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松下友香(作) 君と見た海は [創作大賞感想]

 松下友香さん(作)、恋愛小説「君と見た海は」の感想文を書きます。作品の中身には深く立ち入りません。



 仁海(ひとみ)と翔太という同級生の恋物語。物語は、この二人の「視点」を往復しながら、展開していきます。 

 奇想天外な事件が起こるわけではありません。物語はたんたんと進んでいきます。

 私が「君と見た海は」という作品を読んで思い浮かべたのは、(今までに私が読んできた長編小説で言うと) ジェイン・オースティン「高慢と偏見」、ジョルジュ・サンド「愛の妖精」、黒井千次「春の道標」など、です。
 しかし、どの作品とも、似たようなところはありません。


 現在、創作大賞2024の作品募集期間ですので、私は、小説を「読む」というより、「書く」という視点で、作品を鑑賞しています。 
 もし私が「君と見た海は」を書くとしたら、どのように書くだろうか?と。


 私が書くとしたら、二人の、ある1日の出来事に焦点を合わせるか、それとも衝撃的な出来事を物語に挟みながら少し長めの小説を書くか、のいずれかを選択することだろうと思います。


 一言でいうと、「君と見た海は」という作品は、私には書くことが出来ない、ということです。私が小説を書くとしたら、どうしても何か、劇的な出来事を書き込みたくなってしまうからだ。

 「君と見た海は」は、最初から最後まで、非常に抑制的に書かれている。しかしながら、決して平凡なストーリー展開ではない。
 読者そっちのけで、作者が突っ走るというところがない。読者は、作者と心の中で手を繋ぎながら、安心して歩んでいくことが出来る。

 だから、最後の場面で「良かったね」と、主人公と心をともにすることができるのだろう。



松下友香さんの「君と見た海は」は、
こちらのマガジン(↓)に収められています。



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