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読書の秋2021 PHP研究所編

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#PHP研究所

どんなふうにもなれる<ガラスの海を渡る舟>

ガラスの海を渡る舟 著者:寺地はるなさん 今日はちょっとついていない。 人の些細な言葉も気になるし、傘も持ってこなかった。そう、いつのまにか良い悪いで分けてしまう自分がいる。そんな私に、本作の主人公の道(みち)は、自ら生きる姿勢と、妹の羽衣子(ういこ)に向き合う言葉を通してたくさん語りかけてくれました。 ガラス工房を始めることになった兄妹が一緒に過ごす10年間を描く本作は、妹の羽衣子が兄に対して嫉妬のような感情を抱いていることから始まります。 「道には目には見えないしる

寺地はるなさん 「ガラスの海を渡る舟」

【ふつう】ってなんだろう。 小さな頃からずっと私は学校の担任などが求める【ふつう】にはなれなかった。 そして【ふつう】じゃないことで 疎まれることも多かった。 特に【ふつう】というのものの基準がわからなくなった時がある。 20数年前、私は最愛の両親と妹を一度に亡くした。 私が20代前半で結婚して 、まだ日も浅い時だった。 多くの人にとって【ふつうじゃない】亡くなり方をした三人を、親戚は恥ずかしいから密葬にすると口々に話したのだ。 みっともない死に方なんてこの世にあるわ

『世界は「愛とワクワク」で満ちている』

こんばんは、めぐしです。 今回は、 PHP研究所さんから出されている 櫻いいよさんの著書 『世界は「 」で満ちている』 を読んだ感想を書きたいと思います。 まず初めに、 「今回の課題図書を一冊買って読もう!」 と決めていた僕は、 何の本にするか選んでいました。 「どれにしようかな~?」 すると、 この本が視界の中に入ってきました。 本のタイトルを目にした時に、 「この「 」の中身はなんだろう?」 「気になる。。」 という空白を埋めたくなってしまう 人間心理に見事

「ガラスの海を渡る舟」 寺地はるな

「前を向かなければいけないと言われても前を向けないというのなら、それはまだ前を向く時ではないです。」 「ガラスの海を渡る舟」 寺地はるな 里中道(みち)、里中羽衣子(ういこ)、2人の兄妹は祖父の遺志を継ぎ、大阪の空堀商店街でガラス工房を営んでいます。 テモトクヨウ それは、里中道(みち)がはじめて耳にした言葉でした。それと同様にこの本を読んで、僕もはじめてテモトクヨウというものを知りました。 「手元供養」 骨を手元に置いて供養すること。 道はおじいさんに、はじめて

あなたの「世界」は、目の前の一つだけじゃない

櫻いいよさんによる、世界は「 」で満ちているを読みました。 げみさんが描いた美しいカバーイラストが目を引く青春小説。 でも、思春期の子供を持つ私にも響いた小説でした。 あらすじ中一の由加は、仲のいい家族のもと、涼ちゃんという親友にも恵まれ、毎日が楽しくてしょうがなかった。 でもある日を境に、周囲から完全に孤立してしまう。 そんな中、幼馴染だったのにいつからか距離ができてしまった、ゆう君に引き寄せられていくのだった。 でもゆう君もかなり複雑な事情を抱えているようで・

「9割の社会問題はビジネスで解決できる」 田口一成

「生まれた時よりも、きれいな  社会にして死んでいく」 「9割の社会問題はビジネスで解決できる」 田口一成   モヤモヤしていました。 その「モヤモヤする気持ち」が、この本の冒頭に書かれていました。 僕はいつも仕事をしながら、そのように考えていました。 そして、考えた挙句に まさに、そんな気持ちでありました。 「自分の仕事は本当に社会を  良くしているんだろうか?」 何十年も仕事をしてきてずっと感じてきたことは、社会を良くするというよりも、会社の売上げや利益を上

Present for you <世界は「」で満ちている>

世界は「」で満ちている 著者:櫻いいよさん 今、あなたの目の前に5つの水溜まりが広がっているとします。 愛、 孤独、 毒、 無知、 君 あなたは、これらの水溜まりをどうしたいと思いますか? ------------------------------------- 最初に“世界は「」で満ちている”というタイトルを見た時、「」に文字が入っていないのが不思議で「」は自分で考えるのかなと思いました。そんなことはないですね。本作では5つの短編にそれぞれ「」があり、最後