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【感情紀行記】鮮明の日々

 〜Passing 〇〇station〜車内に流れる表示は、高速で移り変わる車外の現在位置を刻々と映し出している。そんな表示に想いを馳せて、車外を見つめる東京人の一双の明眸は新緑で包み込まれた。数え切れないほどの美しい瞬間を捉えたフィルムのようなコマが脳内で記憶として保存され、過去の出来事となっていく。

 5日間という短いようで長い、長いようで一瞬の日々は人生の大きな部分に鮮やかな痕跡を残した。日常から飛び出し、別世界の日常へと飛び込んだ自分を親友たちは受け入れた。何かしてあげたい人、親友は、突発的に始まったこの旅を伸ばしに伸ばした。

 金曜日の夜に到着した自分に駆け寄ってきた親友と、その友人。会えていなかった時間を取り戻すように手探りで、夕飯を食べた。再会を心から喜び、人生の幸せを噛み締める親友を見ることで、幸せと自分の生きがいを再確認した。土曜日には、観光をしながら、友人のバイト先に行き、見学した。ここぞとばかりに食べた観光地の高級昼食は、満足感を体現したかのようなボリュームと、非日常を演出した。再び、バイトから合流した友人とは、都市ビルの庭園を楽しんだ。車での市内観光をするとともに、親友たちの日常を夕食から垣間見た。日曜日、親友たちの予定であったピクニックに参加した。聞かされていた予定に実際に自分が参加していることを感慨深く感じ、感動した。月曜日への、延長を決断し、焼肉を食べたりし、最後の夜を楽しんだ。手紙をもらい、感謝と共に、良き友としての関係を再確認することができた。月曜日の昼。帰宅を考え、告げたことで、心から悲しみ涙を流さないように振り向かない親友との別れを見て、火曜日までの滞在を決心した。親友の中でのハイライトとして刻まれている「バイト後のコーヒー」を再現するべく、友人にだけ延泊を告げ、コーヒを持って延泊のサプライズをした。再び涙しそうになりながら、人生の幸せのピークを明言してくれた親友の感情の豊かさと人生の生きがい、美しさに感嘆した。親友の手料理と、みんなで作ったデザートは、何よりも安価だったかもしれないが、何よりも美味しく、温かい味がした。

 人と人としての関係というだけではなく、同世代の人という関係だけではない。言葉で表現することすら惜しいような濃密な凝縮された大切な時間を共有した。日々頑張ってよかったと思えるようなそんな数日こそがお互いの生き甲斐となって時計が再び日常へと戻り、進み始めた。エンジンは良好、ガソリンは満タン。少々の疲れを感じ、瞼を閉じた。再び光が差し込み、覗き込んだ時には、車外の新緑は消え去り、高層ビルに囲まれた自分のアイデンティティ大都市、東京が映し出されていた。〜next stop is Tokyo〜再び電光掲示板は現在地を表示した。

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