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『もの作りの楽しさとSDGs』

はじめまして、 PILOTのデザイナーのなだです。

普段はデザイナーをしながら陶芸教室で働いていて、個人で制作活動をしています。

物心ついた頃からずっと絵を描いたり、ものを作り続けてきましたが、大人になってから気が付いたことがあります。

それは「無意識のうちに、丁寧に綺麗に作ろうとしている自分」の存在です。

亡くなった曽祖母と塗り絵をしていた時も、「はみ出さずに塗りなさい」と言われました。
高校のデッサンの先生には「お前がこの紙にデッサンして、70円の紙の価値が無くなった」とまで言われます。
大学の講評でも同じように、「人前に出すということはどういうことか」と問われます。

そんな中で画力や表現力を磨き、丁寧でこだわりのある完成度の高い作品を作ることができるようになっていきました。しかしなんとなく、小さな頃から私の中にあって止まらなかった、創作意欲がウワーーッと爆発するような勢いと楽しさは少し失われているようにも感じました。
丁寧に作ろうとするあまり、作りたいという根本の気持ちに目が行かなくなってしまうのです。

私は時々、大学時代に教授が話していたことを思い出します。

「犯罪じゃなければ、何をやったっていいんだから」。

この言葉に、自由な気持ちに出会うことがどれだけ重要か気付かされました。

コンセプトのある美術作品でメッセージを伝えたい人もいる。
作業自体が大好きでひたすら手を動かし続けたい人だっている。

美大では前者の方が支持されやすいですが、完成度がどうであれ、私はまず自分が楽しいかどうかが一番大切だと感じています。

才能がないから、上手にできないから、そんな理由で何かを作る楽しさを忘れてしまう人が、どれだけいるでしょうか?

焼き物とSDGs

私の続けている焼き物の制作には、琵琶湖の底の粘土や、長石、珪石、石灰、金属類(コバルト、マンガン、鉄、銅など)、、、地球の限りある資源を使っています。焼成の際にも電気や薪をたくさん使います。

1200〜1400度の高温で焼くことで土には戻らないことから、リサイクルするには難しい素材かもしれません。
※有田では破損した素焼きの粉を釉薬に再利用しているところがあります。

しかし逆の視点で考えてみると、焼き物は割れなければずっと使えるという強みがあります。

大切に長く使い続けることができれば、プラスチックや紙の製品のように何度も買い換える必要もありません。

さらに、割れてしまっても金継ぎすることでまた使い続けることができます。割れたり欠けた器を修理することは意外と簡単です。

本物の漆を使った金継ぎは、何度も塗り重ねたり技術と手間が必要になりますが、新うるしや高級うるしと書かれて売っている合成漆(厳密には本物の漆が入っているわけではない)を使った簡易な金継ぎなら、ものを作ることが苦手と感じている人でも簡単に楽しく作業ができます。

そこで、私が普段やっている簡易な金継ぎのやり方を紹介します。

誰でもできる簡易な金継ぎ

作家・梅本勇さんの器を金継ぎしたものです


必要なもの(大体ホームセンターやAmazonで買えます)

・割れた器(割れている場合は破片が必要、欠けのみの場合はパテで埋めます)
・アロンアルファなどの瞬間接着剤
・陶磁器
・金属用のエポキシパテ(練って使う接着剤)
・新うるしと金粉・新うるし薄め液かテレピン油
・耐水ペーパー(#400、#800、あれば#1000も)
・爪楊枝またはヘラ、綿棒
・ネイル用などの細い筆(百均で十分)
・パレットとして使ういらない厚紙orアルミホイルなど
・カッターや彫刻刀

手順

1. 破片を瞬間接着剤で仮止めする
ズレたり落ちてしまいそうな場合はマスキングテープなどで補強しながら乾かします。この時、なるべくピッタリ隙間のないようにくっつけることがポイントです。

2. エポキシパテで割れ目を埋める
パテは棒状の粘土のようなものが入っているので、グレーと白が1:1の量になるようにカッターなどで切り取り、一色になるまでよくこねて混ぜます。手にベタベタくっつき匂いもあるのでピタッとしたゴム手袋で進めるのもおすすめです。
練り終わったら、固まらないうちに器を裏から支えながら裏表両方の穴や割れ目の間にパテを擦り込み詰めていきます。細かいところは爪楊枝やヘラを使うと詰めやすいです。
破片がない箇所や欠けている箇所はパテで成形し、不安定なところは少し厚めに盛ります。

3. 余分なパテなどをこそぎ取る
カッターや彫刻刀を使って余分なパテや接着剤をこそぎ取り、綺麗にします。ある程度取った後は、耐水ペーパーを水につけながら使ってやすり、#400→#800→#1000の順番に表面をなめらかにしていきます。
やすり終わったらタオルなどで綺麗に拭き取ります。

4. 新うるしを調合する
新うるしと金粉を1:1で厚紙かアルミホイルの上に出し、薄め液かテレピン油を少し足して筆で混ぜながらマニキュアくらいの硬さに調整します。

5. パテを隠すように割れ目や欠けの上に金液を塗っていく
広い部分を塗る場合は、縁取りをしてから中を塗るようにすると綺麗に塗ることができます。また、割れ目の線をなぞる時は、線の太さに強弱を持たせるとそれっぽい仕上がりになります。(やすりがけが綺麗だと上手に塗りやすいです。)
はみ出てしまったところは薄め液を含ませた綿棒で拭き取ります。
この時、割れていないところも自分で好きなように塗ってしまって問題ありません。バランスやかっこよさを意識して、自由に塗ります。
使い終わった筆は薄め液かテレピン油で洗います。大体1〜2日ほど乾燥させれば完成です。

※簡易な金継ぎの安全性について
合成漆は植物性の樹脂を使っているものが多いようですが、念のため合成うるしを使って修理した器は直接修理箇所に口をつけない使い方をおすすめします。(乾き物を入れるなど)

難しそうに見えても実際にやってみると無心で手を動かす作業はあっという間です。金を纏って生まれ変わった器を見て、大事に使っていこうという気持ちなれることが自分にとっても良い時間になります。

つくる責任、つかう責任

つくる責任、つかう責任、どちらも楽しく明るい気持ちで取り組んでいく大切さを伝えていくことが、私の目標です。


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