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留学中に支えになった言葉

みなさん、こんにちは。

本日は思い出話を…

慣れない環境で留学生活を送るのは結構な精神的負担です。意外や意外にみんながみんな、「I'm excited!」というわけではないみたいです。

非ネイティブでも英語が流暢でオープンマインドな人であっても、実は「僕だって毎日不安でいっぱいだよ!」ということは結構あることです。

そんなときにちょっとした言葉がきっかけで「もうちょっとだけここで頑張っていこう」と思えるような言葉に出会えたら幸せですね。

僕はそんな言葉に出会ったので本日はその思い出話をします。

知り合いゼロの留学開始

僕は日本のど田舎の出身。幼い頃に海外出身の人に会ったことなどないくらいの田舎です。

そのうえ、昔から極度な内向的な性格なので自分が将来海外に行くなど全く想像もしていなかったことでした。特に、「アメ○カなんて国には絶対行きたくない! 頼まれても行かない!」と思っていました。

しかし、イヤだと思っているほど心には引っかかるもの。「いつまでも居心地のいいところに居続けてては何の成長もない…」と思って、海外に行くことを決意しました。よりにもよって一番行きたくなかった某アメ○カに…

行くまでも大変でしたが、行ってからも大変。

旅行ですら行ったことのない国に、いきなり単身で長期滞在。何から始めればいいのやら。

まずはクレジットカードを作りに行かないとと思って、銀行に行きましたが日本の接客と全然ちがうし、当たり前ですが日本語なんて全く通じないので英語での会話をしますし、カードが届くまではキャッシュ生活ですがどの札が何ドルでどのコインが何セントかわからないですし…

物価は高くて気軽に買い物できないし、気持ちを落ち着けられる自社仏閣はないし、街はとにかく汚いし…

とにかく、「The US sucks....」の毎日。

そんな中、少しだけ友人もできましたが、それでも精神的負担はあまり減ることはありませんでした。やはり、自分の心の余裕がないと周りの人だけうまくいっているように見えてしまいますね。実際のところはみんな大変なわけですが。

日本人女性との出会い

友人ができてもどこかしらに孤独感のようなものがつきまとうのは慣れない国で生活するのは仕方のないことかもしれません。家族と一緒に生活しているならちがった心情なのかもしれませんが、単身というのは思った以上につらいものでした。

特に、僕の行っていた学校には日本人が少なく、少ない知り合いもみんな忙しいのでそんなに一緒に出歩いたりはできません。(日本語クラブのようなものに行ってみたり、台湾人の友人が日本語の話せる台湾人を紹介してくれたりと日本語を話す機会も少しありましたが。)

そのような中で、ある日母親からNYに住んでいる知人がぜひ会いにきてほしいと言っていると知らせてくれました。どうやら母の昔の同窓生だそう。NYといってもかなり広い(一般的に想像されるNYとはNY市でかなり面積は小さい)のですが、なんとその知人は僕の住んでいた寮から徒歩20分くらいのところに住んでいたのでした。

なんたる偶然! とは思うもののもともとの内向的な性格のためそんなにすぐに会いに行く決意ができなかったのですが、母曰く、「本当に明るい性格で寛容な人で誰にでもやさしいし、本当に若々しい人。」ということを聞いて、思い切って連絡を取ってみました。

連絡を取るとすぐに、「ぜひ家に遊びに来て!」と返信をもらいました。

言葉通り親子ほど歳が離れている初対面の人に会いにいくのは僕にとっては大きな勇気のいることでしたが、メッセージのやりとりをしているだけでも優しい人だということは伝わってきました。

招待を受けたのはThanksgivingの時期でした。

Thanksgivingはアメリカでは家族など親しい人と過ごす祝日です。大学もちょうどお休み期間なので誘ってもらったのですが、そんな特別な祝日にお誘いを受けるのも恐れ多いものですね…   アメリカの人はあまり気にしないのかもしれませんが。

自分の上手くいかないことを理由にしたくない

お家に伺ってドアが開いた瞬間にとびきりの笑顔で出迎えてくださいました。母の言う通り若々しい。母の10歳以上年下に見えました。

その方はアメリカ人の旦那さんと2人暮らし。お子さんはいないそう。

旦那さんは日本人のその女性と結婚されましたが、ずっとお二人はアメリカで生活されているので、日本語は全くわからないよう。でも、とってもやさしい英語で心地いい…  やさしく小さめの声なのでたまに聞き取れなかったこともあったのですが… どれだけ頑張っても僕は非ネイティブなので仕方ないですね。

