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編集の現場から

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本ができあがるまでにはドラマがあります。一冊一冊に込められた編集者の熱い想いとともに、制作現場からのレポートをお届けいたします。
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『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』制作秘話

倉井高志先生の最新刊、『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。 5年前に制作した『なぜローマ法王は世界を動かせるのか』(PHP新書)を書いた元バチカン公使・徳安茂先生の紹介で著者とお会いしたのは、ウクライナ戦争中の今年3月。倉井高志先生は昨年10月までウクライナ大使を務め、現地に駐在していました。以前にはロシア公使も務めていて、ウクライナとロシアの両国事情に精通する数少ない日本人の一人です。ゼレンスキー大統領と

『未来実現マーケティング』誕生秘話

神田昌典先生の最新刊、『未来実現マーケティング』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。 神田昌典先生は、いわゆる「天才肌」の方です。なので正直、凡人の私では理解が追い付かないことが多々あります。1年ほど前に、「マーケティングで世界を変える本」というコンセプトを提示いただいたときも、正直、十分に理解できていませんでした。でも、とりあえず「なるほど、面白いですね!やりましょう」 と答えました。なんとなくではありますが、いままでにない本が生まれそうな予感がしたか

『ロシア点描』誕生秘話

小泉悠先生の最新刊、『ロシア点描』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。 2022年2月24日。ご承知のように、ロシアがウクライナに侵攻を始めた日です。本書の著者・小泉悠先生は、以前から「これほどの規模でロシア軍が展開されるのを見たことがない」と、開戦の可能性を示唆されていました。にもかかわらず、私は「まさか……」と高を括っていました。 いまにして思えば、甘かったといわざるをえません。21世紀の現代に、日本の隣国であるロシアが戦争を始めてしまった。この事

『模倣と創造』誕生秘話

佐宗邦威先生の最新刊、『模倣と創造』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。 「いま僕は方法論ではなく、もっと本質的なところを伝えたいんです」 本書『模倣と創造』の企画を提案した際に、著者の佐宗さんはそうおっしゃいました。創造性は「デザイン思考」などのノウハウや方法論を学ばなければ育たないものではないし(方法論だけ学んで満足してもいけない)、そもそも幼少期には誰もがもっていたものなのに……という、ジレンマのようなものがあるとのこと。正直なところ、わかったよう

『人類が進化する未来』誕生秘話

遺伝子の操作で親が望む外見・能力を持った「デザイナーベビー」をつくる、細胞の老化を抑えて「不老不死」を実現する……こうした科学の発展がもたらす「人類の新たな進化」について、8名の科学的権威にインタビューした一本書『人類が進化する未来』です。 ピンポイントでゲノム情報を改変する「クリスパー・キャス9」でノーベル化学賞を受賞したジェニファー・ダウドナ氏や、「人生200年時代」の到来を謳うデビッド・A・シンクレア氏など、ひと昔前ならSFの世界だったような事象が、いま現実の世界で実

『5000日後の世界』誕生秘話

世界的に著名な雑誌『WIRED』の創刊編集長であるケヴィン・ケリーさんは、しばしばテック界の「ビジョナリー」(=予見者、先見の明のある人)と称されます。本書に推薦を寄せてくださった落合陽一さんをはじめ、多くの方がケヴィンさんのファンを公言されています。インターネット黎明期からシリコンバレーのスタートアップを数多く取材し、スティーブ・ジョブズやビルゲイツにもインタビューしてきた伝説の編集者です。 そう聞くと、刃物のように鋭い人物を想像しがちですが、ケヴィンさんの素顔はとても気

『修造日めくり まいにち、つながろう』誕生秘話!

松岡修造の人気シリーズ最新刊『修造日めくり まいにち、つながろう』が、9月27日に発売されます。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。 松岡修造さんとタッグを組み、制作してきた日めくりも第5弾。2014年に最初に発刊した『まいにち、修造!』から数えると7年ものおつき合いとなり、ありがたいかぎりです。松岡さんのなかでは、すでにライフワークの一つとして「日めくり」のシリーズを考えてくださっているようで、各種インタビューでもそのように発信されています。今回もそんな一見、遠回しにみ

