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カナダから帰国しました。英語を勉強しているけれど、日本語が好きです。自己満足でも、誰か…

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カナダから帰国しました。英語を勉強しているけれど、日本語が好きです。自己満足でも、誰かに届くことを願って。

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選択するということ、自問の日々から得たもの

語学留学とワーホリ、合わせて1年8ヶ月ほどトロントにいたわけだが、日本に帰国して1ヶ月超、もうすっかり日本が日常だ。やはり生まれ育った国、新鮮味は2日ともたなかった。 帰国して人に会うたび、「カナダはどうだった?」と聞かれる。そのたびに私は「楽しかったです」と答える。カナダがどうだったか、すべてをひと言で表せる言葉が見つからない。 インスタに載せた部分だけを指して言えば、「楽しかった」になる。けれどそれは10%くらいの上澄みで、残りの90%は「楽しかった」と形容するには少し

    • 映画日記『パスト ライブス/再会』

      念願だった、仕事終わりのレイトショー。 選んだのは「パスト ライブス/再会」。 結論から言うと、素晴らしく上質な映画だった…。 静かにゆっくりと流れていく展開と、 コップに注いだ水の表面張力みたいにずっっっと溢れそうなふたりの感情。葛藤と理性。 幼い頃の初恋の相手との再会。でも彼女はもう結婚していて…。 そんなストーリーだけれど、これは「恋愛映画」と言うには、内包するテーマがあまりに深すぎる。夫か、初恋の人か、という話ではない。 そんな本作のテーマの一つが「イニョン(縁

      • 本日記『じっと手を見る』

        好きな作家のひとりである窪美澄さんの、『じっと手を見る』を読んだ。 富士山を望む町に住む介護士の日奈と海斗を中心に物語は進む。その他脇役たちの目線も含め、編ごとに語り手が変わりながら、彼らの人生が触れ合っては離れ、手を伸ばしてはふり払い、物語が綴られていく。 読後に思ったのは、どこまでも正直にまっすぐに生きていたいということだ。それで傷つくことがあっても、率直に、切実に生きていたい。そうしなければ得られない喜びがあるはずだから。大波にのまれそうになりながらも、ぎりぎりのと

        • 映画日記『四月になれば彼女は』

          原作の小説を読んだ作品が映画化したと知って、映画館で観てきた。 小説を読んだときも、すごく美しい文章だなと思ったのだが、 その美しさがそのまま映像になったような、美しい映画だった。 原作を読んだのは何年か前だったので、細かなストーリー展開は忘れてしまっていて、けれどあえて読み返すことはせずに、フラットな気持ちで観に行った。 メイン登場人物がみんな不安定すぎるというか不器用すぎるというか、生きづらすぎる!!と感じてしまって、感情移入できた、というよりは、そのメッセージ性に心

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        選択するということ、自問の日々から得たもの

          本日記『星を編む』

          ぴろです。 トロントにいるときからずっと読みたかった本を読んだ。傑作の続編はやっぱり最高に傑作だった。こんなに満ち足りた気持ちになれる小説、なかなかない。まさに星を編むように綴られた物語。 正しさだけじゃ守れないものを包み込む強さ それでも溢れたものを掬い上げる優しさ それぞれの幸せのかたち、つながりのかたち ハッピーなだけの物語では決してないのに、ずっと幸せな気持ちで読むことができた。 この本は、前作『汝、星の如く』に出てくる「北原先生」の過去について語られた1章、

          本日記『星を編む』

          映画日記『ソウルメイト』

          キム・ダミが好きなので観た『ソウルメイト』。勝手に青春きらきら映画を予想していたら、裏切られた。幼い頃共に過ごした親友との運命的な引き合わせによる再会か、もしくは会えなくなってもなおあの頃の記憶やあなたの存在によって生きていけるよという意味での魂のつながりか、などと予想していた自分が浅はかだったと思ってしまうほどに。タイトルや予告からこんな感じかな、と予想してしまうのは私の癖だけど、裏切ってくれる作品が好きだ。 フィクションだけど、映像はものすごく美しいのだけど、美化されて

          映画日記『ソウルメイト』

          映画日記『愛なのに』

          すぐには言語化しきれないごちゃごちゃとした気持ちにさせてくれる映画が私は好きだ。鑑賞後にそのごちゃごちゃを整理して、自分なりに解釈して、言葉にして落とし込んでいく時間がついてくるから。むしろその時間のために観ているまである。おもちゃが欲しいから買う、ハッピーセットみたいな。 今泉監督の作品にはハッピーセットが多いが、脚本として携わっている本作も例に漏れずだった。展開は割とドロドロなのに、ちょっと間抜けでシュールさもあって、そこがまた人間くさくて良い。 鑑賞後のごちゃごちゃ

          映画日記『愛なのに』

          本日記『〈あの絵〉の前で』

          小説を好きなだけ買い、好きなだけ読む。というのが、帰国後の楽しみのひとつだった。久しぶりの日本の本屋は、想像以上にわくわくして、心を満たしてくれる贅沢な場所だった。好きな作家さんの作品を選んだり、表紙を見てフィーリングで選んだり、ずっと気になっていた作品や、あらすじを読んでおもしろそう!と思ったものを選んだり。そうして何冊か買った中で1冊目に読んだのは、私の好きな作家のひとりである、原田マハさんの短編集。表紙のクリムトと、帯に書いてあった言葉が、そのときの私に寄り添ってくれて

