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『模倣と創造』誕生秘話

佐宗邦威先生の最新刊、『模倣と創造』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。

「いま僕は方法論ではなく、もっと本質的なところを伝えたいんです」
本書『模倣と創造』の企画を提案した際に、著者の佐宗さんはそうおっしゃいました。創造性は「デザイン思考」などのノウハウや方法論を学ばなければ育たないものではないし(方法論だけ学んで満足してもいけない)、そもそも幼少期には誰もがもっていたものなのに……という、ジレンマのようなものがあるとのこと。正直なところ、わかったようなわからないような、ただ、なにか面白そうだという期待を胸にスタートしました。

佐宗さんに提案した企画書のサブタイトルは、「世界一わかりやすいデザイン思考の授業」でしたが、最終的に「13歳からのクリエイティブの教科書」と改題しています。もちろん、「デザイン思考」と呼ばれるような具体的な方法も交えて紹介していますが、著者の想いの表れたタイトルになったと思います。
 本書は著者のこれまでの本のなかで、もっとも若い読者に向けて書かれた本です。「模倣」という言葉にあるように、「まね」という誰でもできる行いから始めるというように、ハードルを徹底的に下げ、入門書としてやさしい内容に。加えて、「創造力、ゼロからスタートした」という佐宗さんご自身のエピソード(いわゆる黒歴史も)をできるだけ赤裸々に語っていただくことで、一般論にはとどまらない共感を持って読み進められる本をめざしました。
また、本書のなかでも語られるとおり、「最初にゴールを決めすぎては、いいものが生まれない」という言葉を、制作においても体現した進め方がとられました。企画スタート時に佐宗さんの会社「BIOTOPE」にインターンとして参加していた大学生の石山さんを聞き手に、クリエイティブに対するイメージや悩みを聞きながら、構成をつくってはやり直しと、何度も取材を繰り返しました。制作中にインターンを卒業し、その後、留学でフランスに渡った石山さんに追加の取材に協力いただくため、深夜にZOOMでつないだことも。
「『創造力』とは、希望をつくる力」、これが佐宗さんのメッセージであり、本書が伝えるものです。多くの読者に届けるべく、なにとぞお力添えのほど、よろしくお願い申しあげます。
 
PHPエディターズ・グループ 書籍編集部 佐口俊次郎

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