『ふしぎ <霊験>時代小説傑作選』誕生秘話【番外編】~"ふしぎ"の不思議~

9月8日発売の『ふしぎ<霊験>時代小説傑作選』は、2017年11月刊の『あやかし』に始まる、現役女性作家による時代小説アンソロジー第9弾。今回は、シリーズ全冊が重版出来という快挙の"ふしぎ"を、元PHP文芸文庫編集者でもある広報担当者が語ります。 複数の作家による短篇集は当たり外れが激しく、うまくいかないことのほうが多いといわれています。にもかかわらず、シリーズ化されて、最新刊の『ふしぎ』まですべて増刷がかかり、累計29万部(9月15日現在)というのは稀有なケースといえます

『本所おけら長屋(十七)』誕生秘話!<番外編>

9月22日発売の『本所おけら長屋(十七)』は、累計140万部突破の人気シリーズ第17弾。今回は、畠山健二先生の初代担当編集者でもある広報担当者に、最新巻の魅力を語ってもらいました。 2013年7月の第1巻刊行以来、江戸は本所界隈の貧乏長屋を舞台に、"笑いと涙"の人情小説として人気を博してきた「本所おけら長屋シリーズ」。落語テイストのテンポのいい会話とやさしい文章で綴られた物語は、女性読者が6割を超え、小学生から高齢者まで幅広い年代に支持されてきました。 著者の畠山健二先生

『教養としての地理』誕生秘話

6月19日に発売された山岡信幸著『教養としての地理』。「地理的思考で概観すると、世界の今とこれからが読み解ける」と評判で、即重版に。担当編集者が発刊経緯を語ります。 このところビジネスパーソンの関心の高い「大人の教養」と旬のテーマを合体して、何か本をつくりたいと前々から思っていました。そんなとき、弊社の営業責任者から「友人で面白い著者がいるんだけど、会ってみない?」と声をかけてもらったのが、最初のきっかけでした。 著者の山岡信幸先生にも、「過去数十年と現在とでは地理のデータ

『2030年ビジネスの未来地図』誕生秘話

『2030年のビジネスの未来地図』制作経緯について、担当編集者に語っていただきました。 「2040年」「2030年」「2025年」など、近未来の具体的な西暦がタイトルに入った本を、ベストセラーランキングの上位でよく見るようになりました。  わずか5~10年後でさえも、未来はどうなっているのかわからない。だから、識者の見解を知りたい。そう思う人が増えているのではないでしょうか。  もっとも、「未来はどうなっているのかわからない」というのは、長らくずっと言われていることです。最

「おいち不思議がたり」シリーズ 誕生秘話

6月12日発売の『星に祈る――おいち不思議がたり』は、あさのあつこ先生による好評「時代」ミステリーシリーズの第5弾。担当編集者が、同シリーズの誕生秘話を語ります。 野球少年を主人公に据えた『バッテリー』、女子高生の日常を瑞々(みずみず)しく描いた『ガールズ・ブルー』などで、青春小説の書き手として一躍有名になった、あさのあつこ先生。 最新刊『星に祈る――おいち不思議がたり』も、時代小説ではありますが、医者をめざす少女おいちが主人公の青春小説です。 連載がスタートしたのは20

真山仁『プリンス』誕生秘話

民主主義は国を豊かにし、明るい未来をもたらすのか。5月29日発売の『プリンス』は、人気シリーズ『ハゲタカ』の真山仁さん渾身の一冊。発刊経緯を担当編集者が語ります。 金融、政治、医療、外交、エネルギー問題、震災問題……。これまで発表してきた作品テーマは、多岐にわたり、つねに世の中に一石を投じる作品の刊行を続ける真山仁先生。 最新刊『プリンス』は、東南アジアの軍事政権下の国で、民主化運動に巻き込まれた二人の若者の姿を通し、「民主主義は、人を幸せにできるか」を問う長編小説です。

『「鬼滅の刃」で学ぶ はじめての仏教』誕生秘話

5月22日発売の『「鬼滅の刃」で学ぶ はじめての仏教』は、 仏教界のインフルエンサーが、人気マンガを題材に、仏教のエッセンスを紹介。発刊経緯を担当編集者が語ります。  慌ただしく会社へ行く用意をしていた、ある日の朝――。  NHKのニュースで"お寺の掲示板をバズらせている和尚"として北九州市・永明寺の松﨑住職が紹介されている映像に目が止まりました。 「衆生は不安よな。阿弥陀、動きます」(松本人志氏のツイート「後輩芸人達は不安よな。松本 動きます」をアレンジ) 「ぴえんもご縁