする。
「子どもをどこの学校に行かせるか」
「どうやって英語教育を行っていくか」
例えば、自分が英語ができないから、子どもには早期英語教育を、と考えようもんには、そこに矛盾が生じるような。家事全般を全てお手伝いさんに任せて、自分のリスキリングに注力したいと思う。それができない環境ならば、極論、夫婦で環境を変えることを話し合ったほうが良いとも思った。
Day 4 本箱と温泉
朝。清澄白河の街でお世話になっていたiki ESPRESSOが、店舗の規模を大きくして隅田川沿いに iki Roastery & Eatery をオープンしていたので散歩がてらに訪れた。
清澄白河の街は、相変わらずオシャレなカフェが多い。Tutto、fukadaso、
The Cream of The Crop Coffee、tallskogenなど、休日に向かうと必ず並ぶので、なるべく平日に訪れたいところ。
チェンナイのマラソンメンバーから、「今日の夜、走る?」と連絡がきた。そうだ、日本に旅行にいっていることは、ほとんど誰にも言っていなかった。「走ります、墨田川を」そんな会話を唐突になげる瞬間も良いのかもしれない。
この日、天気にも恵まれて、ずっと行きたかった浅間温泉へ向かう。
駅からはバスに乗ることになる。そういえば、長野県には何度も来ていたし、松本駅も降り立ったことが何度もあると思うけれど、そこから浅間温泉までは、今回が初めてだった。青春18きっぷを使った旅を思い出す。
松本十帖・松本本箱(長野県の浅間温泉)
浅間温泉の街自体は、どこか老朽化が進み、向かいのバスに乗ってくるのは地元の小学生か、おばあちゃん。この2022年7月にオープンした松本十帖・松本本箱の取り組みが非常に面白い。そもそも、この松本十帖を知ったのは、新潟県の国際大学がある南魚沼の里山十帖について、雑誌『自遊人』を読んだことが発端だった。
松本十帖
東京~松本十帖 3時間40分~4時間
里山十帖
東京~大沢山温泉大沢館@南魚沼 2時間40分~3時間
日本の過疎化が進む地域、老朽化した温泉街の再生プロジェクト、それは「人が溢れる」ストリートを思い描き、計画を練る。
人口動態の観点から見ると、日本と全く別の次元の課題を抱えるインドにいて、「とにかく人が多すぎる」「人が溢れる」「オートと車とバスと人々と動物が動き回るストリート」が、いつか、この日本のような課題を抱えるときが来るのだろうか、そんな不思議な未来に想いふけった。
とあったけれど、この松本本箱で、まさかのチェンナイにある「タラブックス」の本に出会う。この、自分だけの物語。そして、このタラブックスというインド・チェンナイにある出版社は、独自の本を作り世の中に価値創造を続ける場所。松本本箱に、相応しい本だった。
・理想的本箱
・インド、大国化への道
・WILD AT HOME
・現代文学風土史
・資本主義の中心で、資本主義を考える
以前、どこかの本屋さんで手に取った世界の図書館の本。南米で最も書店が多い国、アルゼンチン。首都ブエノスアイレスの町。南米に現存する最も古い本屋さんが、ブエノスアイレスにあるアビラ書店。
アルゼンチンには、「人が本を知れば、二度と孤独に戻ることはない」という言葉があるのだそうだ。
本と物語を充分満喫したあと、久しぶりの日本旅館へ。
最近思うのが、よく海外でいわれる「日本のおもてなし」って、たぶん、その奥深さを理解できる人とできない人では、得られるものが異なる気がする。「得よう」とだけ考えると、得られないもの。松本本箱のように、お互いの感性や知覚や価値観が合って、初めて生み出される物語のようなものが、「おもてなし」にもある、そんな気がする。
1週間なんて、あっという間。本当は、どこに行っても、もっと時間が欲しいって思うんだけれど。どうしても、ここにしか無いものを、と探そうとするけれど。そんな旅は永遠に終わらない。
もうひとつ驚いたことに、この閑散とする温泉街を歩いているときに南インド料理「マンジャル」というお店を見つける!(ちなみに、マンジャルとは、南インドでターメリック(ウコン)、黄色の意味)
ベトナム帰りのときは、ベトナムに惹きつけられ、インド帰りのときは、このようにインドに惹きつけられるのだろう。いづれにしても、観光客目線で日本を旅するのは、新たな発見が多くて面白い。
帰りに立ち寄った喫茶店。ポストカードも売っていたので購入。
「人が歩く街にする」(日本)ことと「人が歩ける街にする」(インド)こと、どちらも大事。そんなことを思いながら、またすぐに、あの喧噪の街へ戻る。
Day 5 買い物
大学院に留学しているインド人学生の友人と、昼はもつ鍋を食べて、いざ買い物へ。
スマホケース、小分け袋、スマホレンズ、スポンジパフ、ポーチ、靴、本、目薬、洋服(9月に日本に行くと、夏物の洋服が安く販売されているので良い)、折り紙、瞬間接着剤、ウェットティッシュ、フェイスシート、温泉の元、電動歯ブラシ、抹茶のお菓子、アイボン、毛染め、和風しおり3セット(お土産)、コンタクトなど。(100均、ドン・キホーテ、紀伊国屋、マツモトキヨシなど、だいたい訪日外国人が買い求める場所と似ているような気がする・・笑)
Day 6 空港(復路)
自動チェックインをしようとすると予約していた席が変わっていた。画面上で空いている席は真ん中の席のみ。そして、チェックインカウンターもまだ空いていなかったので、チェックインせずに、9時半に戻ると・・・長蛇の列!
