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贈り物

形に残るものが好きだ。

贈り物の、形に残る部分が好き。
食べたり使ったりして無くなってしまうものは、少しだけ寂しい。
だからつい、残してしまう。

綺麗な包装紙やシール、クッキーの空き缶、花を束ねていたリボン。

たぶん、目に見えると安心するから。
誰かと繋がるという事は、信じることに似ている。
愛するという事も、そうではないだろうか。

私は、形に無いものを信じる気があまり無い。

だから、目に見えて残るものが好きだ。

けれど、心が離れ離れになってしまった時は少し厄介だと思う。
贈り物たちの名残が、急に脱け殻のようになる。
その前で私は途方に暮れてしまう。
良い物は良いまま、綺麗な物は綺麗なまま、なのに。
ふいに、痛感する。

私が欲しいのは、きっと『心』なのだと。

形の向こうに、誰かの『心』を見ている。

本当は、目に見えないものが欲しい。
だけど、臆病だから信じられないまま。

誰かにとってのゴミを、私はそっと宝物と呼ぶ。


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