詩「ソラヌム・ヴィアルム」
「ソラヌム・ヴィアルム」
黒実 音子
◇
キリストは、
御心のままに
巻貝ポマセア・パルドーサ達を枯渇させ、
沼地を荒れ果てた牧草地に変えられた。
遷移とは、
十字架に架けられた
肉達の悲鳴である。
そんな淘汰され、
捻じれた痛みを抱えた
死者の骨が過去に蓄積された平原で
荒れ地のトマトである
ソラヌム・ヴィアルム達が
点々と茂っているのだ。
見ろ!!
このトマトは
地上の冷徹な痛覚の現れだ。
緑の寡黙な甲虫共を纏わりつかせ、
その根を死に突き刺し、
その実に息苦しさを蓄えている。
ソラヌム・ヴィアルム達は
森林の入り口、
湿地にまで侵食し、
今日も
この地上に生まれてしまった者達の
悲しみを讃える。
湿地の霊達は言う。
「喜びを得た者は、
その終わりを味わい、
希望は絶望という
土壌の上でしか育たない」
ああ、湿原に迷い込み、
[フロリダの蛭]・・
または[湿地の癌]と呼ばれる
ピチオ病に侵され、
痛みと痒みの中で苦しみ、
崩れていく牛の嗚咽を聞け。
あれは、この世に生まれた
全ての者達の絶望の喘鳴であり、
時間という圧搾機にかけられた
子牛の哀れな悲鳴なのだ。
ああ、私達の
崩壊した悪臭漂う
壊死細胞(クンカー)を養分にして
フロリダの牧草地には今日も
ソラヌム・ヴィアルム達が点々と茂る。
産み落とされた命達は、
この荒野で罪という名の
悪霊に啄まれながら、
ユーモアというキリストの死骸の
その向こうに楽園を見、
何度も尊いものを穢しながら
それでもあらゆる
帳尻合わせを懇願している。
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