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あきな奥様ストーリー⑤

今回、私はあきなさんに「お姉さんのS責めコース」というものをお願いしていた。
 このコースは相手に主導権を握ってもらうコースだ。
「本当に、私が責め側でよろしいんですか?」
 あきなさんにはそう確認を取られた。
 私ぐらいの年齢で、このコースを頼むのは珍しかったのかもしれない。
 間違いではないことを示すように、私ははっきりと頷いて見せた。
「ええ、お願いします。……というのも、もうそういうことをしなくなって久しいですからねぇ」
 情けない話ではあると思うが、事実なのだから仕方ない。
 下手に見栄を張って、いざことに及ぶ時にあたふたする方がみっともないだろう。
 それならばいっそ身を委ねた方が私の気も楽だというものだ。
 この歳になるとさすがにどこで意地を張って、どこで張るべきではないかは心得ている。
 私がそういう思いを込めていうと、あきなさんは黙って頷いてくれた。
「わかりました。……それじゃあ、少しだけ口調を崩させてもらうわね」
 妖艶な笑みを浮かべて、あきなさんが告げる。
「さあ、ホテルに行きましょう?」
 宣言通り、少し砕けた口調ではあったが、粗野とまではいかず、かといって女王様というほど高圧的でもなく、実にいい塩梅だった。
 私はおとなしく彼女に促されるまま、予約していたホテルへと向かう。
 年甲斐もなく、心臓が大きく跳ねているのを感じていた。

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