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詩「ファド・ポトミーダ・リトラリスの詩 序論INTRODUCCIÓN(テキスト)Ⅳ」

「ファド・ポトミーダ・リトラリスの詩
序論INTRODUCCIÓN(テキスト)Ⅳ」
黒実 音子


流れていく。
流れていく。
下水を大量の魚の死骸が流れていく。

巨大な魚、小さい魚、
細長いもの、
最早、原型を留めていないもの・・

皆、腹を上に向けて、
悍ましい悪臭を放っている。

どの魚も、
色だけはなぜか一様に白く、
薄っすらと灰色だ。

それは死の色であり、
命の華やかな色彩は今では失せ、
冥府の王の玉座の絨毯に相応しい
虚しさだけを放っている。

流れていく。
流れていく。
腹の膨れ上がった白い魚達が流れいく。

誰かがアヴェ・ヴェルム・コルプスを
ビウエラで弾いている。

下水道には常に難解な
天使達の旋律が流れる。

ふと、悪霊が
死んだ鰤(オヨ・ジ・ボイ)の口を借りて、
「コメレル・・・ディヴェルティクルム(動脈瘤)・・」
と低く呟く・・

飲み水の中で溺死したヒヨコ・・
笑っているだけの物乞い・・
突然の反跳脈(バウンディング・パルセ)により飛び跳ねる鱸(ホバロ)・・

下水道の中では
様々な剰余のものが見える。
それは地上の過剰な産物であり、
神の数式により、
淘汰された残滓に過ぎない。

EXALTAVIT HUMILES!!
EXALTAVIT HUMILES!!
引き揚げろ!!全てのものを!!

死んだ魚達も、
あらゆる下水の見せる混濁した
混沌(デトリタス)も、
色の無いラテン語の死骸も、
やがては海に流れていく。

光の下に晒され、
キリストの栄光の中で
混乱し、解体され、
やがて対位法となり、
いと高き所に
消失していくのだ。




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