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求めていたライフスタイルは、行ったことも無い北欧の生活そのものだったのかも(「3度めの北欧」を読んで20代OLが思ったこと)

私はもっぱら東南アジアが大好きだ。
タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム…(シンガポール行ったこと無いです行きたいです…)どの国もご飯は美味しいし、人は優しいし(時と場合による)、若干秩序がカオスなので、時々「あっEND OF 人生かも」と思うようなスリリングなシーンがあったりして、楽しい。
(あの、最後のは気にしないで下さい)

そんなサバイバル極貧海外旅行大好き人間にとって、「北欧」とは、物価が高すぎる貴族の旅行先というイメージしかなかった。
IKEA行けば十分だろ的な…
(なめんなって感じですよね、ほんとすみません)
しかし、「3度めの北欧(森百合子 著)」を読んだ今、海外旅行に行ける状態になったら真っ先に行きたい海外ランキング1位がスウェーデンになるという単純な人間がこの私である。
スウェーデンやべーよ!と読み終わった瞬間思わず口に出してしまったほどである。
では早速、本書から読み取れた私的スウェーデンの素晴らしさを語りたい。

【良い物を長く使う】
日本ではやっと7月にレジ袋が有料化になり、一部の国民が「これは政府の陰謀だろ」的な事を言ってせっせとプラスチックゴミ増加に向けて活動している今日この頃である。
(その労力を別のことに向けたらいいと思わんのかね)
本書を読む限り、スウェーデンの人達は、その物価の高さゆえか、新品よりも、まず古物や古着を求めることを優先するようである。
ロッピスと呼ばれる蚤の市が住宅街や町中で行われたり、ガーデンショーに売り物にならない果物を持ち込んでジュースとして販売したり、ファッション業界でも、買ったら長く愛用する「スローファッション」の意識が根付いてきているようだ。
物も食物も無駄にしないのは、なんだか気持ちがいい。
格安(もしかしたらタダ同然)の商品をガンガン仕入れて薄利多売でガンガン売ってガンガン路上に食べ残しを捨てる(時と場合による(何回目や)けど、最近は街もきれいになってきた感はあります)東南アジアのナイトマーケットと対照的にもほどがあるなと思わざるを得なかった。
作物がよく実る東南アジアと比べて、おそらく作物の育ちにくい北欧の人達は昔から食べ物・物を大切に長く保管したり使用するという意識が深く根付いているのかもしれない。
ヨーロッパに旅行に行くとつくづく思うけれど、(1回しか行った時ないくせに)ヨーロッパはヴィンテージ文化が発展し、建物も古くから何度も改装して使われる習慣があるのに対し、東南アジアはどんどん新しいビルが立っては壊され、路上にはゴミが散乱し、街の代謝が激しい。
非常に対照的だな、と思わされる。

【食をエシカルに楽しむ】
本書を読む限り、著者の森さんはどうやらヴィーガンではないようなのだが、本書に登場するカフェはほとんどヴィーガン対応しているようで、もはやヴィーガン対応している事がデフォルトになりつつあるのかも。(羨ましいですね…)
それだけでなく、営業時間についてもエシカルを心がけているベーカリーもあって、
「従来のパン屋のように夜中に焼くのではなく、私達は日中にパンを焼くのです」と、持続可能で従業員や環境への影響を第一に考えた事業方針は、とても興味深く、魅力的だ。
また、ヘルシンボリという街の人気コーヒー店「コッピ」では、「コーヒーは誰もが楽しめるものでなくてはならない」というモットーを持っていて、そんな発想今までに持ったことが無かったから、なんだかドキドキする。
本書に出てくるカフェやレストランは、エシカルである事が当たり前、という精神がひしひしと伝わってきて(もちろん、素敵な飲食店を森さんがチョイスしているから、というのもあるかもしれません)日本でヴィーガン対応している個人店なんて、一体何軒あるの?という感じだから、とにかく羨ましいし、そんな環境で私も暮らしてみたい。

【「楽しい」気持ちを大切にする】
スウェーデンでは夏が短いため、本書によると人々はとにかくひなたぼっこを好むようだ。
カフェに行けばいつでもテラス席が人気、公園ではビーチかと思うくらい肌を露出させて日光に当たるらしい。
どんだけ日光好きなんじゃーいと思うが、とにかくヒュッゲ(居心地の良い空間・楽しい時間という意味らしいです)を大切にしている生活なんだなというシーンが随所に散りばめられていた。
長くものを使う精神が根底にあるから、自分が「これがいい」と思う気持ちを大切にして、お気に入りのアイテムに囲まれて自分らしい居心地の良い空間や生活を作り出すのが上手なのかもしれないなあと思った。
また、森さんが現地の方に休日の過ごし方をインタビューしたところ、「森の中で何もせずに過ごすのが好き」と答えたそうで、おしゃれかよ!!!!!と思わずつばを飛ばしてもうた。
たしかイタリアにも、「ドルチェファル二エンテ(何もしないことの喜び)」(発音が違ったらすめんなさい)という言葉があるように、何もしないで過ごすことは多分心地の良いことのようだ。
私のように常に何かしていないと死んでしまう挙動不審な人間には難しいが、非常に、非常に興味深い。
今週末やってみようと思う。

なんだか文字にしてしまうと陳腐な気がするが、(語力の無さ…)とにかく北欧の暮らしは当たり前のようにエシカルで、香りが良くて(シナモンロールやエディブルフラワーのかおり…)、とても心地が良さそうである。
私は北欧に行くぞ!!このコロナ騒動が終わったらな!!!号泣

そして最後に森さんが記していた文章があまりに共鳴出来るものであり、北欧の魅力をより一層際立たせる内容だったので引用して終わりたい。


旅という薬がないと、
もう生きていけないのかもしれない。
名所を巡る良薬の旅もいいし、
刺激たっぷりの劇薬もいいけれど、
私には北欧の旅が効く。

「そんなやり方もあるのか」
「ああ、それでいいんだ」
旅の途中の気づきや感動は、
後からじわじわと効いてくる。
冒険だけが旅じゃない。

旅以上に、心と体に効くものが
いまのところ私にはみつからない。

みんな、旅に出よう。
知らない街で、日々を過ごそう。
旅先に、行きつけをつくろう。
帰りたくなる場所をみつけよう。

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