見出し画像

【きのこ帝国】猫とアレルギーという曲の歌詞

きのこ帝国 「猫とアレルギー」という曲が
今になってぶっ刺さりまくっている。

繊細で、儚いメロディーで
別れた男性(=あなた)への気持ちを
優しく可愛らしく、たまに感情的に歌った歌だ。

「話せなくていい 会えなくてもいい 
ただこの歌を聴いてほしいだけ

あなたの顔や あなたの声が
夢に出る夜はどうすればいいの」

冒頭から、刺さる。
この冒頭を聞いただけで、
主人公が、遠い存在になった「あなた」を
まだ想っていることが伝わる。

好きだった、という言葉を使わずに、
想いを消せなくてぎゅーっとなる心情を表現できるのが佐藤千亜妃のすごいところ。
夢に出てくるくらいまだ想ってるんだね。


「12月の空気を吸い込んで くしゃみをひとつ
産まれたばかりの猫たちが 
散り散りに去ってゆきます」

情景がすっと浮かぶ歌詞。
脳内で映像を浮かべて、曲の世界観に入り込んでいく。
私は、吐く息が白くなる寒空の下、夜の散歩をしてる光景を思い浮かべた。

ここで、この曲のキーとなる「猫」のジャブを打つあたり、伏線を張っていて好きだ。

「いろんなことがあったけど 思い出すのはあの日々ばかり」

切なすぎる。刺さる。
「あの楽しかった日々」とか言わず、
「あの日々」の「あの」を聞き手に委ねていて、
各々が自分の「あの日々」に思いを馳せられるようにしているのではなかろうか。
佐藤千亜妃は天才。

「話せなくていい 会えなくてもいい
ただこの瞬間こっちを見ていて
ほんの少しの勇気があれば
後悔せずにすんだのでしょうか」

サビの歌詞。
「ほんの少しの勇気があれば
後悔せずにすんだのでしょうか」
って、恋愛において誰もが絶対に思ったことがあるだろう。

行動するときの恥ずかしさや不安は
行動してしまえば長くは続かないけど
やらなかった後悔は年単位で続く。
やらない後悔よりやった後悔って本当にその通りだなと思う(ぽつり)

「アレルギーでもあなたは優しく撫でた」

この曲の印象的なフレーズが登場した。
この一言だけで、主人公が恋していた「あなた」が垣間見える。

邦楽の歌詞にアレルギーってなかなか使わないと
思うのだが、
「猫」という言葉と組み合わせることによって、柔らかさを出し、かつ、「あなた」を描写し、
「あなた」への想いを募らせている女の子の歌になっている。

「ああ、昔を懐かしんだり 嘆いたり
ありあまる残りの人生を 真面目に考えたりして
大人になったような気でいる」

2人でいたところから1人になって、
考え事をする時間が増えたのだろう。
「大人になったような気でいる」
と、あえて投げやりな言い回しにしているのがかわいい。

「時間が巻き戻せたならば
なんてね、もう思い飽きてる」

2番のBメロ。
1番のBメロもそうですが、恋愛においてこの感情
持ったことない人いないのではないか。
共感の嵐。

「話せなくていい 忘れていいから
ふとした瞬間アルバム開いて
なんにも知らないあの頃のように
横顔にそっと見惚れていて」

忘れていいからって言ってるけど、
本当は全然忘れられたくないんだろうなと
痛いくらい伝わる。
横顔に見惚れる恋愛、久しぶりにしたいなと思う。

「あと7日間で世界が終わるなら なんて、
あんなどうしようもない例え話
他の誰にもしないでいて
これからもずっと」

私がこの曲で1番好きな箇所だ。
そして佐藤千亜妃のセンスがきらりと光る部分。
こんな歌詞書ける人が他にいるだろうか。

どうしようもない話とかくだらない話とか、
ちょっとした日常の1ページのほうが、鮮明に記憶に残ってたりする。
そんなくだらない話すら愛おしい。

でも、主人公は「あなた」にはこの気持ち面と向かって言えないんだろうな。
正直な気持ちをひとりで吐き出すような歌い方をしていて最高。


「触れなくていい 忘れていいから
ただこの瞬間こっちを見ていて
あなたの顔や あなたの声を
何度でも思い出して歌うわ

届かなくていい 忘れていいから
でも
あなたの目と手の温もりが
なにもない空、滲んで消えてく」

「話せなくていい」「会えなくていい」など、
前述のサビで歌っているが、
このラストのサビの「届かなくていい」が
個人的には1番刺さる。
届かなくていい、ほど健気な好きって他に存在しない。

「アレルギーでもあなたは優しく撫でた」

ちなみにこのあとのアウトロの盛り上がりも非常に良くて、歌詞の起承転結と合わせて
1曲が完全にちゃんとした1話のストーリーになっているので、聞いた後の満足感がものすごいのだ。
ギターってやっぱり歌を歌う楽器だ。

猫とアレルギーというタイトルだけでは
どんな曲が想像がつかないが、
いざ聞いてみるとアレルギーという言葉の強さとは真逆の優しいメロディー、儚い言葉というギャップにやられる。
素敵な曲に出会えて嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?