ベタな恋愛小説 | 振り返るといつも君がいた💝
はじめに
「ベタだなぁ」「ベタな話だよねぇ~」というときの「ベタ」。その語源は、左官(壁塗り職人)の「ベタ塗り」だという。まんべんなく「ベタ」っと塗ることから、「ありふれた」という意味で使われるようになったらしい。
映画やドラマでも、「ベタだなぁ」と思うことがあるが、必ずしも感動しないというわけではない。「こうなるんだろうなぁ」と分かっていても、思わず感動してしまうこともある。
今回は「私が思うベタな恋愛小説」を書いてみようと思う。
「ぜんぜんベタじゃないよ~」という感想を持つ方もいらっしゃるかもしれないが、これが「私のベタ」だ🤣。
短編 | 振り返るといつも君がいた
(1)
「美恵子、このユニフォーム頼む」
練習終わりに、拓也はいつものように私にユニフォームを投げた。スライディングしたから泥だらけだ。毎日のように洗濯することは、マネージャーの大切な仕事だ。
(2)
拓也と私は幼馴染みだ。幼稚園も小学校も中学校も同じだった。クラスこそ違うことはあったが、家が近かったから一緒に学校に行くことが多かった。
男子と女子が一緒に登校したら、まわりから冷やかされそうなものだが、拓哉と美恵子の場合は、ただの幼馴染みなんだろうな、という感じにしか見えなかった。それほど、二人が一緒にいることは自然なのだった。
(3)
「拓也、とうとうここまでたどり着いたね」
「まだ、たどり着いてないよ。あと1つ勝たなくちゃ全部水の泡さ」
夏の高校野球県大会準決勝。みごと拓也たちのチームは勝利した。キャプテンの拓也とマネージャーの美恵子は、いつものように二人で家路についた。
「あと1つ。私が拓也の夢を叶えるからね」
「夢を叶えるのは俺自身だよ。美恵子はただ、見守っていてくれればいい」
「うん、そうだね」
(4)
決勝戦。ツーダン・フルベース。ピンチだが、このバッターを拓也がおさえれば、拓也の夢が叶う。
美恵子は勝利を信じて、見守った。
拓也が投げた。カツン。ボテボテのゴロが拓也の前に転がった。
「やった。勝った」
美恵子は確信した。拓也は取ったボールをファーストに投げた。
「終わった!」と思った。
しかし、拓也の投げたボールは、ファーストの頭上を大きくこえる大暴投であった。
サードから生還した相手チームの選手が、みんなに頭を叩かれながらはしゃいでいた。
拓也の夏は終わった。高校最後の夏が終わった。
(5)
決勝戦の終わった帰り道。拓也と美恵子は、いつもの川原に自転車を止め、二人そろって腰をおろした。
「終わっちゃったな、俺の夏。キャプテンとしても最低だ」
「ううん、そんなことないよ。ベストを尽くしたと思うよ」
「でも、負けたら何も残らないよ」
「拓也、そういう言い方はないんじゃない?」
美恵子は気色ばんだ。
「少なくても私はずっと拓也のとなりに残っているよ。でも、何も残らないと思うなら、そこで一人、ずっとメソメソしてたらいいじゃない?さようなら」
美恵子は自転車に乗り、その場を立ち去ろうとした。あわてた拓也は、美恵子の手をつかみ、両手で美恵子を抱き締めた。
「ごめん、美恵子。甲子園は美恵子の夢でもあったんだね。ごめん」
美恵子は泣いていた。
「もう謝らないでよ。精一杯頑張ったのは、いつも拓也を一番近くで見ていた私が、一番よく知ってるから」
抱き合う拓也と美恵子を、優しく夕日が見守っていた。そして、拓也と美恵子が初めて口唇を重ねようとしたとき、太陽は「見ていませんよ」というように、地平線の向こうに沈んだ。
明日も二人の前に、新しい太陽が上るであろう。そして、以前にもまして輝く二人を照らすことだろう。
おしまい
いや~、我ながら「ベタ過ぎるなぁ~」という小説になりました。新しい要素が何もない。べたべたな小説になりました。
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします