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ベタな官能小説

一部の方に支持していただき、シリーズ化した「ベタ」。今回はベタな官能小説。
今までの「ベタ・シリーズ」は
こちら(↓)。

 別に自慢するわけではないが、私は官能小説を一冊しか所有していない。だから、「ベタ」といっても本当にベタかどうかはわからない。ベタっぽいと思うものを書くだけだ。


短編 | 先生と私と

(1)

  成績が伸び悩んでいた高校2年生の夏休みに、私に家庭教師を付けることを両親が決めた。
 母は塾に通わせることを考えていたらしい。しかし、塾に行っても後ろの席で寝てるだけになるかもしれないから、家庭教師を付けることを父が強くおしたという。
 いずれにしても、僕は夏休みの最も遊びたい時期に、家庭教師と勉強することになった。

(2)

 ピンポーン。
 呼び鈴がなった。どんな先生が来るのだろう。来たときのお楽しみということで、どんな先生が来るのか、僕はまったく聞かされていなかった。

「こんにちは。今日から雄大くんを教えることになりました石原架純です」

 僕は驚いた。まさか女の先生がやって来るとは想像していなかった。男の先生が来るのだとばかり思っていたのだ。
 しかも、僕の「どストライク」のタイプ。声もかわいい。

(3)

「こ、こんにちは」
僕の声は自分でもビックリするくらい上ずっていた。

「あ、雄大くん?こんにちは。今日からよろしくお願いします」

「こ、こちらこそよろしくお願いいたします」

(4)

「ここは主語が三人称単数だから、動詞にはSをつけなくちゃね」

「そうでしたね。すみません」

「別に謝ることないよ。私も忘れちゃうことがあるから、ふふ。雄大くんって真面目だよね」

「そんなことは。。。あの、先生って彼氏はいるんですか?」

「あれっ😄?いきなりそういう質問するの?ご想像におまかせします」

「先生はかわいいから、絶対に彼氏がいますよね」

「ははは、そういう話はもっと雄大くんと仲良くなってからにしたいな」

(5)

 こんな感じで初対面の授業は終わった。
 しかし、不思議なことだが、2回目以降の授業では、僕たちはプライベートな話はまったくすることがなくなった。僕の成績が上がらないと、オヤジが先生のクビを切るかもしれない。僕自身も先生にやめられると困るから。。。

「雄大くんはスジがいいよね。英作文のミスがほとんどなくなったし、長文もスラスラ読めるようになったよね」

「ぜんぶ先生のおかげです」

「はは。お世辞でも嬉しいよ。あっ、ここだけちょっと直そうか?」

 先生の髪の毛が僕の顔に微かに触れた。ああ、いい匂いだなぁ。僕は思わず、先生の体に少し触れてしまった。

「あ、雄大くんごめんね。ぶつかっちゃったみたいだね」

「いえ、違うんです。ちょっと小さなゴミがついていたので」

「そっかぁ。ちょっと暑いから上を脱ごうかな」

(6)

 先生が1枚脱いで、Tシャツ姿になった。うっすらと、青いブラのラインが透けて見えた。思ったより、先生は巨乳だった。

 僕は問題集を見る振りをしながら、先生の青い下着をチラ見していた。先生はまったく気がついていないようだった。

「雄大くん、今日はエアコンを付けてても暑いね」

 不意に先生の手が僕の太ももの上に置かれた。僕は少しビックリして、ピクンとなった。

「あっ、ごめんね。ビックリさせちゃったね」

(7)

 そんなことがあって以降は、僕も先生もお互いの体にふれ合うことはなかった。
 二学期になって行われた定期テストでは、僕の成績は一気に上がった。

「雄大くん、すごいね。100番代から一気に5本の指に入っちゃうなんて。本当すごい。もう私の役目はおしまいかなぁ」

「えっ、おしまいって先生、辞めちゃわないですよね」

「ごめんね。実はこの前、お母さんから辞めてくれないかっていうお話をいただいて」

「嘘ですよね。こんなに成績が上がったのに先生がクビになるなんて」

(8)

 先生は本当にその日を最後に家庭教師を辞めてしまった。僕は母に本当の理由を聞きにいった。

「あの先生がどうこういう訳じゃないのよ。ただ、私はやっぱり塾のほうがいいかな、と思ったの。塾だったら、模擬テストも受けられるでしょ?本番の試験に慣れるためには、塾のほうがいいと思うの」

「でも、先生のおかげで成績が上がったのに」

「まぁ、でも学生さんだしね。プロの塾の先生に教わったら、もっと雄大の成績が上がると思うの」

(9)

 僕にはそれ以上、意見することはできなかった。母の言うことにも一理あるし、月謝を払っているのも親だから。

 僕は塾に通うことになった。けっこう夜遅くなってしまうが、塾には同世代の他の学校の女の子もいて、それなりに楽しかった。

「じゃあ、雄大くん、さようなら」

 塾で同じクラスになった女の子と別れて、家に帰る途中、僕は久しぶりに、架純先生らしい女性を見かけた。近寄ってあいさつしようとしたとき、僕は先生のとなりに、中年の男が寄り添うように歩いていることに気がついた。

 見覚えのある男。

 その中年男は、僕の父だった。


おしまい

フィクションです。


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