          本日記『〈あの絵〉の前で』

          幸せはいつも自分の心が決める

          カナダ・トロントから日本に本帰国してまだ数日だが、いろいろあってたくさん考えた。その中で母と久しぶりにふたりで話す時間があり、そのとき母に言われたことが心に残ったので、書き留めておこうと思う。 話の流れで私が「子どもが欲しいから結婚したい」と言ったら母に、「そういう風に考えると、もし子どもができなかったときにしんどいよ」と言われた。 「こうありたい」と自分の理想の将来をがっちり具体的に決めてしまったら、”そうならなかった将来”はすべて幸せではなくなってしまう。100通りの

          幸せはいつも自分の心が決める

          つぶやき-トロント生活終盤

          ぴろです。 2年近くのトロント生活も残り約2週間。 最近、こちらに来たばかりの頃の日記を読み返していたら、転けまくって病みまくってたけどなんだかんだそのたび起き上がってた。それは自力だけではないときも多くて、やっぱり人は人に助けられて生きてるなあ。この2年で成長したか?と言われたらわからないけれど、強くなったか?と言われたら、あ、なったかも。と思う。成長がどの方向に伸びることなのかわからないけど、むしろ伸びたというより広がった感じ。総じてかけがえのない時間だった。並なことを

          つぶやき-トロント生活終盤

          note: 「すべて想定内にしておく」ということ

          日本から14時間遅れで、トロントも2024年を迎えた! 私は抱負(目標?)を具体的に箇条書きで掲げるタイプなので、まあ今年の抱負も例に漏れずそんな感じなのだが、抱負をやや遠目から見てみて気がついた。2024年の私は「計画的に」生きたいらしい。どの抱負にもそんな気持ちが滲み出ている。そこで「計画的に」に関連して思い出したことがある。それが、「すべて想定内にしておく」という考え方についてだ。これは高校時代のトレーナーの先生から教わったことである。 部活漬けだった高校時代、大会前

          note: 「すべて想定内にしておく」ということ

          2023年に出逢った、プチだけどプチじゃない幸せ

          2023年が終わろうとしている。 今年の幸せのひとつに、矢沢あい先生の漫画に出逢えたことがある。まずNANAを読み、圧倒され、何度も読み、1度目は気が付かなかったところに気が付いてまた心臓を鷲掴みにされ、何度読んでも苦しくなる。他の作品も読んでみようと『ご近所物語』に手を出したが、『天使なんかじゃない』を先に読んだ方が良いと知り、そちらを読んでいる。この先に『ご近所物語』そして『paradise kiss』が待っていると思うと、まだしばらく私の幸せは確約されている。私のセロト

          2023年に出逢った、プチだけどプチじゃない幸せ

          12/17 傘は差さない

          朝、外に出ると雨が降っている。のに、見渡す限り誰も傘を差していない。こういうところにカナダを感じる。郷に入れば郷に従う、なのか、朱に交われば赤くなる、なのか。わからないけれど、私も差さない。日本に帰国したらまた差すだろう。そんなもんだ。路面電車が目の前を通り過ぎたので、走る。走って追いかける。前を走る彼が2秒に1度後ろを振り返って、わたしを確認する。彼の優しさのかたちが見える。置いてけぼりにしない。一緒に走る。すぐに次の停留所で追いついて、乗れてしまう。路面電車は遅いのだ。走

          12/17 傘は差さない

          お腹が空いたら食べる。

          しばらく更新が止まってしまっていた。今月は3投稿しよう!とか月初めに意気込むと、何を書くか、ネタを探すことがなんだかノルマみたいに、作業みたいになってきて、楽しくなくなってしまうことがわかった。仕事でもなんでもないんだから、ああ、書くことを仕事にできる人はここを乗り越えられる人なのかもしれないけれど、今のところ私はそうじゃなくて、心の掃き溜めみたいな、思ったことで言葉にしたいことを書いて可視化して残しておきたいだけ。わざわざ掃き溜めに行くものたちを探すのは、お腹が空いていない

          お腹が空いたら食べる。

          つぶやき - 対極を経験することで本質を知る

          こんばんは。ぴろです。 今日から(今日だけ?)文体を少し変えてみる。理由はない。 突然だが、何か悩み事があるとき、自分で考えに考えて解決する人もいれば、人に相談してアドバイスをもらう人もいれば、寝たら忘れる、というタイプの人もいる。もしくは場合によって向き合い方が違うという人もいるかもしれない。私の場合、まず自分で考えて、それから人に相談して、また自分で考える、ということが多い。私は悩みがあってもなくても自分との対話は多いタイプで、人と話すことは精神衛生上とても大切な時間

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          本日記『推し、燃ゆ』

          🚨途中に【⚠️ネタバレ注意⚠️】があります。 こんばんは。ぴろです。 今回は宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』を読みました。著者は私と同世代。あらすじ等何も読まずに読み始め、“推し”という言葉に、勝手にポップで明るいイメージを抱いていましたが、想像よりずっと重くて暗い話でした。でもなぜかラストは前向きで明るい印象を受けました。主人公のあかりは推しを推すことだけで生きていて、それ以外はーーー家も学校もバイトもーーーあまりうまくいっていない。「普通」ができない生きづらさを抱えてい

          本日記『推し、燃ゆ』