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ロールケーキのギャップはかっこいい。

小さい頃、ケーキ屋さんに行くと必ず、三角形のイチゴのショートケーキを喜んで選んでいた。ショーケースの中にある、優しい白色と、キラキラした赤色に、心を奪われていた自分を思い出す。

そんなある日、両親と、あい と私の4人で一緒にケーキ屋さんを訪れたときのこと。頭では今日も、あのキラキラしたお姫様を連れて帰る気満々だったのに、ふと、なぜかいつもは気にもとめないロールケーキに目がいった。

スポンジとクリームが均等に巻かれている姿と、三角でも四角でも丸でもない、あのフォルムがその日は妙に気になり、はじめて、甘いクリームのドレスを着ていない、シンプルなロールケーキを私は連れて帰りたくなった。

そして、おやつの時間。
我が家に来た子達をお皿に並べると、やっぱり、あいが選んだいちごショートは可愛さ全開でお皿に佇み、ポーズを決めている。
もちろん私の目の前に座っていたのは、着飾らないロールケーキだ。
母が交換しようか?と言ってくれたが、断った。私は今日はこの子が良かった。

甘さが控えめで、フルーツもなにも乗っておらず、飾りっけがないシンプルな姿。
かっこよさげに見えるのに、くるくるした可愛らしさを持つスポンジとクリーム。
口に運ぶとふわっと寄り添ってくれる優しい味に、居心地の良さを感じたことを今でも覚えている。

子どもながらにそのギャップにやられてしまった。そしてそれを選んだ自分をちょっとだけ、大人気分にさせてくれた思い出のひとコマだった。

年を重ねて、真ん中にクリームがたっぷりのものや、フルーツがたくさん入っているものなど、色々なロールケーキを美味しくいただいてきているけれど、あのときのロールケーキのように大人の味!のような感覚は今はない。
自分がもう、大人だからなのかな?

あのときの感覚はもう味わえなくても、幼い時に感じることのできた特別な想いは、ぎゅっとひと粒に込めていつまでも大切にしていたい。

ロールケーキにまつわるお話をしたところで、今日の1枚をここに置きますね。

新しい扉をノックしたら
世界がひとつ広がった

はじめましての時間が誘う
心の鼓動を伝えたい

絵描き*あい 言葉綴り*ゆう

かたつむりは生まれたときから、殻を持っていて、その中には大切なものがたくさん詰まっています。

自分の大切なもの守り、渦を大きくしながら成長していくかたつむり。

大切なものや愛おしいものを守りながら、よいと思ったことは柔軟に受け入れることができたら素敵ですよね。

自分の守りたいものを、ストップさせずに、成長させることができることかどうか。
それを知るには、やっぱり飛び込んでみるしかないんです。

『 はじめまして 』の先に、なにがあるかなんて、誰にもわからないし、決まってなんかもいない。
決めるのはいつだって、「 自分 」。

いまここに在るもの
いまここで見たもの
いまここで聞いたもの

その『 はじめまして 』は、いますぐに自分に必要のないことかもしれない。
でも、心のどこか片隅に留めておけば、いつかなにかのヒントとして、助けてくれるかもしれない。

だからこのかたつむりみたいに、新しいを纏って進んでみることに、価値はあると思います。

幼い頃の私がロールケーキに大人気分にさせてもらったのもあの瞬間新しい選択をしたからだもの。
ロールケーキのギャップはかっこいい。

今日も最後まで読んで下さった、あなたに心から感謝します。

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