その女性にはいろんなお話を聞かせてもらいました。母との思い出、日本にいるときに海外に憧れたこと、そして今に至るまでのこと。

自分と同じように大人になってから海外に単身で飛び出すことの大変さはいろいろ共感できることがありました。

特に驚いたのは、その女性が日本を飛び出したのが34歳のときだったということ。勝手なイメージでもっと若いときから海外暮らしなのかと思っていました。でも、実際に海外に行くとなるといろいろ準備が大変ですし、そんなに簡単には行けないので、海外に憧れていても早くから行けないことは不思議ではありません。

それでもあきらめずチャンスをうかがい、海外に行っただけでなくそこに暮らし続けている文化のちがいへの寛容さやエネルギーには感服するばかりです。

その女性は日本で一般的な会社員としての生活をしていましたが、カナダで学びたいと30歳を過ぎてカナダの大学に入学されました。

栄養に興味があり、栄養士になるための勉強を開始したそう。栄養士は理系だし、言葉はすべて英語で、学生のときに勉強したこともないもので毎日がとにかく大変だったそうです。母国語でない言葉で勉強するというのは想像以上の負担ですよね…

これだけでもすごいエネルギーだと思いますが、この女性が本当にすごいのはそのあと。

栄養士になるためにはインターンに行かないといけないのですが、なんとVISAの関係でインターン先が見つからなかったとか! ずっと頑張って勉強してきてもインターンに行かなければ栄養士にはなれません。

とにかくこの女性は片っぱしから病院に電話をして自分を受け入れてくれないかと交渉していったそう。でも、残念ながら受け入れ先は見つからず。

それでもその女性はあきらめませんでした。本当はずっとカナダにいたいと思っていたそうなのですが、栄養士になる目標半ばに勉強をやめることは受け入れられないと、カナダにいることを断念し、今度はアメリカの病院に交渉の電話を入れ始めたのだそう。そして、やっとNYでインターン先を見つけたそう。

インターン先を見つけたのは達成感があったようですが、それでも心境は複雑だったようです。やっとの思いでたどり着いたカナダを離れ、アメリカに行くということ。全てがハッピーとは思えなかったそうです。

アメリカに移ってからも初めはそのような思いが消えなかったようです。カナダで過ごしていた町はとてもきれいな素敵な場所だったそうです。でも、住み移ったNYはそこに比べ町はあまりきれいではなく、ビーチに行ってもカナダで見たビーチほどの感動を得られなかったということでした。最近、NYもきれいになってきたかもしれませんが、当時は今に比べればとてもきれいな町とは言えなかったと思います。

カナダとアメリカは隣同士ですが、それでもちがいがいろいろあります。インターンが始まっても戸惑うことが多く、自信を失うようなことも。

そんな状況でも決してあきらめずふてくされずアメリカに居続けたのは、ある思いがあったからだそう。

「自分の計画通りにいかないことやうまくいかないことをその国のせいにしたくなかった。自分のうまくいかないことのせいでこんなところにいたくない、この国のことがキラいだなんて思いたくなかった。」

その思いだけはけっして失うことはなく、結局、アメリカでインターンを終えたその女性はインターン先で就職先を紹介してもらい、そのままアメリカの永住権を取得。そして、現在もアメリカで生活しています。

カナダではなくアメリカ。

近いようで遠いこの2国で時間を過ごし、最終的には当初の目標とはちがう国で生活することになっても、今の自分にできることを実行することを優先したその姿勢は本当に尊敬に値します。

もともとの明るい社交的な性格のおかけもあってか、その女性はとにかくお友達が多い! 留学したことがある人はわかると思いますが、ネイティブの人とお友達になるというのは実はとても難しいことです。どうしても文化のちがい、言葉のちがいがあるので、最初は気さくに「Hi!」と声をかけてくれる人でも継続的にお話ししていく仲になるためはいくつもの壁を乗り越え、そして、つたない英語に耐えてくれる相手の気遣いが必要なのです。

そのようななか、あれほどたくさんの人と楽しそうにお話しできるのは人間としての魅力があるからにちがいありません。その女性に会えばみんなその魅力に気づきます。そんな人と知り合いになれたことはどんなことより価値のあることだと思ます。

こんな出会いがこれからもあればいいと思いますし、自分のそんな出会いを提供できる人になりたいと思いました。

留学を経て、ちょっとしたアメリカの大学の経験や英語の知識を共有できるようになりましたが、正直なところそんなものは大したものではないと思っています。こんな純粋でしなやかで強い人が日本から海外に旅立ち、ちがいを受け入れて暮らしているという話を知ることはどんな大切な試験の点数アップテクニックより価値があるものです。これだけは本当に心の底からそう思います。

この思いに共感してくださる方がひとりでもいれば嬉しく思います。




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