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両胸の乳がん全摘、乳房再建術をされたMさんのお話

40〜50歳代の女性に発症する乳がん

乳がんは女性が患うがんの中で最も多いがんです。2019年のデータでは、9人に1人が罹患されると推定されています。
乳がんは、乳房の乳腺にできそこから増殖します。乳腺とは、母乳を作り乳幼児への栄養や免疫機能を与えるための重要な組織です。乳腺は、乳頭から乳管(枝)と小葉(袋状)から成り、ぶどうの房のような構造になって乳房全体に広がっています。
そして、がん細胞が乳管の内側のとどまっていれば「非浸潤がん=ステージ0」、増殖しがん細胞が乳管の外に広がるのが「浸潤がん=ステージⅠ〜Ⅳ」となります。※ピンクリボンと乳がんまなびBOOK引用

Mさんが乳がんと診断をうけたときの気持ちをうかがいました

診断された時「え?」という感じで、やはりショックは大きかったです。以前から胸に良性の腫瘍があることは知っていたのですが、この時は精密検査のお知らせがありました。結果は悪性で、医師からは「手術をした方がいいです」「手術には方法があります」とどんどん説明されてしまって、更に「非浸潤がんでステージ0なので、手術をすればそれ以降の治療はありません。部分切除なら放射線治療が必要、全摘すれば放射線はしません、どちらか選ぶことになります」と一気に説明されました。でも、乳がんのことはよくわからないですし、「ちょっと考えます」と言いました。その時、自分が地球の裏側にぴゅーんと飛ばされて、全く違う世界に行ってしまったと感じました。孤独・・・かな?病気に対して無知でしたし、病気の人が周りにいなかったし、病気になったら生きていけない、そんなふうに思いました。
 さらに主治医から「反対も気になるので生検しよう」ということになり、結果的に左胸も悪性であることがわかりました。「両方なの?こんなの珍しくない?」と思うしかありませんでした。

部分切除か全摘か

手術については、「全摘なら再建もあるよ」と言われましたが、体の中に異物を入れるなんで絶対考えられなかったので、部分切除に決めたのです。しかしその場合、25日間の放射線治療が必要になります。当時私は派遣で時給でギリギリで生活していましたし、会社勤めをしながらの放射線治療は困難であろうと思いました。
主治医に相談すると、ゆっくり考えれば良いと言われました。主治医は部分切除、全摘で再建、自家組織とか色々あるけど、生活のQOL(生活の質)を下げないこと、そしてキレイに治したいと言う思いがあると仰っていました。
また部分切除しても変形する可能性がある、全摘してもシリコンを入れずに何もない状態だと、痩せ型の私の場合は胸部が凹んだ状態になってしまう、そんな状態で洋服を着ても恥ずかしいな、と鏡を見ながら想像したりしました。

たまたま看護師の知り合いに話をしたところ、「良いじゃん、良いじゃん、再建して大きい胸を作ってもらったら良いじゃん」と言われ、最初はその軽い言葉に傷つきましたが、自分にはなかった考えでした。でもある時、それもありかなと考え直し、再建を決断しました。決断するまで2ヶ月程度は悩みましたが、今もこの選択は良かったと思っています。

術後の運動(リハビリ)について

本当に腕が上がりませんでした。病院でのリハビリは回数は少ないですが約3ヶ月くらい行いました。問題はリハビリが終わったらその後はどうしたら良いのだろうということです。先生は日常生活ができればよいと言いますが、今考えれば日常生活がゴールではないですよね。以前は「そこで終わり」と思っていましたが、違ってましたね。

乳がん×ピラティス

生活の中で、理学療法士さんとか看護師さんがいるといいですよね。クリニックだと時間制限もあり予約取ることも大変ですし、こうやってスタジオで乳がん術後のピラティスができることを知らなかったので、そんな方が身近にいると心強いです。
実はピラティスマシンが敷居が高い感じがしていたのですが、今日ピラティスをご一緒して「こっちの方が楽じゃない」と思いました。ピラティスはヨガと呼吸が逆できついイメージがありましたが、気持ちよく鍛えられるのでいいなと思いました。

Mさんとピラティス

術後6年経過した今の気持ち

今度は伝える側になりたいなと思っています。助けてもらいましたから。ピンクリボンアドバイザーの初級を取りました。今年は中級を受けようかと思っています。ピンクリボンのHPに活動報告があって、「乳房再建の相談」という活動や、「乳がん教育」というのもあって、学校教育の中で啓蒙活動をするそうです。これから活動したいと思っています。
あと、この経験をブログに書き始めました。書くことはとても力がいるけれど、栄養を摂り運動をしながら進めていきたいと思っています。

「病気のお陰」というのはあるかもしれない、この経験は私にとって必要なことだったのかもしれないと思えるほど、私は強くなりました。
病気をしたから終わりではない、今できることを私はやっていきます。 

対談を終えて

ご病気になった方にしかわからない悩みや葛藤、決意を知ることができました。そして「日常生活がゴールではない」という言葉は、リハビリを提供してきた私にとって非常に共感でき、また体を守ることに徹するしかなかった状況を作っている情報発信の少なさがあるのだろうということを感じました。
当スタジオでは、乳がんや子宮がんなどの術後の方に対して、適切な運動を今後も提供してまいります。そのための情報発信なども積極的に行います。


🌿 Pilates Studio Thyme (タイム) 🌿

都営浅草線 本所吾妻橋駅 A3出口 すぐ
 エレベーター A0出口 徒歩1分 / A5出口 徒歩1分
また、各線の浅草駅・押上(とうきょうスカイツリー)駅からも徒歩7分程度

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