「でも、これきっと欧州のハブ空港と比べたらマシなんだろうな」と思いながら、あぁタイ航空よ・・・スタッフに聞くと、前日機体変更があり、座席列が変わったとのこと。「追加料金支払って座席指定していました」というと、なんとか調整してくれた。
空港の本屋で立ち読みした本
「なぜ日本の少子化は止められないのか」by 藤波匠
「給料の上げ方」by デービッド・アトキンソン
なぜ少子化は止まらないのか、の解答のヒントに、なぜ、30年間給料が変わらないのか?の問いがある気がする。デービッド・アトキンソン氏は、「給与所得者が自分達の給料を上げたければ、①給与交渉、②転職、③起業、または④海外移住のいずれかしか選択肢はない」と説く。
最低賃金額の向上や現金給付などじゃなく、日本人はもっと給料交渉をするべきだと、個人的にも思う。その為にも、愚痴にせずに、まず自分の市場価値を何としてでも知るべき。社長も経営者も、何も教えてくれない。これは、どこか自尊心にも関わってくると思う。自分の上司で話が通用しなかったら、その上をいく。あと、賃上げできない企業って、そもそも企業価値が怪しいので、外国人労働者を雇う云々より、撤退を検討する必要があると思う。
タイ航空機内のドキュメンタリー"Restaurants at the end of the World"は、
パナマの山奥にあるレストランの話。
"Kristen Kish learns the secrets of treck-to-table cuisine at Hacienda Mamecillo and helps the proprietors prepare special meal for Panama's top chef."
パイロットからリモートファーマーへ。食や農業の知識も何もなかった。
He goes with the flow. Grew up in Panama City and moved to this mountain
滝の中にロッククライミングで葉を取りに行くアドベンチャー。
We can do a lot of reflection at night.
レストランオープン前にサポートしてくれた人
He hasn't gone to school but has a lot of life experiences.
雨が降ったら、なかなかたどり着けない場所
(Heritance Kalamandaraを思い出した)
Always he has to be creative and flexible, living in remote location and turning them into advantages
"sense of community."
"it's not about making things 100 percent perfect but making things human."
One-of-a-kind restaurant
スワンナプーム国際空港
ここで、トランジットの際にバッテリー没収される。悔しすぎる。行きは大丈夫だったのに、容量が書かれていない為。完全に人による。なんか、タイ人@空港は、みんなイラついているように見えるのは気のせい?観光客が多すぎるのだろうか。
ラウンジでご飯食べる。シャワールームもあった。4階はショッピングとゲートあり。
本
地球の歩き方:ドバイとアラビア半島の国々
地球の歩き方:中央アジア サマルカンドとシルクロード
タラブックス
河童が覗いたインド
ChatGPTエフェクト 破壊と創造のすべて
なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか Public Diplomacy
またいつかの、「日本旅行」へ
・SUINDEN TERRASSE(山形県)
・梼原町と牧野植物園(高知県)
・熊野古道「why kumano」TENJIKU(和歌山県)
・いわき回廊美術館(福島県)
・AZUMI SETOUCHI & Soil Setoda(広島県)
・水/ガラス (静岡県熱海市)
隈研吾:実際に敷地に立って見て、どうしたら水が海とつながるかだけを一生懸命考えた
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