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エッセイ | 人を動かすのは言葉だ!


(1)
 科学的に言えば、モノが動くのは、何らかの力が働くときだ。 

 しかし、人間という「物」は「力」が働く時よりも、「言葉」によって動かされることが多い。
 人の声に反応したり、読んだ本の文字に反応して、動くことがある。

(2)
 科学的に言えば、タイムマシーンを作ることは可能かもしれないが、普通、時間は不可逆的なものだ。過去、現在、未来という流れに沿って、時間は進んでいく。

 しかし、人間という「物」は、何の前触れもなく、過去の記憶を思い出すことがある。過去という時間はどんどん古くなっていくが、人間の記憶の中の過去は、思い出す度に鮮明になったり、知らず知らずのうちに更新されている。換言すれば、人間の過去は常に変わりうるということだ。

(3)
 過去が変わりうるモノならば、未だ来ていない未来は、いくらでも変えられそうな気がしてくる。
 まだ自分自身が死んだことがないのに、いつか死ぬと思っているのは、おかしなことのようにも思う。「他人の死」をいくら見ても、それは他人の死であって、「私の死」ではない。
 思考一つで過去も現在も未来も変えうるならば、死ぬという運命も消すことができるようにも思う。
 将来の死というものは、現在の私の頭の中にだけあるものであって、将来のどこかにすでに置かれているものではない。
 考え抜けば、死という観念から逃れることができる可能性がある。
 
(4)
 死というものを乗り越えることができるとすれば、それは宗教の力ではなく、哲学の力だと思っている。
 気持ちも大事だが、それ以上に言葉で未来を変えてみたい。漠然とした言葉ではなく、明晰な言葉を以て。


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