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YouTube★Dream2 ジャンプ原作大賞応募作品【漫画動画で可能性を試せ!中学生素人YouTuber】

「フィッシュマンで動画作ろうぜ!」

とは言ったものの、改善点が山積みだ。

教室で話す2人。

草野「なぁー、もう少し背景描いたらどう?」

ギョギョっち「常に海にいるから青空だけで十分だよ」

草野「それじゃ、どこにいるかわかんねーだろ」

ギョギョっち「波の音でも入れときゃいいじゃん。動画なんだし」

草野「はあぁ?漫画家目指してんだろ?背景描かないなんて尾田先生は許さないぜ?」

席を立つギョギョっち「僕ワンピースよりブリーチ派だから」

草野(ダメだ、コイツ・・)

授業中に考える草野(Twitterで中学生の絵を見たけど、ギョギョっちの絵は特別上手い訳じゃない。アイツはメインキャラしか上手く描けない。
【バクマン(漫画)】にも女の子の萌キャラしか描けない奴がいた。それと一緒。好きな絵しか描けないってやつだ。これじゃ、話を展開できない・・)

シーンが変わる

草野の部屋

フィッシュマンの絵を見る草野の兄
「ははは。確かに背景が寂しいね。無料の背景使ってみたら?」

草野「それ、やった。でも背景が上手すぎるとフィッシュマンと合わない。アイツの絵に合った背景でないと違和感出る」

兄「あ~、確かに」

草野「かといって俺は絵が下手だし、背景の描き方なんてわかんねぇ。美月ちゃんは発声練習してくれてんのにさ~、動画できねぇじゃん!」

兄「美月ちゃんは絵は描けないの?」

草野「あ~、そうだな。聞くだけ聞いてみるか」

美月に電話する草野

美月「え?背景?いや~、描けないよ」

草野「だよなー。誰か描けそうな人いないかな?」

美月「うーん。・・ギョギョっちのお母さんとか?」

草野「え?お母さん?」

美月「うん。ギョギョっちのお母さん、美大出てるんだよ。絵を描くのが好きって昔聞いた」

草野「マジかよ?」

美月「でも、ギョギョっちは嫌がるかもね。家に言った時、お母さんに冷たかったじゃない?」

草野「アイツのお母さん、超優しいのにな~」

美月「うん、私もギョギョママ大好き!」

草野「またアイツの家行こうぜ。お母さんにさり気なく絵の事、聞いてみよう!」

美月「うん!」

シーンが変わる

ギョギョっちの家

母「あら、また来たの」

ギョギョっち「勝手についてきたんだよ!」

美月&草野「お邪魔します!」

母「お茶出すわ」

美月「私も手伝います。お菓子持ってきたんで」

母「やっだ!ギョディバのチョコ?悪いわ~!」

怪訝そうに美月を見つめるギョギョっち

部屋に入る草野「な、俺達は動画作ろうぜ!」

シーンが変わる

台所でお茶を注ぐ母「ねぇ、突然3人で集まって何してるの?」

美月(やっぱりおばさんは知らないんだ。でも、ギョギョっちが漫画家になりたい事は知ってるはず)

美月「皆で漫画を作ろうって話になって」

母「あら。やっぱりあの子、まだ漫画描いてるのね」

美月(話しちゃマズいかな・・)

美月「それで漫画の背景を描ける人探してて・・おばさんって絵を習っていたんですよね?」

驚く母「え?あぁ、昔ね」

美月「描いてもらうってダメですか?」

母「あの子がそう言ったの?」

美月「いえ、私が聞いてみただけです」

母「そうよね。あの子は嫌がるわ」

美月「でも、描けるんですか?」

母「どうかしらね~、漫画を描くのは辞めちゃったし」

驚く美月「漫画描いてたんですか?」

母「いや、育児漫画みたいなやつよ。ブログでよくあるでしょ」

美月「見せてもらえませんか?」

ギョギョっちが現れる「何話してんの?」

美月「ギョギョっち!」

ギョギョっち「やっぱり美月ちゃんは、お母さんに話すと思ったよ!女の子って、すぐ喋るよね!」

美月「ごめん」

後ろから現れる草野「何?何?何話してんの?」

美月「おばさんが漫画描いてたって聞いて・・」

草野「マジ?漫画描けるんすか?」

ギョギョっち「前に描いてた育児漫画でしょ」

声を上げる草野「見して下さい!お願いします!」

スマホを操作する母「随分前なんだけど」

スマホを見る草野「上手っ!ギョギョっちより断然上手い!」

美月「建物も描けるんですね。上手!」

草野「決まりだな!背景はおばさんに描いてもらおう!」

母「えぇ?」

ギョギョっち「嫌だよ!勝手な事されるなら、僕は一人で描く!」

草野「何でだよ?良い先生が近くにいるんだぜ!漫画の描き方を教えて貰えばいいじゃん!」

ギョギョっち「僕の作品に口出ししないでよ!だったら僕は抜ける!」

草野「えー?何でだよ~」

怒るギョギョっち「もう帰って!家に来ないでよ!」


外に出てマンションの廊下を歩く美月&草野

美月「怒らせちゃったね。ごめん」

草野「アイツ短気なんだよ」

追い掛けてきた母「草野君、美月ちゃん!」

美月「おばさん!」

母「ごめんなさいね。せっかく来てくれたのに。また仲良くしてくれて、あの子だって本当は嬉しいのよ」

美月「私が勝手な事言ったんです。すいません」

母「漫画を手伝ってくれるなんて私も嬉しいのよ。あの子、絵を描くしか能がないし、人付き合いをしたがらないから」

美月「ギョギョっちが漫画家目指してるの、おばさんも知ってましたよね?」

母「えぇ。前から言ってたもの。」

草野「それが背景を描きたがらないんで、描ける人を探してるんです」

母「そうなのよね、あの子。昔から好きなものしか描けないのよ。漫画家になったら背景はアシスタントに描かせれば良いって偉そうに言ってたのよ。背景も練習しとけって言ったのに」

