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YouTube★Dream3 ジャンプ原作大賞応募作品【漫画動画で可能性を試せ!中学生素人YouTuber】

()は心の声

約束の土曜日

草野の部屋に集まる4人

草野兄「久しぶりだね。フィッシュマン動画にするって聞いたよ」

ギョギョっち「うん。動画にするかはわからないけど」

2人を眺める草野(頼むぜ、兄貴!上手く説得してくれよ)

兄「俺の動画見てくれる?教育系だから、つまんないけど感想聞かせてよ」

全員パソコンの前に集まると映像が流れる

音楽と同時に、モニターに【高校理科 生物学 細胞の進化】と表示され、女の子のイラストが出る

動画に兄の声が流れる
【今回は単細胞生物から真核生物への進化について説明します】

ギョギョっち「ははは。メッチャ真面目!」

兄「そうなんだ、固いよね。だから女の子のイラスト入れたんだ。VTuberみたいに喋らないけど」

美月「勉強したい方の為に動画作るって、凄く良いと思います」

兄「有難う。声は聞き取りにくいかな?」

ギョギョっち「平気じゃない?僕は勉強する気ないから聞こえなくても良いんだけど」

草野「お前の意見、参考にならねぇ」

美月「大丈夫だと思います」

兄「有難う。でも今日はフィッシュマンについて聞きたかったんで、もういいや」

動画を消す兄

兄はギョギョっちに顔を向ける

兄「ギョっちゃん、フィッシュマンを描き続けてたって凄いね!気持ちが変わらないって凄い事だよ」

照れるギョギョっち「まぁ、漫画好きだから」

兄「勝手に絵を見させて貰って悪いんだけど、凄く良くなってると思う。やっぱりギョっちゃん才能あるよ!」

照れるギョギョっち「そうかな」

草野(こういう事を平気で言えるのが兄貴の良い所。俺は素直に言えねぇ)

兄「もしよければ俺も動画作りに参加させて欲しい。ダメかな?」

美月「参加して欲しいです!」
ギョギョっち「・・僕も」

兄「有難う。でも色々と考えの違いがあるみたいなんで、まず俺の考えを聞いてもらえるかな?」

美月「はい」

兄「まず複数のメンバーで制作する場合、全員の考えが一致しないと不満が募る。これは仕事でも同じ。全員の考えを良く聞いて、全員が全員の考えに納得した上で作る。だから最初が肝心!
始める前に全員の考えを聞いて、信頼を持てないなら止めた方がいい」

草野「うん」

兄「ギョっちゃんにとって、作品はお金の為の物じゃないって聞いたんだ。フィッシュマンを一番大切にしてるのはギョっちゃんだからね。
ギョっちゃんの気持ちに寄り添いたい。でも、人気出すならギョっちゃんも作品をもっと良くする意見を聞いて、一緒に考えて欲しい」

ギョギョっち「うん」

兄「動画作りって大変だからね、他の人の作業の負担も考えられないといけないと思う。それでも1人より4人の力を合わせれば、足りないスキルをカバーできるのがチームプレーの良いところ。

団結力を高める為にも、まずは1作品を今できる精一杯の力で作りたい。公開するか、上手くできるかは関係無い。それぞれが今できる事を取り込んで作る。

その作品次第で継続を考えたいけど、今の時点でも考えて欲しい事がある」

美月「はい」

兄「説教臭いと思わずに聞いて欲しいんだ。皆13歳以上だけど、必ず親の許可を取って参加して欲しい。動画の内容によっては、訴えられる事もあるからね。何かあれば家族にも影響する事だから」

美月(親の許可・・)

兄「最初は人気無くて存在が目立たなくても、人気出た途端、制作者を調べる人が出てきたり、中傷が激しなると思うから、人気出た時の事をよく考えて作らないといけない。そういう意味で、成人してる俺が関わっていきたいと思う」

草野「確かに」

美月(世間にバレるのはマズいな)

兄「特に美月ちゃん」

驚く美月「はい!」

兄「声入れるだけでも人物を特定されるかもしれない。声優として人気出ると変なファンが出てくるかもしれないから、必ず親の許可を取って欲しい」

ギョギョっち「ラスボスが許可する訳ないじゃん」

美月「大丈夫だよ。もう15だよ。お母さんも娘に干渉しなくなったよ」

ギョギョっち「えー?ラスボスなら【YouTuberなんて社会から外れた人間よ!】とか言いそうじゃん」

美月(さすがギョギョっち!わかってる!)

苦笑いの美月「大丈夫だよ。今ではラスボスを説得するの上手くなったし」

兄「まずは公開せずに1作品作ってみて、全員の気持ちがやる気になるかと、全員の親に許可されるか確認する。ダメなら思い出の動画で終わり。
動画を公開するなら責任者として、ギョっちゃんのお母さんが参加してくれるのは、俺としても安心ではあるんだよね」

ギョギョっち「・・・。」

兄「背景の事聞いたよ。ギョっちゃんのお母さんも絵が上手いんだね。ギョっちゃんが絵を描くのが好きなのは、お母さんの遺伝子でもあるのかもね」

ギョギョっち「・・うん」

兄「ギョっちゃんは何であれ、絵を描いていきたいんだよね」

ギョギョっち「うん」

兄「動画作りは出版社に漫画を持ち込む迄の練習って考えてみてはどう?俺が動画作ってて思うんだけど、1人だとダラけるんだよね。誰かいるとやらなきゃいけないっていうペースが出来るし、意見聞けるし」

