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Service Design Global Conference 2019でInclusive Co-designワークショップをしてきた話

もう1ヶ月経ちましたが、トロントで行われたサービスデザイン・グローバルカンファレンスにて、ワークショップをしてきました!

SDGCは私たちの業界でのオリンピックみたいなもの。250以上の応募の中から選ばれたこともあり、数ヶ月前からメインチームを発足し、バリバリと仕事の合間に準備をしてきて、やっと迎えた本番でした。トップ写真は、終了後に参加者&ファシリテーターみんなで撮ったもの。最高に楽しそうでしょ?

※このワークショップは、私がデザインし公開したInclusive Co-design Toolkitをもとにしたものです。ツールキットについては、以下の記事を。


ワークショップでどんなことをやったか?

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プレゼン
まず、なぜ非ネイティブをデザインに取り込む必要があるかという課題、デザインプロセス、プロジェクトから得た学びなどをプレゼン。

その後、テーブルグループで「言語がわからない場所で戸惑った経験」についての振り返り&自己紹介をしてもらい、アクティビティに以降。

アクティビティは、以下4種類。

1. 自分のコミュニティについてのリフレクション
まずは、自分の住むもしくは働くコミュニティで:
・サポートが必要なグループは誰か?
・非ネイティブにはどんな人々がいるか?

を個々で書き出してもらった後、グループでディスカッションしてもらいました。

カナダからの参加者からは原住民のグループ、アメリカから参加の大学生からは大学内での留学生コミュニティなどが挙がりました。

2-1. 外国語解読クイズ
次のアクティビティは、セットで二種類。どちらも大人気でした!
ひとつめは、あらかじめヘブライ語、北京語、日本語で書かれたワークシートを準備。それぞれの言葉で書かれた文をヒントを見ながら解読するもの。

ヒントには、シンプルなアイコン、ストックフォトのコラージュ、スケッチレベルのストーリーボードなどのビジュアルを使用しました。

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2-2. 外国語インタビュー(会話)
もうひとつのアクティビティでは、3つのテーブルにそれぞれ外国語話者(フランス語、ロシア語、広東語)のファシリテーターを用意。彼らの出題する簡単な質問(例:朝ごはんは何をどこで食べますか?)に、ヒントカードと基本文を使いながら答えるというもの。

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これらのアクティビティの目的は、Empathy building
・非ネイティブの立場に立ってみて彼らの見えている世界を少し体験すること
・ビジュアルなどのサポートがあれば完全な正解には辿り着けなくとも、理解を促進できることを実感すること
の二点。

(余談)アクティビティで使用した言語(フランス語、ロシア語、広東語、北京語、ロシア語)はすべて社内で同僚にお願いして調達。改めてトロントって多様だなー!と感じました。

3. ワークショッププランニング
ここから、サービスデザイナー向けの内容にグッと舵きり。
一般的な(ネイティブ)ユーザーを対象にしたco-creationワークショップ計画書が書かれたワークシートを用意。これを言語マイノリティ向けに改善するのが課題。

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まずは、スキルや性格が異なる言語マイノリティのペルソナ三つを理解するところから。次にInclusive Co-design Toolkitのツールを印刷したカードをヒントにしながら、彼らに向けたワークショップにするにはどうすればいいかを話し合って書き出してもらいました。

例えば、
・読み書きのサポートが必要な人がいるから、ファシリーテーターを増やそう
・グループディスカッションは、会話だけでなくロールプレイにしよう
といったアイデアが出ました。

4. マテリアルの作成
最後に、ワークショップで使う設定のマテリアルの作成。架空のジャーニーマップの一部を抽出したテキストを読んで、これを言語マイノリティの参加者にわかりやすく伝えるにはどうすればいいか?をグループで考えてもらいました。ここでも、ヒントとしてツールカードを用意。

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ビジュアルデザインスキルのない参加者がいることも想定して、「スケッチしてもいいし、改善案を文字で書き出してもいい」という課題にしました。

結果、ストーリーボードを作成したグループもあれば、複数のステーションを用意して参加者がぐるぐる回りながらロールプレイを鑑賞する計画を立てたグループもあり、グループごとに内容が違ったのがクリエイティブでおもしろかったです。