草野「そーなんすか。」(生意気だな~)

母「そうなの。あの子は写生会の時も画用紙いっぱいに恐竜とか古生物を描いて、目の前の建物や植物を描こうとしなかったわ」

草野&美月「ソレ覚えてる!」

草野「アイツの写生会の絵、メッチャ面白かった!森林公園行ってティラノザウルス描いてんの!」

母「そうなのよ。主人も大笑いしてたわ」

過去の回想

恐竜が描かれた絵を見るギョギョっちの父
「コレ写生会の絵?あははははは。今3億年前なのか!ギョっちゃん、面白いな!さすが俺の息子!」

母「何笑ってるの!あの子は皆と同じ様にできないって事なのよ?」

父「いいんだって!好きな様に描いたら良いんだよ!」

回想終了

母「だから私は写生会の絵は漫画の背景を描く練習にしなさいって伝えたの。でもあの子は変わらなかったわ。六年生の写生会では、シーラカンスだけをデカデカと描いたのよ。」

草野「あははは。そーいえば、そうだった!アイツ変わってるもんなー。」

困り顔の母「そうなのよ~。だから友達も作りたがらないし心配で。あの子、クラスの子と馴染めてるかしら?」

草野「えっ?あ~、最近は俺達と話してます」

母「そう。2人が遊びに来てくれて嬉しかったの。あの子小学生の時、2人とは本当に楽しそうに遊んでから。これからも相手して貰えたら嬉しいわ」

草野「あ、・・ハイ」


シーンが変わる

家で話す草野と兄

草野「おばさんも大変だよな、あの性格の息子じゃ。」

兄「ギョっちゃんは一つの才能を伸ばせるタイプだと思うよ。色々な事を臨機応変にはできないけど、好きな事なら集中してできるタイプ。昔よくウチでずっと漫画描いててさ、それが今でも続いてるって凄い事だよ」

草野「でも性格が悪いんだよ」

兄「環境次第で伸びると思うけどなぁ・・。ねぇ、次の土曜ギョっちゃん連れてきてよ。俺も動画作り興味あるし」

草野「うん。ラインしてみる」

スマホをいじる草野「アイツ、平気で既読スルーすっからなー。【兄ちゃんが話したいって】送信!」

ピコン!スマホが鳴る。

草野「まじか?アイツ来るって!」

兄貴「じゃ、10時ね。美月ちゃんも来れたら頼むよ」

草野「うん」

草野は子供の頃を思い出す

回想シーン

ギョギョっちが漫画を広げて言う「新しい話出来た!」

兄「凄いな!ギョっちゃんは絵も上手いし話も面白い!絶対漫画家になれるよ!」

ギョギョっち「漫画家、なれるかな?」

兄「うん!絶対なれる!今から続ければ絶対なれるよ!」

喜ぶギョギョっち「うん!僕フィッシュマンで漫画家になる!」

回想終了

草野「アイツは兄ちゃんに懐いてたよな。アイツをその気にさせたのも兄ちゃんだもんな」

ニッと笑う兄「教師目指してるんでね。俺は若者をやる気にさせる才能があるって事だ」

草野(・・兄ちゃんならアイツを上手く説得できるかもしれない)

シーンが変わる

ギョギョっちの家

母がタブレットで絵を見ている

【ギョギョママの育児漫画】と描かれている
 
(久しぶりに見たらフォロー減ってるわね。更新しないならそうなるわよね)

画面をスクロールする

(この回は一番【いいね!】が付いてフォロー数が増えたのよね。もしかして書籍化も夢じゃないなんて浮かれちゃって)

ため息をつく「はあ~」

(草野君達、ギョっちゃんの漫画で動画を作るつもりだったのね。今ならインターネットでウケれば書籍化も夢じゃないものね。私もそう思ったんだけど・・)

押し入れに行き、奥からダンボールを取り出す母

(久しぶりだな。・・今なら見ても大丈夫よね)

箱を開ける。入っていた封筒の宛名に【ボリン編集部宛て】と描かれ、上から塗りつぶすような線が引かれている。

封筒から漫画が出てくる

回想シーン

紙を渡す若い母「宜しくお願いします」
(・・やっぱり持ち込みって緊張するわ)

紙に描かれた漫画を読む女性
「・・・。」

紙を机に置く

若い母(え?もう読み終わったの?)

女性「これは本気で描いたと言えますか?」

若い母「え?・・・ハイ」

女性「少女漫画は、こんなものだろうとして描いていると感じます」

唖然とする若い母(・・・。)

女性「本気で面白いものを考えて画力を上げて下さい。これではどこへ行っても採用されませんよ」

女性は【タラちゃんのリボン】という漫画を見せつける

女性「コレがボリンの代表作です。ボリンを描いてきて下さい」

回想終了

封筒を強く握りしめる母(何がボリンよ!)

フィッシュマンの絵を思い出す

(そんなに甘くないのよ、ギョっちゃん!好きなものしか描けないようじゃ、プロにはなれないわよ!)


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