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1000人の経営者を救ってきたコンサルタントが教える社長の基本|三條慶八

以前「CHANCE」で経営者の成功を追体験して、経営者という職業形態に興味を持った。

これまでビジネスマンや研究者としての成功や考え方の本ばかり読んできたので、経営者の考え方はどのようなものか知るためにこの「社長の基本」を手に取った。

著者である三條慶八さんは神戸などで展開する企業の社長の息子として生まれ、大学入学と同時にその企業の社員として働くようになった。主に銀行との取引を担当していたが、阪神淡路大震災により会社が140億円もの負債を抱えた。古い体制に固執する父の方針に従わず自身の方法により復活した経験を持つ。
そのような特殊な経験から、現在は経営コンサルタントとして多くの社長からの経営に関する相談を請け負っており、そこから得られた経営者の基礎力をまとめたのがこの本である。

著者が銀行とのやりとりに苦労したことから、経営者が銀行とうまく付き合うにはどのように行えばいいか?という内容が多かった。
具体的な策については経験したことがないのでよく分からなかったが、全体を通して学んだのは、経営者(=組織のトップ)は常に会社について考え、会社の全てをよく理解している人でないとならない。ということだ。

これは教授など、研究室の責任者とも共通するように思う。教授はお金が欲しいというプレゼンテーションを多様な組織や財団などに行い研究費を獲得する。そのためには常に研究の先行きや実行可能性を考えなければならない。業績が出ずに数年後に研究室が破綻する可能性もある。研究室が破綻すればその構成員は全員無職になる。
そのような点から考えると、学生は大学という派遣会社から派遣された労働力であるし(しかし何故かお金を払っている)、それぞれが独自に研究費獲得に奔走する責任者以外のスタッフはフリーランスの集合(しかしほぼ全員に任期がある)のような気もする。
お金を生み出すわけでもないのに研究室は変な組織である。

社長というと一度成功すれば安定しているイメージがあったが、実際は人生の全てを会社に捧げ、複数人の構成員の生活と、社の理念の遂行のために最も奔走しなければならない立場であることが分かった。
社長の行動や考えを窺える実用的な本だった。どのような立場の人でも面白く読めると思う。


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