ギョギョっち「うん」

兄「最初のうちって、動画に何のコメントも無いから、良いのか悪いのか分からなくて。客観的に見れる人がいるのは漫画でもYouTubeでも必要と思う。そして中傷を受けた時、仲間がいたら心強いってのは一番に思うよ」

美月「中傷する人、やっぱりいるんですか?」

兄「うん。絶対避けて通れないよ。コメントを出さないか、相手にしなけりゃいいと思っても、嫌な想いをする事はあると思う。そこで、中学生の三人だけでは心配なんだよね。三人には中傷のコメントを見て欲しくない。その為にも俺が関わりたい」

草野「やだな、アンチ」
美月「凄く助かります」
ギョギョっち「うん、お願いしたい」

兄「ギョっちゃんは、お母さんに協力を頼むのは絶対に嫌かな?」

ギョギョっち「お母さん、うるさいから」

美月「凄い優しいお母さんじゃん!」

ギョギョっち「そりゃ、ラスボスに比べたらね」

固まる美月(うぅ・・)

ギョギョっち「うちのお母さんも漫画家目指してたんだよ。だから、うるさいんだよ。これが描けないとプロにはなれない!とか」

草野「マジか?本当に遺伝子って凄いな」

兄「最終的には絶対誰かにダメ出しされると思うよ。その時、お母さんより他人の意見のが傷付くと思う。お母さんは息子を想う指摘しかしないよ」

ギョギョっち「・・うん」

兄「よく考えて決めて欲しい。強要はしないよ。他の方法も考えれば良いし。皆にも思ってる事を話して欲しい。三人で言いにくい事は、俺でよければ個別で話して貰ってもいいし」


草野(という事で俺達は意見を言い合った)

ギョギョっち「草野君みたいにチャラチャラした気持ちで関わって欲しくないってのはある」

草野「チャラチャラって何だよ?俺はお前よりマトモな人間だっつーの!」 
美月「あははは」

兄貴「彼女が出来て動画そっちのけになるのが嫌なんだろ?そーなったら、俺から言うよ。やるべき事を出来ない、やる気ないなら解雇。俺もそういうの嫌だから。ついでに収益が出た時の事も話しておこうか」

草野(兄貴が間に入る事で皆、話し易かったと思う。ひねくれ者のギョギョっちだけど、兄貴の最後の一言で気持ちは変わったと思う)

兄「俺達は皆、フィッシュマンの最初のファンなんだぜ。良い動画作ろうぜ!」

草野「おう!」
美月「はい!」

照れるギョギョっち「・・うん」

草野(兄貴がいれば、きっと大丈夫だと思えた)

シーンが変わる。


ギョギョっちの家で話す父&母

父「マジ?ギョっちゃん、YouTubeやんの?」

母「そうなの。草野君が編集、美月ちゃんが声優。それで絵の背景を描けないかって草野君に頼まれたんだけど、ギョっちゃん嫌がってね~」

ギョギョっち「ただいま~」

父「お!帰ってきた!」

母「ちょっと!この事は黙っててよ!あの子反抗期だから、何も言いたがらないのよ!」

駆け寄る父「なぁ、ギョっちゃん!YouTubeやんの?面白いな!俺も入れてよ~」

顔に縦線の母(今黙ってろって言ったのに)

父「なぁ、声優必要なんだろ?敵キャラは俺がやるよ!
聞いて!聞いて!・・ブラアアアア!な?上手いだろ?」

ギョギョっち「あははは。それセルじゃん!」

父「なぁ、背景はお母さんに描かせたらいいんじゃない?せっかくアシスタントいるんだし、使えるもんは使ったらいいじゃん!」

ギョギョっち「まぁ、それでもいいんだけど」

気に食わない母(人を何だと思ってるのよ!)

父「なぁ、俺さ、ブラアアアアが一番上手いけど、チクショーーー!も出来るよ!どう?これ使える?」

ギョギョっち「あははは!じゃ、僕、悟空やるよ!クリリンのことかーーー!」

顔に縦線の母(このバカ親子は・・)

シーンが変わる


草野の部屋でスマホが鳴る。ピコン!

スマホを見る兄貴「お!ギョっちゃんのイラスト見ろよ!」

スマホに写る絵には、フィッシュマンと海が広がる背景が描かれている

【お母さんに描かせてみた】とメッセージが添えられる

スマホを見る草野「うわ!すげー!背景描けてる!漫画っぽいな!さすが、おばさん!」

兄貴「これで絵はグッと良くなるな」

草野「最初から素直に頼めよな!」

兄貴「他にも添付されてんな。何だろ?」

スマホを操作すると、【ブラアアアア!】と音声が流れる

兄貴「あはは。ギョっちゃんのお父さん、敵キャラの声優やりたいんだって」

草野「ギョギョっちのお父さんもドラゴンボール好きなんだよな。何だかんだで仲良し家族だよな~」


シーンが変わる

家に帰る美月

美月は草野の兄の言葉を思い出す

【親の許可は取って】

美月母「遅かったわね」

美月「図書館にいたから」

美月母「そう。新しい教材届いたわよ」

受け取る美月「うん」

母の言葉を思い出す
【YouTuberなんて社会に適応できない人間よ】

美月(ラスボスは教育系YouTuberでも信用しない。・・絶対許可なんて取れない!)


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