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鈴木友紀菜(ゆきな)さん(神奈川県出身) 21世紀の日系移民(第4回) 布施直佐 月刊ピンドラーマ2024年8月号

今回はサンパウロでヨガ講師として活躍する鈴木友紀菜さんにお話を伺いました。

長男と

◎スタディーツアーでブラジルに

大学在学中、ブラジルで自然分娩を促進するプロジェクトに携わっていた先生の授業を通じ、ブラジルに興味を持った。2009年、同じ先生が企画したブラジルでのスタディツアーに参加し初めてブラジルを訪れた。サンパウロのモンチアズルコミュニティー協会とセアラー州のエステーバン村(どちらも貧困地区)に約10日間滞在した。参加した学生たちが皆若かったせいもあり積極的にブラジル人の輪の中に入って楽しんだ。誰かがギターを弾き始めると自然に人が集まりダンスの輪ができるのを見て、「物質的な豊かさがなくても人はこんなに幸せに暮らすことができるんだ」と心を揺さぶられた。また、ホストファミリーのお母さんがギュッとハグしてくれた時の暖かさは今でも忘れられない。

◎日本祭りを企画

帰国後、ブラジルに魅了された他の学生たちと共に学内の協賛プロジェクト公募に思い切って応募。企画は、自分たちがモンチアズールに半年間滞在して日本祭りを実施すること。現地の子どもたちに日本文化を紹介したいと思い、竹を使って箸や皿、竹馬を作るワークショップ等を行う内容。企画は大学の協賛案件に無事採択され、さらに仲間と協力して海老名の駅で募金活動を通じ資金を集め半年後にブラジルに戻ってきた。滞在した半年の間、地域の子どもたちのための施設を作るのを手伝ったりして過ごした。「ブラジル人は便利なものがなくても柔軟な発想で色々工夫し生き延びる術に長けている」ことに感動した。

◎ヨガを通じてできること

大学を卒業後、物流系の会社に勤めたが、好きにはなれない仕事をこなした後、飲みに行ってストレスを発散する生活に嫌気がさした。その頃もブラジル人の本質的な豊かさや人間味溢れる生き方が忘れられず、一度長期間滞在することを決意。そして2015年、サンパウロに移った。日本で働いていた時からヨガを習っていたが、ブラジルでは「好きを仕事にしたい」と考え、今度は教える側に立ってみたいと2016年にサンパウロで講習を受けた。ブラジル人の「とにかくやってみる、前に進む」積極スピリットに励まされ、講習終了後すぐに日本人対象のクラスを始めた。同年日系人の男性と結婚。

公園で

2020年から2023年にかけて、日本の支援団体チルドレンズ・リソース・インターナショナル(CRI )とともにサンパウロ南部の貧困コミュニティに生活支援物資を寄付するためのチャリティーヨガを7回行った。

2020年6月 チャリティーヨガの寄付で購入した1000枚の毛布を配布

◎出産を経験して

出産に立ち会って産婦を精神的に支える“出産ドゥーラ”の資格をパンデミック期間に修得した。ブラジルでは帝王切開が世界的に見ても比較的多いが、自然分娩に関する色々な選択肢があることを紹介するためだ。「自分がいることで目の前にいる人が元気になり笑顔になってくれることにいつも生き甲斐を感じている」。

2023年8月に男児を出産。「子供が元気で、笑ってくれたり、一緒に散歩に出かける、そういった些細な時間に幸せを感じる。ブラジルでは周りを気にせずに自分の思った通りの子育てができるのが良い」。

赤ちゃんと一緒に「産後ママヨガ」

◎ブラジルの良いところ

「ブラジル人の『家族が第一。家族との時間のために仕事をしている』という文化はとても好きです」。
「電車の中で重いものを持っている人に自然に手を貸したり、目の前で誰かが困ったり、人が倒れた時にすぐ手を差し伸べる優しさも素晴らしいです」。
「日本社会で窮屈な思いをしている人は一週間で良いからとりあえず来てみれば良い。そうすれば日本社会で当たり前のことが実は当たり前ではないことが見えるはず。情報社会の中、他人と比べて劣等感を持ってしまっている人も、ブラジルではあるがままの自分を肯定できるようになり、ただ生きているだけで幸せだと思えるでしょう」。

・ヨガ教室案内
 サンパウロ/パライゾ地区 
 火曜日・木曜日 10時〜11時15分

・出産ドゥーラとしてブラジルの出産事情についてもお話できます!ブラジルでの妊娠・出産をお考えの方は気軽にご相談ください。

 Instagram @yuki7_yoga


布施直佐 (ふせなおすけ)
月刊ピンドラーマ編集長

月刊ピンドラーマ2024年8月号表紙

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