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嫁ぐ朝

夢を見た チューリップが咲き誇る畑で
迷子になって 大泣きをしながら彷徨っていた
さみしくて 不安で怖くて どうしていいかわからなくて
大泣きしながら彷徨っていた どれだけ時間が過ぎただろうか
亡くなった父さんが私を見つけて 両手一杯手をひろげて迎えてくれた
夢中で走って父さんの胸に飛び込んだ 抱きしめてくれたあたたかい
腕の中で 私はもう一度泣いた 夢からさめた ほほに
涙がひとすじ流れている 今日は嫁ぐ日 父さんの腕からはなれて
あの人の胸に飛び込む これからいろいろな事がきっとある だけど
私が迷った時あの人は 私を探して両手を一杯広げ迎えてくれる
そう信じてベッドから起きる ここにあるはずのない
チューリップの花束が 光に照らされて枕もとにそっと置かれていた

出版をしたいという夢を応援しています。