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映画「哭声 コクソン」観ました

映画「哭声/コクソン」も、素晴らしい作品ですね。
韓国キリスト教国ですから、
こんな作品が作れるのですね。

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当時の異教徒から見たキリスト、
あるいはキリストを信じた者、
信じなかった者にとって、
神とは、悪魔にも、救世主にも映るであろう・・
的な哲学をホラーで表現したお話。

人間は[自分の中にある情報]と、
[自分が認識できる範囲の世界の形]からしか
物事を判断できないので、
狭い視野の正義感を責め
「もっと広い視野で世界を見ろ」
と言った所で
[その広い視野]すら実は[限定された世界]であり、
キリがないと言えます。

ある[正義を掲げた戦争]にとって、
敵国は悪魔で、
敵国から見れば自分達こそが悪魔ですが、
それを愚かな童話として嘲笑う事は出来ても、
[己の思考の中でしか生きる事ができない私達]にとっては、
限られた情報の中から得られる答えが
結局のところ目の前の世界であり
[正しさ]なのです。

そうでなければ、
この世界も宇宙も夢かも知れない・・
と疑い続ける様なものだからです。

我々が見ている[赤]という色は、
我々の体の構造上、そう見えているだけで、
そこに[赤]などというものは本来は存在してなく、
別の次元から見れば、
全く異なるものがそこにあるのかもしれない。

私達は[真理を探そうと努力する事]は出来ても、
[真理を見つける事]は基本的には出来ないのです
(己という器に閉じ込められている限り)

[疑い]とは、限定された情報の中で、
未知数の他者に向けられる[恐れと攻撃]ですが、
キリストの言った「疑わない事」「信じる事」というのは
[情報を可能な限り集め、信頼できる様にしろ]
という俗的な意味ではなく
「何処までいってもこの世界の本当の姿は見えず、
それを完全に把握する事は
[小さな存在]である私達には出来ないのだから、
ならば、それらを全て投げ捨てて、
ただ信じる事、
あらゆる危険や愚かさや死をも受け入れて
[信じる事]しか限りある存在には出来ないのだ」

という事を言っているのです。

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当然、私達は、それによって騙されたり、
死の危険に遭ったりする訳ですが、
キリスト教は、結局はそういう
[全てを受け入れる諦観]の中に[愛]を語るのです。

つまり「疑うな」というのは
「真理を見極めろ」という意味ではなく
「騙される事すら受け入れ、
死を受け入れる事で私達は真理に抱かれるだろう」

という意味なのですね
(それこそ聖書でいう
「恐れおののきながら、自分の救いを探せ」
という事です)

しかし、これは宗教性を抜きにしても、
理論上は非常に正しい思考であると言えます
(社会的、人間的な正しさではなく)。

ホラー映画の「コクソン」は、
見事にこの辺の神学をテーマに物語を作っていますので、
ぜひ観て欲しい作品です。


【キリスト教について追伸】
キリスト教は、日本の娯楽作品の世界の中で、
時として[思考停止の宗教]の様に描かれる事がありますが、
実際は逆で、
社会に支障をきたす程の思考の果てに
辿り着く神学
を内包しているのです。
例えば、これは哲学、神学的な話で語っていますが、
理系でも[カオス理論]という
意外と近い事を言っている話があります。
100mの中にある情報に手が届かない私達が
目先の50mの中にある情報だけで真理を語り、
道理を無理矢理に構築させ、
利益を貪る
のが人間社会であり、
宗教を除外する国は、
50mの中にある情報だけで自分達の内面性を育て、
感受性や善悪を判断する
という事なので、
50m内の閉鎖的で稚拙な結果しか生まない。
これは
「宗教なら100mの道、全てを把握できる」
という話ではなく、
宗教というのは、
暗闇に続く未知の100m先の道に[恐れ]を抱き、
[敬意]を抱かせる
(つまり自分達の小ささを知る)もの
だと思っています。
そして、そうです。
そこから先が芸術の世界なのです。

(難解なキリスト教芸術に興味ある方は、
私達「墓の魚」の作品もよろしくね)


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