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vivie
2022年4月30日 07:10
これはもう実際に読まなければ最後の「ゾクッとする」感覚は得られないし、私ごときでは伝えられないだろう。なので、いつも通り自由に感想を述べていく。「閨秀作家」である佳子(よしこ)のもとに届いた厚みのある封筒。それはとある男性からの「手紙」であった。我々、読者はこの手紙の内容を追っていくことになる。そして佳子が手紙を読み終えるまでを見届ける。物語自体の感想に触れる前に私の中で引っかかっ
2022年4月18日 19:30
袈裟(けさ)が本当に愛したのは一体誰だったのだろう、と思った。物語は人妻の袈裟と、その愛人・盛遠(もりとお)の独白で構成されている。3年半ぶりの再会の末、ついに男女の関係となってしまった2人。情事の果てに盛遠は「夫殺し」を袈裟に持ち掛けるが果たして……?結論から言うと、袈裟と盛遠の思惑は何1つ噛み合っていない。そんな中にあって「女性の容姿の衰え」がお互いの心を揺らし、行動までも変化さ
2022年4月11日 21:42
作品を読んだあと、タイトルに込められた意味に思いをめぐらせ……「なるほど」と思った。「わたくし」と約10年ぶりに再会した友人の回想が物語のメイン。のどかな田園風景の中、友人が経験した非日常とは?永井荷風といえば……中高の文学史で習った『あめりか物語』を著した人だな、というなんとも浅薄な印象のもと読み始めた。(こうして記事を書いてみると、根っからの文系のわりにこれまで純文学にあまり触れて
2022年4月6日 03:14
最後のたった一行で解釈が広がる楽しさを知った。静かながら迫力のある艶やかさが炸裂していた。語り手の「私」の友人である、美しい女主人・雪子の回想がメイン。躾の一環として雪子が預けられた、蒐集家Y氏の家についての記憶とは?…岡本かの子氏の著書は恥ずかしながら全くの未読であったため、この作品に限っての感想になるが非常に読みやすかった。雪子の口調が上品なのは言うまでもなく、回想にあたる地の
2022年4月3日 23:39
わずか12ページの短編で、私はずっと興奮していた。以下、感想を思うままに書いてみる。刺青師(ほりものし)として名高い、清吉という男がとある娘の背中に刺青を彫る…そんな物語。こう書いてしまうとなんとも味気なくなってしまうのが口惜しい。しかし作者の描写の巧みさ、形容の見事さによってなんとも張りつめた妖しさの漂う作品に仕上がっている。ページに占める漢字が多く、文体は硬質。学生の頃に
2022年4月1日 19:47
今日は用事がてら、大型書店に寄ってきた。例によって、『なぜ私は一続きの私であるのか』『完全解読 ヘーゲル「精神現象学」』『死に至る病』などに惹きつけられたが、これらは後日改めて図書館で借りることにした。そして今回購入したのは『文豪たちが書いた耽美小説短編集』。白抜きが映える、表紙に踊るは「耽美」の文字。レジ担当が若いお兄さんで少し恥ずかしかった…。苦笑長らく自分