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【感情紀行記】凱旋

 久々に感情が昂ることが立て続けに起きた。日々同じような生活をしているとなかなか面白いことというのは起きづらい。しかし、チャレンジングなことを時々行うと、良い結果なら高揚し、悪い結果なら落胆するという良くも悪くも感情の波を起こすことができる。

 今回は、ゼミの選考がルーティーンと化した日常にスパイスを加えた。レポートが一次試験、面接が二次試験というものであった。一次試験は難なく通過したものの、久しぶりの一発勝負で、自分が心から行きたいと思うゼミの面接は限りなく緊張した。あがり症の自分であるが、面接直前にはApple Watchが心拍数の高さを警告するほどに緊張していた。このゼミは学部の中で最も人気で、倍率の高いものであることを事前に通知されていたので、周囲の人を薙ぎ倒す必要があった。以前から某バイトの面接や選考では上手くいっていなかったので、自信も落ち、不安の要素が大きかった。いざ本番になると、昔の感覚とノウハウを思い出し、専門分野の質問を中心に得意げに答えられた。結果は合格。エリートコースに乗れたのだ。この戦いは、個人的なキャリア形成をかけた戦いでもあったが、謎の面接でもって不適合の烙印を押してきた某バイトへの報復を兼ねた戦いでもあったのだ。社会は必ず自分を評価してくれる、と信じる心と経歴が勝利を導いた。おかしいのはあちら側であったのだ。

 そんな興奮冷めやらぬ時、一通のメールが来た。北欧旅行の初日に起きたロストバゲージに関するものだ。一ヶ月半ほどかけて英語のみで状況説明などを行なってきたが、かかった費用は負担してくれるという決定通知であった。そもそも、夏服で北欧に行き、予想以上の寒さであったので、買わなければならなかった防寒具代が帰ってきたのだ。2万円ほどの買い物であったのだが、為替の影響からか、3万円が買ってくることとなった。人生初めてのわかりやすい難局を自力で英語で乗り切ったことは大きな自信となった。ここでも大きな勝利を収めたと言っても良いだろう。

 大きな勝利を次々と収め、ゼミや海外旅行のハプニングを堂々と口外できるようになった。何か気後れし、肩を窄めて端を歩いていた道だって、当分は肩で風を切り真ん中を歩いていける。最近は、今までの人生で失っていたもの、足らないものと思っていたことを取り戻してきた。自信がつくと共に、何か安堵の気持ちも大きい。再び戦場へと漕ぎ出した船は予想よりも大きく、頑丈であるかもしれない。

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