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2023年3月の記事一覧

花 / 詩

花 / 詩

根方に咲いてる一本の
俯き顔のその花の
なんてきれいな色でしょう
指で触れるとゆらゆらと
右に左に笑ってる
明日に枯れると知っていて
今を今をと笑ってる

叫ぶ世 / 詩

叫ぶ世 / 詩

そんなんじゃだめだと誰かが叫ぶ
時代は変わったと誰かが叫ぶ
攻めてくるぞと誰かが叫ぶ
立ち上がれと誰かが叫ぶ

そして平和ぼけだと誰かが叫ぶ

昔の人は言った
戦争をしてはならないと
過ちを繰り返してはならないと
人が人でなくなるからと

平和ぼけだと誰かが叫ぶ

そう叫ぶ世が平和ぼけ
恐さ忘れた平和ぼけ

無題 / 詩

無題 / 詩

ひかりをふくむかぜ
まえがみながれてかおをなで
むこうにだれかのしろいすそ
いっぽいっぽのくつなかこいし

無題 / 詩

無題 / 詩

曇り空 部屋の明かりが目に痛い
頭がほんやりうつらうつら
しんとした部屋にこころがひとつ
回転椅子に宇宙がまわる
帰りたいのは昔のお家
道を忘れた昔のお家

金魚 / 詩

金魚 / 詩

 壁が波紋を継続したのなら、それもこれも終わりのやまびこである。蝶番に蝋を塗ってももう元には戻らないのが教育なのだから。茅も焼石である。ただ磁場だけは振動しているから、麩菓子にしても倫理的には乙となろう。見上げれば柿の木。金魚ともつかぬ薫風に肝臓が笑っている。