詩 | 待つ
そうだ!海に行こう!
…と思うのは
悩み事ごとを抱えつつ
今すぐにどうなるものでもないか
…という時ばかり
「ただ海を見たい」しか
頭の中にないものだから
見たあとに帰ることなんて
なにも考えていなかった
考えたくなんかなかった
でもまわりの人が減ってきて
自分ひとりが取り残されたような
そんな気持ちになってくると
帰らなきゃって
嫌でも考えざるを得なくなった
とりあえず来た時と同じ
バス停に戻って
バスを待つことにした
そのうち来るだろうから
海をずっと眺めつづけてた
潮風に吹かれながら
私は眼球だけの存在となった
「私が海を眺めている」から
「私が」が消えて
「海を眺めている」だけになった
海を眺めている
潮風を一身に受け止めている
寄せては返す波の音が聞こえる…
「どこに?」と考えてしまったら
また「私が」が甦ってしまった
私が海を眺めている
私が潮風を受け止めている
私が波の音を聞いている
そして私がバスを待っている
家に帰らなければならない私がいる
私が待っているのは
私が望んだことは
「私が」消える瞬間だったのに…
また「私が」が立ち現れてしまった
バスよ!来ないで!
もう一度だけでいいから
海が見えるだけの
眼球でいさせてよ!
帰りたくない 帰りたくない
なのに私がバスを待っている
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