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『人類が進化する未来』誕生秘話

PHP新書の最新刊『人類が進化する未来』が、好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。

遺伝子の操作で親が望む外見・能力を持った「デザイナーベビー」をつくる、細胞の老化を抑えて「不老不死」を実現する……こうした科学の発展がもたらす「人類の新たな進化」について、8名の科学的権威にインタビューした一本書『人類が進化する未来』です。

ピンポイントでゲノム情報を改変する「クリスパー・キャス9」でノーベル化学賞を受賞したジェニファー・ダウドナ氏や、「人生200年時代」の到来を謳うデビッド・A・シンクレア氏など、ひと昔前ならSFの世界だったような事象が、いま現実の世界で実現されようとしています。

本書の編者である大野和基氏は、ジャーナリストとして数々の海外の権威へのインタビューを行なっています。そんな大野氏の『なぜヒトは現代のヒトになったか』という問いから、本書は生まれました。つまり、ヒトが現代の「知性のあるヒト」になったのは必然か、偶然か。そして、その進化はどう変化していくのか
そんな世界中で研究されてきた「科学と人類の飽くなき研究の歴史」を、大野氏の知的好奇心のままに探究した結果、本書が生まれました。さまざまな分野を横断して語られる「人類進化の歴史と未来」(なかには、地球外生命体の話すらも!)の数々は、なかなか普通のインタビューでは読むことのできない力強さがあります。

本書にも収録されている大野さんの言葉で、私が忘れられない言葉があります。それは、『進化論は科学の領域をはるかに超えている』という言葉です。人間が遺伝子の突然変異を人為的に達成し、古来より不変の自然の理を「tinker(いじくる)」とき、大きな思想・哲学的問題が立ちはだかる、というもの。本書に登場する8人の科学者たちも、そのスタンスはさまざまです。

本書では、その思想的・哲学的な答えまで明言することはありませんが、インタビューを読んでいただいた読者の方それぞれに、これからの人類はどうあるべきなのか、決して絵空事ではない、近い未来に訪れる「現実の選択」として、ぜひ考えていただきたいと思います。

第一事業制作局 ビジネス・教養出版部 宮脇崇広