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フィードバック

基本的に、めちゃくちゃポジティブでした。終了後も翌日も、いろんな人が声をかけてくれました。「他の場所でもやらない?」「また別の機会があったら教えて」「うちの会社に来てやって」などたくさんの声をいただいたので、来年もう少し拡大を視野に、計画していきたいです。

リフレクション&次回変えたいところ

1. 時間・学びやすさと密度のトレードオフ
2時間のワークショップの割に内容が詰め詰めだったので、予想通り時間が押しました。そうなった場合に向けて切り上げたり減らしたりできる編成にしていたので大きな問題ではありませんでしたが、個人での作業に予想より時間がかかってカバーできない部分もあったので、次回は内容を削って各アクティビティの時間を増やそうと考えています。

一方、あまり削ってしまうと参加者にとっての学びが少なくなるのが悩みどころ。今回は、サービスデザインのプロが集まるカンファレンスだったため密度濃いめに設定しましたが、他のオーディエンスの場合はもっと大幅に削った調節が必要になりそうです。

2. 参加者内の言語バリア
「言語バリアのある人々をコ・デザインにどう取り組んでいくか」というデザイナー向けのツールキットやワークショップ自体をどこまで(特に言語面で)インクルーシブにできるか。これは、プロジェクト進行中からずーーーっと考えていたことですが、現在のところ、結論としてはツールキットそのものを非英語話者が使えるようにということはしていません。

一番の理由は、このプロジェクト自体がすでにとてもメタだから。
ツールキットの対象者はリサーチャーやデザイナー。彼らがその先のエンドユーザーである非ネイティブの人々とコ・デザインするためにつくったのがこのツールキットとワークショップ。1と同じく、簡単にする→専門家にとっての学びの密度が下がるトレードオフなので「簡単にすること=いい」とは思っていません。

もうひとつの理由は、今回のSDGCが専門分野のプロを対象とした完全英語のカンファレンスだったため。チームでも、「2000ドル払って英語のカンファレンスに参加しようってのは、まあ英語がわからないとしないよね」と話し合っていました。予想外だったのが、英語レベル初級〜中級の参加者がいたこと。日本からも5〜6名来てくださいましたし(ツイッターやnoteを見てくれた方も!)、台湾、南米、南アフリカなど出身はさまざま。非英語圏からの参加者はもちろん予想していましたが、グループでの議論が難しい可能性がある層は想定していなかったので勉強になりました。次回、こういう機会があったら考慮に入れたいです。

3. 他のバリアへの対応
今回のカンファレンスのワークショップデザインで一番困ったのが、「参加者の情報が一切もらえない」こと。

普段のワークショップでは事前にどういう人が来るか知っていますし、事前に連絡して直接お話しもします。また、私のプロジェクトでは必ず、必要なアシスタンスを事前に確認するようにしています(食物制限、病気で休憩が必要、車椅子利用など)。

今回はカンファレンスのため、誰がどのワークショップに参加するかが直前までわからず、ファシリテーターには参加者情報はまったく公開されませんでした。結果、私のワークショップにはひとり、自力で歩くことはできるものの移動を控えたい参加者がいたことが、後になってわかりました。

無事、この方もワークショップの最後まで参加できたはいいものの…これ、今後どうしたらいいのかなーと考えました。

例えば次回、参加者が動く必要のないアクティビティを用意するということはできます。が、そこに耳の不自由な人や目の不自由な人が来た場合、移動が問題ではなくなりますし、それぞれのニーズに合わせてファシリテーションやアクティビティのデザインを変える必要が出てきます。これって、障害やニーズの有無がわかっていれば準備できることなんです。

結果、運営側のSDNにこういうことがあったという報告と、次回は参加者のニーズや必要なアシスタンスの情報を登録時に任意で集めて、ファシリテーターに連絡してほしいと伝えました。

以上!参加してくださった方、ありがとうございました。またパワーアップさせて広めていきたいです。:D 質問あれば、コメント欄にどうぞ。

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