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京都大学/国語(現代文)

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#小説

2015京都大学/国語/第一問/解答解説

2015京都大学/国語/第一問/解答解説

【2015京都大学/国語/第一問/解答解説】

〈本文理解〉
出典は阿部昭『短編小説礼賛』。京大では馴染みの「内向の世代」の作家である(小川国夫「体験と告白」(2020出題)、古井由吉「影」(2018出題)、黒井千次「聖産業週間」(2016出題))。
①段落。英語には"To cut a long story short"(かいつまんで話すと)とか、"Please make your story s

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2016京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説

2016京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説

【2016京都大学/国語/第二問/解答解説】

〈本文理解〉
出典は黒井千次「聖産業週間」。筆者は「内向の世代」の作家(他に古井由吉、小川国夫など)。

(前書き) 怠惰で仕事に対して冷笑的な態度をとってきた会社員田口運平は、ある日から突然仕事に猛烈な情熱を示すようになる。次の文はその心境の変化の経緯を記した田口の手記であり、その心境の変化のきっかけとなった田口の息子の行動を記した部分から始まる。

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2018京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説

2018京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説

【2018京都大学/国語/第二問(小説)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は古井由吉の私小説「影」。古井由吉は「内向の世代」の代表的作家で、京大では複数回出題されている。「私」の、存在に関する思念のみで展開するので、随想を読むのと変わらない。比喩的表現や象徴的表現に込められた奥深い意味合いを、的確に表現したい。
①段落。私の咳は風邪の咳と違って、気管まで届かない。気管に届く咳は一種独特の快感がある

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